2018年5月31日木曜日

Annie Heminway "Practice Makes Perfect: French Reading and Comprehension" [練習が完全を生む:フランス語読解]

目次:1. エッフェル塔:議論と論争 2. ママ教えて、フライドポテトは木になるの? 3. 治療し楽しませるハチミツ 4. ヒグマの回帰 5. フランソワ・ガバール、海の王子:78日で世界一周 6.ルークソール、灰からの再生 7. 映画監督・グラフィックデザイナー・内装建築家にどうやってなるか 8. マダムかマドモワゼルか 9. 大臣がフェミニズムの授業を受ける 10. モントリオールの歴史の中心のラシーヌ運河 11. マリーアントワネットについて聞けなかったけどずっと知りたかった全て 12. 図書館に行ってはどうでしょう? 13. 全方位のデジタル化 14. クレール、ブリュッセルの給仕 15. 人生を変える:自由の代償 16. 幹部の文盲、知られない現象と禁忌 17. MuCEM:欧州と地中海の文明博物館 18. バルタバス、馬術劇場の天才 19. 三角移住:ジャンヌ・セギン-ラフラム 20. 最初のショック:ウェイ・ウェイ 21. 海の耳にささやく若い男:エドゥアルド・マネ 22. ビクトルのポンディチェリの冒険:アリエット・アルメル 23. わたしはカメラ(10の例):ダニ・ラフェリエール

フランス語の読解を中心にした問題集。まず文章が示され、続いて読解を試す問題や文法・語法の解説と問題・仏作文など、フランス語総合コースという趣。文章は実際の新聞記事などから採られている。内容は目次から分かるように、社会・文化・芸術の話題が中心。初級のフランス語読本みたく、リア充大学生の優雅な日々やフランスの初歩的な歴史を読まされたりする気遣いはない。レベル的には、裏表紙にadvanced bignner-intermediateとあるが、実際には上級、欧州規準でB2レベルと考えて良いだろう。こういう機会でもない限り、一生興味も持たないような記事も多いが、外国語学習を考えると、興味のない文章でも読んだほうがいいのは確か。一般にもとても評判のいい本だ。

わたしはと言うと、この本は気が向いた時に少しずつやっていたが、結局、買ってから二年以上経って終わった。文法的には問題なくても、なにぶんにもリアルでそこそこ学術的なフランス語が多く、単語が難しい。文章の内容自体は、正直言ってあまり面白くなかったが、記憶に残っているので言えば、16章の幹部の文盲はヤバい。結構な高学歴で社会的に地位の高い人でも文盲が結構いるとか言う話で、俄かに信じがたいが、フランス語の綴りの難しさを考えると有り得なくはないのか。にしても、わたしみたいに読むことしかできないより全然良いと思うが。

ともあれ、二年以上かかってようやく終えたのは感慨深い。ゆっくりやり過ぎて、この本でどれだけフランス語力が伸びたのか測定できないが、また学習意欲が出てきた。

I finished this book after two years from the point of purchase... It was a enormously difficult task, but I hope it was worth it.

McGraw-Hill Education(2014/7/4)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0071798907

2018年5月17日木曜日

Princeton Review "Cracking the SAT Subject Test in French" [SAT主題試験フランス語対策]

SATは日本の大学入試センター試験に当たるアメリカの試験で、日本人でもアメリカに留学する人は受けることになることが多いようだ。ただ、わたしの知る限り、たいていの科目は簡単なので、日本人は特に理由がなければ、敢えて難しいフランス語は受けないだろう。わたしも多分一生受ける事はないが、試しに練習テストをやってみたく思って本書を購入した。

試験内容はセンター試験とかなり傾向が違うので単純に比較はできないが、難易度は同じくらいなのではないかと思う。わたしの力では、どちらもほぼ間違えないが、完全に満点を取りきるのは実際にはどうかというところ。全部マークシートだが、「別にこっちでもいいやん」みたいな答があるのは、TOEICでも他の語学の試験でも良くあることで避けられない。仏検二級くらいあれば、八割はとれるかと思う。しかし、これも語学の試験に通例の話だが、日本の語学の試験は単語力をあまり問わない。単語のレベルで言えば、SATのほうがずっと厳しい気がする。

本書の構成はフルセットの練習テストが二つと、各セクション(単語・文法・穴埋め・読解)の練習問題+受験テクニックがメイン。それぞれのフランス語力に応じて勉強になったり確認になったりするだろう。重大な注意事項として、本書には聴き取りの問題が含まれていない。聴き取りを受けるかどうかは選択できるらしいが、16版にもなって含まれていないのは、実際には受ける人が少ないのだろう。

It is not that I will take the exam. Just for amusement. Assez facil.

