2020年12月28日月曜日

Olly Richards "101 Conversations in Intermediate French" [中級フランス語の101会話]

なんか会話の勉強でもしようと思って読んだが…。確かに101の会話が収録されているのだが、すべての会話が全部つながって一つの物語になっており、会話集というより、これ一冊が映画の台本みたいな感じで読める。著者は最近流行りの「だいたい分かればいいから辞書なんか引かないでどんどん読め」というスタンスの人で、対象読者としてはA2で十分と言っている。少し難しい単語には全部英訳がついているので、確かにA2でほぼ筋は終えるかもしれないが、普通に接続法も出るので、完全にスキなく理解するためにはB1は必要だ。

(だいたいどの言語でも接続法は上級扱いだが、実際には些細な日常会話でも接続法は避けられないのが通例で。)

で、これが会話の勉強になるかというと…。この本の最大の問題は話が面白過ぎるという点にある。各会話の冒頭に地の文として説明があり、その後に会話が続き、この時点で映画台本だが、内容が警察の腐敗を扱っており、アメリカのテレビシリーズ「24」のように状況が二転三転し、バカバカしいとは思いながら、読ませるのは間違いない。少なくとも語学学習書と称するもので、こんなに内容が大人向きで面白いものは見たことがない。その結果、話は確かに面白かったが、特に有益なフレーズとかが記憶に残ることもなく、しかしextensiveとか多読とかいうのはこういうことなのだろう。冷静に読み直せば有益な文も回収できるのかもしれないが、わざわざ読み直す気にもならない。そもそもわたしはTCFでだいたいB2レベルをクリアしており、実際この本はわたしには易し過ぎるのだが、まあ、それでも面白かった。

Le pire problème avec ce livre est que l'histoire est trop intéressante. Je ne souviens aucune phrase utile, parce que je me suis concentre sur le contenu.

Independently published (2020/3/11)
言語:フランス語
ISBN-13 : 979-8613055326

2020年12月21日月曜日

Howard Phillips Lovecraft "The Call of Cthulhu" [クトゥルーの呼び声]

少し前になぜか流行ったクトゥルー神話の中の一つの短編。しかし、信者の人には申し訳ないが、これ自体が果たして名作かというと…。主題自体は面白いのでこれを原案に作家何人かで会議してマンガなり映画なりに…みたいな…。もともとホラー小説があまりというところもあるけど、これみたいにクトゥルーの物理的な実体が出てくると盛り下がるのを感じる。そういうことでは"The Shadow over Innsmouth"のほうが面白かったが、どっちにしろマンガでも読んだほうが良さそうだ。

Ia! Ia! Cthulhu fhtagn! Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah-nagl fhtaga....

Independently published (2020/8/5)
言語: : 英語
ISBN-13 : 979-8672658582

2020年12月17日木曜日

Charles M. Schulz "The Complete Peanuts Vol. 22: 1993-1994" [Peanuts完全版1993-1994巻22]

Martin Luther Kingの話をPeppermint PattyとFranklinがしているが、このマンガじゃないと無理な話かもしれない。Ethanが登場してインディアンの矢とかいう話も、今じゃ無理なんだろうな。

時事としてはSnoopyが最高裁判事になるというエピソードがあり、Snoopyが指名されると上院司法委員会の公聴会に呼び出されることになる。Linus "Now, you're facing the senate judiciary committee, and senator Biden asks you a though question.. How will you respond?"ここで出てくるBidenが現時点の次期米国大統領だ。あんまり政治家の名前の出てくるマンガではないが、Bidenは上院司法委員会に長くいて有名だったんだろうな。時事というより薄っすら記憶にある話で"Men are from Mars, Women are from Venus"というタイトルは懐かしい。Lucyが携帯電話を持ち始めた。テレビは相変わらずデカいが、リモコンは使っている。

