2016年11月22日火曜日

Matthew Reynolds "Translation: A Very Short Introduction" [翻訳:非常に短い入門]

1. 言語を渡り歩く事 2.定義 3.言葉と文脈と目的 4.形式と自己同一性と解釈 5.権力と宗教と選択 6.世界の言葉 7.翻訳文学

話は、ネイティブスピーカーのいない謎の中間言語、"kanbun-kundoku"漢文訓読から始まる。そう言われてみれば、我々はもっとこの奇妙な言語についてもっと真剣に考えるべきだった。本の主題は、翻訳者が翻訳をする時に感じている様々な方向からの制約、そして、翻訳が逆に言語や社会に与える影響。機械翻訳にも触れられるが、いずれにしても、技術的な話には深入りせずに、あくまで言語・社会と翻訳との関わりが主題だ。

個人的な事情として、わたし自身、翻訳者なので、色々「翻訳者あるある」な話や考えさせられる話があった。翻訳者や翻訳を目指す人は読んで損はない。mono-lingualな人がこの本を読んでも冴えないかもしれないが、それにしても、政治などが翻訳で決定的な影響を受けるようなことは良くある話で、ごく最近でも酷い誤訳が新聞やテレビをムダに騒がせていたりするのだから、誰でも翻訳についてこの程度の知識はあって良い。もっとも、mono-lingualがこのブログを読んでいるとも思えんが…。

さらに全く個人的な事情だが、翻訳業界では、「いかにも翻訳」な文体が軽蔑され、「日本語らしい」文体が良しとされているが、何かどうでもいい気がしてきた。昔なら、わたしが好きな宮澤賢治は翻訳でもないのに翻訳調の詩を書いて完全に成り立っている。最近なら、わたしが嫌いな村上春樹も翻訳調だ。そして何より、日本語は漢文訓読によって回復不能な影響を蒙っており、英文翻訳調を漢文訓読調に直しても何にもなっていない気もしてきた。まあ、言語感覚が繊細な人なら、また違う見解もあるのかもしれない。

It was a very good reading. I am a translator myself and I guess that my English a bit odd for native English speakers. Also, my Japanese is too affected by foreign languages and of course by kanbun-kundoku. That sounds awkward but being a walking-Babel is a source of a lot of fun.

Oxford Univ Pr (2016/09)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198712114

2016年11月17日木曜日

Scott Adams "Dilbert 2017 Day-to-Day Calendar" [ディルバート日めくりカレンダー2017]

そろそろ今年もそんな時期で、来年も定番のディルバート日めくりカレンダーを使う予定。Dilbertを知らない人はdilbert.comを見れば直ぐにテイストが分かるし、何なら毎日最新のマンガがWebに載るが、やはりマンガは紙で読みたいところもある。下に箱裏だけ訳しておく。

次にあなた自身の髪の尖ったボス(Pointy-Haired Boss:主人公のボス)が、何か予測できない問題がないか聞いてきたら、ディルバート2017カレンダーを素早く見て、上層部の素晴らしい経営能力によってすべてがコントロールされていると堂々と保証しよう。もちろん、こんなことをしても、こんな馬鹿げた質問には何の役にも立たないが、少なくともあなたは立派に見えるし、ディルバートのマンガを見るついでができて、もっと悪い事態も有り得たことを確認できるだろう。この日めくりカレンダーは全ての頁にディルバートのマンガが載っていて、一年間あなたの責任逃れを支援し、自分の仕事はマシだと思えます。

I am a big fan of Dilbert since many years. My co-workers and bosses do not read English readily so these cartoons are my secret pleasure which everybody always see but do not understand. Very comforting.

Andrews McMeel Publishing (2016/5/24)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1449476656