Princeton Review 16版(2017/12/12)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1524710774

2018年5月13日日曜日

Max de Radiguès "Bâtard" [私生児]

ネタバレせずに説明するのは難しいが、要するに犯罪者の母と息子の逃亡劇ということで、暴力が無意味に多い。無意味なセックスもある。舞台はニューメキシコとかで砂漠のシーンもあり。フランス人の考えるアメリカン・ハードボイルドという良くあるパターンだと思ったが、著者はベルギー出身らしい。絵は見やすくていいけど、特にヒネリもないし、殺伐としたポエジー的なものもないので、あえてお勧めはしない。かりにこれが映画だとしても、ちょっと何もなさすぎる。もっとも、暇つぶしに読んだだけなので、感性の豊かな人が読んだら違うかもしれないが…。

Très simple. Un american-hardboild à la française ou belgieque?

Casterman (7 juin 2017)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2203141414

2018年5月8日火曜日

Alain Goriely "Applied Mathematics: A Very Short Introduction" [応用数学:非常に短い入門]

目次:1. 応用数学の何がそんなに面白いのか?モデリングと理論と方法 2.秘密を知りたいか?七面鳥と巨人と原子爆弾 3.モデルを信じるか?単純性と複雑性 4.方程式を解く方法を知っているか?回転するコマとカオス兎 5.ケネス、周波数とは何か?波と地震とソリトン 6.それを描けるか?X線とDNAと写真 7.数学は何の役に立つ?四元数と結び目とさらにDNA 8.我々はどこに行くのか?ネットワークと脳

どうも章タイトルは有名な曲のタイトルをもじっているらしいが、わたしは音楽に興味がなくて分からない。応用数学とは、要するに色々な現象について数理モデルを組み立てるというようなことで、物理現象に即して、次元解析から始まり、微分方程式、偏微分、フーリエ解析というような感じで、目次通り、色々な例を見ていく。従って、VSIとしては珍しく数式を避けておらず、日本の高校生程度の数学力では厳しいかもしれない。事例としては自然科学と工学に限られているが、それでもかなり広範囲である。大学新入生くらいが読んだら、これで数学を志す人も出てくるかもしれない。

わたしとしては結構楽しく読んだけど、実のところ、これだけ色んな例が満載なのに、ほとんど知らない話がなかったことがショックである。数学はもとより、自然科学・工学の分野については、もうVSIを卒業する頃合いなのだろうか。あと、関係ないけど、本書の中でラプラスの悪魔に対して解析解のない微分方程式があることを持ち出して論破したりしているが、これはこの本以外でも至る所で見かける論法で、わたしは認めていない。ラプラスの悪魔の論点は決定論であり、人間に微分方程式が解けないことは、決定論に全くダメージを与えていない。人間に三体問題が解けなくても、天体の運動は微分方程式が描く通りに進行する。量子力学でもそうで、観測によって決定できないことと、観測と無関係に本質的に不確定なのは全く意味が違う。前者は、単に「未来は人間には分からない」というだけのことで、決定論に変わりはない。

This book requries a bit math skills.

Oxford Univ Pr (2018/4/22)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198754046

2018年5月1日火曜日

Daniel Fleisch, Julia Kregenow "A Student's Guide to the Mathematics of Astronomy" [学生のための天文学の数学の案内]

目次:1.基礎 2.重力 3.光 4.視差・視直径・分解能 5.星 6.ブラックホールと宇宙論

近頃、高校の物理学を復習していたが、昔読んだ"A Student's Guide to Maxwell's Equations"に感銘を受けて、同じ著者の本を読んでみようと思った次第。しかし、こちらは随分対象レベルが下がっているように思われる。日本で言えば、せいぜいが高校生レベルだろう。宇宙に関心のある日本の中学生が読んでも、多分、分からないことは書いていない。もちろん、この程度のことはセンター試験で地学を選択する人間なら知っていなければまずい。なお、「算数でわかる天文学」という邦訳が岩波書店から出ているようだが、翻訳の評判が悪く、多分その通りなのだと思う。あるいは、特に物理学や計算に縁の無い、純粋な天文鑑賞ファンにはそれなりに科学的な雰囲気を提供するのかもしれない。とにかく、数字をやたら計算させるわりには、数学的に難しいことは全く言っていないから、数学に自信がなくても、その点は安心してよい。

A good book but really elementary. An average junior-high school student would be able to read this book.

Cambridge University Press (2013/8/29)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1107610217