2016年3月31日木曜日

Barbara Bregstein "Easy Spanish Step-By-Step" [簡単スペイン語一歩ずつ]

目次:1.名詞・冠詞・形容詞 2.Estar, Ser主語代名詞 3.Hay、疑問詞、日、月 4.数、日付、時間 5.規則動詞 6.不規則動詞 7.Irと未来 8.形容詞と副詞 9.否定と前置詞 10.間接目的語 11.直接目的語 12.再帰動詞 13.接続法現在 14.点過去 15.線過去

スペイン語の独習用入門書。独検二級を取った後、週に三・四回程度、朝に二十分ほどずつ、半年くらいかかって終わった。真面目にやる人なら、一か月もかからないかもしれない。

外国語を始める時にどういう形態が良いかは人それぞれで優劣も不明だが、わたしのようにNHKフォーマット(スキット+語句文法解説)が苦手で、古典語のような文法+練習問題でやりたいムキにはこういう本が向いている。要所ごとにReadingが入ってくるが、基本的には文法事項と単語+ひたすら練習問題という形態だ。非常に良心的な本で、やっぱりこういう学習書は英語圏のほうが圧倒的に優れている。音声はないが、スペイン語はもともと発音が簡単だから、入門段階でさえ、ほとんど問題にならないだろう。

この本の注意事項として、早いうちに接続法現在が出てくる。動詞の形としては直説法現在の後に接続法現在を学ぶのは非常に合理的で、さして難しくもないのだが、多分、普通の学習課程では過去形や未来形を先に学ぶことが多いだろう。この点は、何か別テキストと並行してやる人は引っかかるかもしれない。ただ、この後、"Advanced"に進むわけで、どのみち、スペイン語文法を全部把握する気なら勉強する順番は問題にならないだろう。

McGraw-Hill Education (2005/12/21)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0071463386

2016年3月24日木曜日

Annie Heminway "Practice Makes Perfect French Problem Solver" [フランス語の問題を解決]

目次:1.名詞:性と複数化 2.アクサンと有音のhと大文字化 3.形容詞と副詞 4.便利な代名詞 5.過去に関わる時制 6.未来時制と条件法と接続法・Could, Should, would・Whatever, whoever, wherever, whenever 7.動詞転移 8.間違いやすい動詞 9.不定詞・使役・現在分詞・ジェロンディフ 10.動詞と前置詞

意味の分かりにくいタイトルだが、フランス語教師である筆者が、生徒が間違いを犯しやすい文法項目を選んで特に訓練する文法問題集。難易度は一応"Intermediate"ということになっていて、だいたい仏検二級程度だと思う。従ってわたしには易し過ぎる…はずだが、実際には結構ボロボロだったりする。

フランス語もB2レベルになると、あまり文法を練習することも少なくなり、ダラダラしていると文法を忘れてしまう。というわけでダラダラと数か月やっていたが、まあまあいい感じというか、結構危機感を煽られた。この本は、趣旨からして体系的ではないが、間違いやすい点は英語話者も日本語話者も大して変わらないのではないかと思う。その意味では冠詞が項目にないのは特徴ではある。わりと解説が饒舌で、とっつきやすいようにだとは思うが、面倒くさい面もあった。まあ、仏検二級程度の人にはちょうどいい独学復習教材ではある。Practice Makes Perfectシリーズの常で、とても良心的な作品だ。

As with always the case with "Practice Makes Perfect" series, this exercise book was very effective for me.

McGraw-Hill Education (2013/5/20)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0071791175

2016年3月21日月曜日

Nathalie Rouillé, Isabelle Raimbault "Dekita ! Apprendre ou Réviser les Bases de la Grammaire Japonaise Avec Exercices Corrigés" [できた! 解答付きで日本語文法の基礎を学び復習する]

フランス人向けの日本語問題集で、フランス人の評判は良いようだ。レベルはA2-B1とある。漢字はすべてカナが振ってある。もちろんわたしは日本人なので問題にならないし誤記を指摘できるくらいだが、それにしても日本語は難しい。普段あまり意識しないが、日本語とフランス語では文法体系が違いすぎる。改めてちょっと日本語文法を学ぼうかと思う。

Comme je suis japonais, je ne peux pas évaluer ce livre d'exercice. Bien sûr que c'est très facile pour moi, je suis choqué par le fait que la grammaire japonaise soit si compliquée... J'ai infiniment de respect pour tous les étrangers qui apprennent le japonais. Pendent ce temps, je voudrais apprendre la grammaire japonaise moi-même.

