2026年5月28日木曜日

Margaret J. Snowling "Dyslexia: A Very Short Introduction" [ディスレクシア:非常に短い入門]

Dyslexia (Amazon.co.jp)

目次:1. ディスレクシアは存在するのか 2. どのように読むことを学ぶ(または学ばない)のか 3. ディスレクシアの認知的原因は何か 4. ディスレクシアの遺伝子と環境、社会階層の影響 5. ディスレクシアの脳 6. ディスレクシアには何が効くか 7. 三つのC:注意書きと併発と代償

ディスレクシア研究の現状のまとめというところだが、分からないことだらけである。仮説だらけで、色々なモデルも提案されているが、わたしの考えでは、まだ素人が理解するべきというほどの科学的レベルに達していないようだ。もちろん、英語圏の話だから英語に関する話は面白いし、支援の方法などについては学ぶべきことも多い。

わたしが、この類の原因探求にあまり期待しない理由は、ASDと同じことではと思うからだ。この本を読んでいてもそんな印象を受けるが、「ディスレクシアの原因」なんて、「野球が下手な原因」と同じくらいあるように思われる。「どうも遺伝するらしい」とか言ったところで野球の下手さだって遺伝するだろう。言語による違いと言っても、野球とサッカーだって違うし、片方が下手ならたいてい他方も下手だろう。脳画像や環境を調べたところで、同じようなことかと思われる。せめて、数パターンくらいに分類できたら、それぞれのパターンに対する支援とかも考えられると思われるが、まだ道のりは長いようだ。

だからといって、ディスレクシアを一つの集団として教育・福祉・支援の対象にすることが無意味とは思わない。そして、「野球が下手だと障害になってしまう社会」のほうにも目を向ける必要はあるだろう。特にこれからの時代、読み書きが大して重要でなくなる可能性もある。結論としては、この本を読んでも実用性はほぼないが、現状の把握という意味では関係者は読む価値があるのかもしれない。

 出版社 ‏ : ‎ Oxford Univ Pr

発売日 ‏ : ‎ 2019/7/23

言語 ‏ : ‎ 英語

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0198818304

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