Beagle Scoutの点呼で"Woodstock! Conrad! Bill! Raymond! Fred!"というのがある。Snoopyにウサギを追わせようとするエピソードが超久しぶりに出たが、これはFriedaの役だったはず。見た目が全然違うのは、作者も適当なのだろうか。 ここまでこのマンガでは、野球アメフトアイスホッケーは良く出ていたが、バスケだけはあまり出なかった。ここから急に増えてくる。LinusとSnoopyがからまって寝ているシーンは前からあったと思うが激増。Spikeが砂漠で一人で暮らすことになった理由が語られるが、かなり重要なエピソードだ。LucyとCharlie Brownのフットボールの件が音だけで画面に出なかったのは初めてのはず。

Joe Biden was mentioned by Linus here!

Canongate Books Ltd (2015/6/4)
言語: : 英語
ISBN-13 : 978-1782115199

2020年12月6日日曜日

Tom McLeish "Soft Matter: A Very Short Introduction" [やわらかい物質:非常に短い入門]

目次:1.やわらかさの科学 2. 乳状性と混濁とインク 3.粘液性と粘性 4.ゲル化と石鹸性 5.真珠性 6.生命性 結論.やわらかい物質から生命へ

タイトルが魅力的過ぎるので即買いだが、期待は裏切られなかった。自然科学系VSIで、なかなかここまで初耳な世界に出会うことは最近少ない。単純なコロイドの話とか液晶の話くらいは聞いたことがあるが、ポリマーのやわらかさと量子力学の関係とか、液晶と超電導の関係とか普通は知らないだろう。ちょっと勉強になることが多過ぎて簡単に紹介できないが、話の頂点は液晶の自己組織性から生物の動作に至るところだ。普通に大学くらいで勉強している人間でも、バクテリアの運動はバクテリアの意志で行われているくらいにしか思っていないと思うが、この本を読んでいると、ただの化学反応にまで還元されつつあることが分かる。なぜただの化学反応がバクテリアを特定の方向に移動させられるのかというと、構成分子自体に方向性があり、たとえば石鹸の疎水基と親水基や液晶の分子みたいなことだが、これにブラウン運動などか加わると統計的に一定方向に移動することになるというような、生物と物理化学の隙間がどんどん埋められていく。

ただ、この本、VSIの中でもかなり難しいほうの本であるのは間違いない。難しい話をかなり易しく書いてくれてはいるが、有機化学やら量子力学やら超電導やら統計熱力学やら結晶学やら、大学レベルの広範な世界からの総合科学みたいなことになっている。しかし、考えてみれば、我々の体や目の前の液晶をはじめ、身の回りにはやわらかい物質が多いのに、この巨大な世界が盲点になっていた。それはこの本を読んだから気付いたことで、知らなければ盲点は盲点と認識できない。一応、多くの人は流体力学くらいはやるので、粘性とかレオロジーとかいいう言葉くらいは知っているかもしれないが、この本は原子レベルまで戻って、結晶の対称性から論じているから、想像がつかないかもしれない。紹介しきれず、とにかく一読してもらうしかない…。

I really appreciate this book.

ISBN-13 : 978-0198807131
Oxford Univ Pr (2021/1/2)
言語:英語

2020年12月1日火曜日

Charles M. Schulz "The Complete Peanuts Vol. 21: 1991-1992" [Peanuts完全版1991-1992巻21]

記憶のあるマンガが増えてきた。ここから先は大体一度は読んだことがあるのかもしれない。このマンガでスクリーントーンは初めて見た気がする。Marcieのセリフ"How is it you are called?"と"What is it I am thinking of?"というのはフランス語直訳調ということなんだろう。Cormac登場。時々レギュラー陣より若い子が出てくるのはかわいい。Franklinが黒く描かれていないコマがあるが、単なるミスかpolitical correctnessか? Woodstockが経理をする時にサンバイザーをしているが、この時代は確かに事務は袖カバーのほかにサンバイザーが普通だったのだ。

Still lots to enjoy.

ISBN-13 : 978-1782115182
Canongate Books Ltd(2015/6/4)
言語:英語