Ellipses Marketing (19 février 2013)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2729877217

2016年3月18日金曜日

Mike Goldsmith "Sound: A Very Short Introduction" [音:非常に短い入門]

目次:1.過去の音 2.音の性質 3.調和の音 4.音を聴くこと 5.電子的な音 6.超音波と超低周波 7.水中と地中の音 8.場違いの音

目次だけでは領域の広さが伝わらないかも知れない。音波の物理的な記述・和音と音楽の理論・人間の聴覚の仕組み・マイクやスピーカーなどの電子工学・色々な生き物の聴覚・潜水艦や非破壊検査や医学での超音波と低周波の応用・地震予知・騒音対策などなど。予備知識は何も必要なく、非常に読みやすいが、注記では数式は避けていない。色々な分野で人に語りたくなる豆知識が満載されている。音に関心のある人、たとえば音楽をやっているとか騒音対策に興味があるというような人は読む価値がある。とにかく広い分野に渡っているので、一つ一つはあまり深く解説はされないが、それでも知らないことばかりだった。何らかの形で音を仕事にしている人は、この本程度の知識はあって良いのかもしれない。

非常に短い本だが、面白すぎて読むのに時間がかかった。今まで200冊以上Oxford Very Short Introductionを読んできたが、実は「この件についてもっと研究したい」と思ったことはほとんどない。かなり面白くてもそれだけで満足してしまうのが常だが、この本を読んで真面目に音響工学をやる気になった。省みると、電気通信に詳しいせいで音について全く無知でもないし、何よりわたしは耳がかなり良く、音楽に全く興味がないにも関わらず音感は正確だ。一つ世界が開けた気がする。

Really fascinating. This book drives me into the world of sound engineering. One of the best books in VSI.

Oxford Univ Pr (2016/2/10)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198708445

2016年3月16日水曜日

Pénélope Bagieu "La Page blanche" [空白の頁]

どうもこの著者、一時期日本でも流行ったようで、「エロイーズ」という翻訳が出ている。多分、原書で読んでも翻訳で読んでもそんなに印象は変わらないのではないかと思う。

主人公、恐らく30絡みの女性だが、いきなり記憶喪失になっているところから話が始まる。ところが記憶喪失になったことを他人に知られたくない(何でか知らんが)ので、適当に調子を合わせつつ生活し、自分が何者かを探求していく。唯一頼れるのは同僚の一人の女性だが、記憶喪失前に特に仲良くしていたわけではないし、多分、主人公はちょっとバカにしていたくらいだろう。つまり、記憶喪失前の主人公は、さして好感の持てる人物でもなかったようだ。

読む前に知っておいたほうが良いと思うけど、基本的には何も起こらない。判明するのは、どうも記憶喪失前から単なるどこにでもいるメディアに踊らされる女だったらしいということくらい。謎で読者を引っ張るというよりは、自分の正体が不明と言う空気感を読ませるマンガだ。結局、正体は判明しないが、正体が判明したところで正体不明なのと何が違うのというような、非常に厳密に構成された話である。久しぶりに本格的なフランス文学を読んだ気がしなくもない。

En fin de compte, l'héroïne n'est pas identifiée. Mais, est-ce que cela ferait une différence?

Editeur : Le Livre de Poche (15 mai 2013)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2253167051

2016年3月2日水曜日

Pénélope Bagieu "Joséphine 3; Change De Camp" [ジョゼフィーヌ3:陣営変え]

前の巻でようやく誠実そうな男と付き合い始めた。前半は相変わらずだが、何分にもだらしない女で後半は妊娠してからの騒ぎ。といっても結婚するわけでもなさそうだ。わたしもそれほど詳しくないが、フランスはカトリックの国だから結婚が非常に重く、結婚ほどではないが民法上の準結婚みたいな制度が二、三あって、なんなら同性でもいい。カトリックという割には性的にだらしなさ過ぎる気もするが、とにかくそんな国なんだろう。ジョゼフィーヌのママは娘が結婚しないで妊娠したことに、やはりショックを受けているから、親はまた感じ方が違うのだろう。姉(普通に結婚して専業主婦)も世間体を気にしている。男たちの無関心との対照は笑いどころだ。あと、わたしはフランスでは労働者の権利が非常に強くて産休制度も充実していると教えられてきたが、ジョゼフィーヌは産休を取る時に上司に酷いことを言われている。…というような、教科書に書いてあるのとフランスの現実は違うということも分かるマンガというわけである。とにかく、このジョゼフィーヌ、軽薄でだらしなくて自分勝手で怒り過ぎだが、そんなのも含めてマンガになっているのは作者の力量だろう。醜い部分も含めて可愛く見えるのは相当洗練された感覚だと思う。

Oui, tout à fait fascinante.

Le Livre de Poche (1 juin 2012)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2253131854