2020年1月24日金曜日

Charles M. Schulz "The Complete Peanuts 1953-1954: Volume 2" [Peanuts完全版1953-1954巻2]

こんな速度で読んでいくつもりじゃなかったが…。

Charlie Brownはまだ時々意地悪だが、既に自虐キャラとして固まりつつある。CBがマンガを描くのは後にはあまり見たことがない。あとココナツが嫌いという設定もあまり見たことがない。Schroederはもう赤ちゃんではなくピアノの他にキャッチャーをやり始めた。もうCBとほぼ対等で、Shermyに取って代わっていくが、後にはLinusがこの役をすることになるのだろう。

Linusはまだ赤ちゃんでほとんどしゃべっていないが、毛布を持ち始めている。Lucyはまだ明確にCBより年下でチェッカーでずっと勝っている。ムダに意地悪とか、縄跳びの専門家とか、星を数えるとかの変な行動も出始めているし、Schroederが好きで、既にキャラが確定している。PattyとVioletはまだまだ出ているし、わりと最後まで出ていると思うが、Shermyは消えつつある。

新キャラとしてはPig Penが登場する。作者はあまり面白いことを思いつかないと言っていたが、かなりの人気キャラで、確かに良い。声の大きいCharlotte Braunは初めて知った。

絵はまだ立体感があるし、CBがまだ左から右にボールを投げている図もある。白目表現は後には見ない特徴だ。あと、学校でのエピソードがまだほとんどない。時代的にはアメリカはまだ48州。個人的には、1954年時点でCBが「誰かが先生にリンゴを持って行っているのを見たことがない」と言っているのに注目した。机の上にリンゴが置いてある=先生の机というマンガ表現がliz climoでもあるが…。歴史の勉強にもなる。

Love reading these comics. *SIGH*

Canongate Books Ltd(2007/6/27)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1847670328

2020年1月20日月曜日

Charles M. Schulz "The Complete Peanuts 1950-1952: Volume 1" [Peanuts完全版1950-1952巻1]

Snoopyは世界一稼いでいるキャラクターみたいなことで、グッズ関連は結構うんざりするけど、未だに机の上にはPeanutsカレンダーだし、昔から好きだし、そのせいで人生で最初に買った洋書はPeanutsだったし、この際、全部読むことにした。この巻は本当の開始期で、まだ後の定番キャラとかは出揃っていない。日本で言えば1952年でやっと鉄腕アトムが連載開始くらい。

というわけで、古さを感じさせる要素として、ようやくテレビが普及し始める頃なので、テレビよりラジオのほうが多い。Schroederが聞いているのはラジオかレコードだし、電話はもちろん黒電話だ。言葉も古くて、当時の流行語とかは辞書で調べると<古>とか書いてあったりする。とはいえ、ギャグとかに古い感じはしない。絵として見ると、後と大きく違うのは、画面に奥行きがあることで、テレビやラジオのほか、Schroederのピアノも立体的に描いてあって、これはこれで可愛い絵だ。後はほぼ平面構成になって、Snoopyが犬小屋の上で不可能な寝かたをすることになるが、今のところ、普通に犬小屋の中で寝ているし、そもそも二足歩行していない。様式化されていないので、話の内容的にもリアルな子供に近い。

キャラクターとしては、Charlie Brown, Snoopy, Shermy, Pattyくらいが初期メンバーで、この巻の時点では、SnoopyがCharlie Brownに飼われているとは確定していない。ごく初期にVioletが投入されて、後に比べるとCharlie Brownはずいぶんモテている。ShermyとかPattyとかVioletはCharlie Brownの友達というだけで、特に性格や典型的な振る舞いが設定されていない。Charlie Brownは既に後の抑鬱傾向が少し出ているが、まだGood Griefとは言っていない。かなり早い時期に投入されたSchroederは最初から天才ピアノ赤ちゃんで、とても可愛い。少し遅れて登場するLucyは最初から明確に性格が悪い設定だ。この巻で既にアメフトのボールを引っ込めている。続いて登場するLinusはまだ赤ちゃんだが、結局、この赤ちゃんキャラのまま毛布を引きずり始めるのだろう。

全体的に初期だからといって面白さが劣るわけでもないし、後の定番キャラも既に揃い始めている。重要キャラでまだ出てこないのはSallyとPeppermint PattyとMarcie、そしてWoodstockだ。かなりコアなファンでないと、これを一巻から読もうと思わないかもしれないが、中学とか高校の英語の先生は、こんなのから例文を採取できるんじゃないかと思う。わたしの記憶では、わたしは中学生で既に読んでいた。

At last. My most favorite comics in one package.

Canongate Books Ltd(2007/6/27)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1847670311

2020年1月15日水曜日

Richard Earl "Topology: A Very Short Introduction" [位相幾何学:非常に短い入門]

目次:1.位相幾何学とは何か 2.曲面を作ること 3.連続的に考える 4.平面と他の空間 5.位相幾何学の香 6.結び目か結び目でないか

最初のうちは地下鉄だのメビウスの輪だのオイラー数だのトーラスだのよくある話をしているが、連続性の概念からわりと急にε-δ論法や中間値の定理が完全展開され、何で解析学と思っていると距離空間から位相空間とか多様体とか群とかいう話になる。あまりこの方面の話は読んだことがないので、数学の色んな分野をどんどん横断していくように思ったけど、後から思うと自然な展開なので、数学科なら普通の教程なのかもしれない。最後のほうはポワンカレとかペンローズとか言っているが、コアな議論としては四次元を超える話はしていない。理論上は高校生でもわかる話だが、そんなにさらさら読めるようなものでもなく、実際には大学レベルだろうか。

現実に工学なんかで位相幾何学が必要になるのは、わたしのレベルでは異常事態だが、昔から興味のあるところではあった。ただ、この本を読んで思うのは、一応大学レベルで解析やら幾何やらをやってからでないと、意義が分かりにくいかもしれない。高校生レベルで結び目だのどうだのだけ説明しても詰まらないだろう。何でもポワンカレは数学を統一しようとした最後の数学者らしい。VSIの数学書としては、その意味で難しい部類かもしれない。良い本だった。

An excellent introduction.

Oxford Univ Pr (2020/2/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198832683