2026年5月1日金曜日

Jack A. Goldstone "Revolutions: A Very Short Introduction" [革命:非常に短い入門]

Revolutions (Amazon.co.jp)

目次:1. 革命とは何か 2. 何が革命を引き起こすのか 3. 革命の過程と指導者と結果 4. 古代世界の革命 5. ルネサンスと宗教改革の革命 6. 立憲革命:アメリカとフランスと欧州(1830と1848)と明治日本 7. 共産主義革命:ロシアと中国とキューバ 8. 独裁者に対する革命:メキシコとニカラグアとイラン 9. カラー革命:フィリピンと東欧とソ連とウクライナ 10. 2011年アラブ革命:チュニジアとエジプトとシリアとイエメン 11. 最近と未来の革命

最初に革命にありがちなパターンが述べられているが、本書の本体は世界史の教科書から革命の部分を抜き出したような話。いろいろな革命がコンパクトに叙述されている。VSIの一つのパターンで、こういうのでわたしの世界史の知識が堆積していったところがある。特に斬新な話はないが、世界史の復習をしたい人、または何らかの理由で革命自体に興味がある人が読む本という感じ。日本で言えば歴史の好きな高校生くらいかもしれない。

出版社 ‏ : ‎ Oxford Univ Pr

発売日 ‏ : ‎ 2023/12/1

言語 ‏ : ‎ 英語

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0197666302

Thomas Dixon "The History of Emotions: A Very Short Introduction" [感情の歴史:非常に短い入門]

The History of Emotions (Amazon.co.jp)

1. 過去の鼓動 2. 悲しみの地図 3. 情念から絵文字へ 4. 恐怖と幸福の追求 5. すべての激昂 6. 愛を求めて

読書人のための読み物という感じだが、まずこの本を貫いているのは「過去の人や異文化の人に現代人の感情を当てはめていいとは思えない」という考えだ。かなり最近になってから流行りだした考え方で、感情が社会的構築物、教育によってインストールされるものという話の流れだ。

で、色々な最近の理論や、著者の専門である西洋の歴史からの様々なエピソードが紹介されたりする感じ。一つ一つの論評は面白いのだが、どうもわたしに刺さらないというのは、一つには結局のところ昔の人の感情を追体験するのが不可能でよくわからないからだろう。ので、個別例が積み上げられてもどうも「読み物」という感想にしかならない。あまり詳しくない人には、「この状況で持つべき感情はこう」みたいな固定観念が相対化されるかもしれない。

感情をいくつかの「基本感情」みたいなものとその混合として判別しようとする試みもあるが、多分、ホルモン的なレベルでも成功していない。極端な行動主義は研究放棄に過ぎない。ただ今のところ間違いないのは、感情が社会的構築物で、それが生理までかなり支配してしまうということくらいだろう。

個人的に、特にマンガ「キングダム」を読んでいてうんざりしたのは、現代日本の正社員みたいな価値観や思考を紀元前の中国人に投影し過ぎというだけでなく、「昔の中国人がその状況でその感情を持っただろうか」という疑問がありすぎて、あまり読む気がなくなった。

あと、わたしは感情がない人間みたいに思われがちだが、実際には感情がないわけでなく、ただ現代の常識的な日本人が想定する感情体系とかなりずれているんだろうなという気は常にしている。いろいろ思うことがあるが、この分野の進展待ちという感じ。

出版社 ‏ : ‎ Oxford Univ Pr1

発売日 ‏ : ‎ 2023/8/25

言語 ‏ : ‎ 英語

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0198818298