The History of Emotions (Amazon.co.jp)
1. 過去の鼓動 2. 悲しみの地図 3. 情念から絵文字へ 4. 恐怖と幸福の追求 5. すべての激昂 6. 愛を求めて
読書人のための読み物という感じだが、まずこの本を貫いているのは「過去の人や異文化の人に現代人の感情を当てはめていいとは思えない」という考えだ。かなり最近になってから流行りだした考え方で、感情が社会的構築物、教育によってインストールされるものという話の流れだ。
で、色々な最近の理論や、著者の専門である西洋の歴史からの様々なエピソードが紹介されたりする感じ。一つ一つの論評は面白いのだが、どうもわたしに刺さらないというのは、一つには結局のところ昔の人の感情を追体験するのが不可能でよくわからないからだろう。ので、個別例が積み上げられてもどうも「読み物」という感想にしかならない。あまり詳しくない人には、「この状況で持つべき感情はこう」みたいな固定観念が相対化されるかもしれない。
感情をいくつかの「基本感情」みたいなものとその混合として判別しようとする試みもあるが、多分、ホルモン的なレベルでも成功していない。極端な行動主義は研究放棄に過ぎない。ただ今のところ間違いないのは、感情が社会的構築物で、それが生理までかなり支配してしまうということくらいだろう。
個人的に、特にマンガ「キングダム」を読んでいてうんざりしたのは、現代日本の正社員みたいな価値観や思考を紀元前の中国人に投影し過ぎというだけでなく、「昔の中国人がその状況でその感情を持っただろうか」という疑問がありすぎて、あまり読む気がなくなった。
あと、わたしは感情がない人間みたいに思われがちだが、実際には感情がないわけでなく、ただ現代の常識的な日本人が想定する感情体系とかなりずれているんだろうなという気は常にしている。いろいろ思うことがあるが、この分野の進展待ちという感じ。
出版社 : Oxford Univ Pr1
発売日 : 2023/8/25
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-0198818298
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