2013年10月31日木曜日

Jean-Paul Betbèze, Jean-Dominique Giuliani "Les 100 mots de l'Europe"

これを読んだのは少し前で、忘れ気味だが、タイトルから分かりにくいが、要するにEUの解説と思って良い。ただ、EUの変化はIT業界並なので(特にこの間はリスボン条約)、今さらこの本は推奨しない。新版が出たらお勧め。

Une introduction de l'Union Européenne. Un peu vieille.

Presses Universitaires de France - PUF; Édition : 1 (13 avril 2011)
ISBN-13: 978-2130581437

Dominique Roux Xavier Niel "Les 100 mots de l'internet"

ネット関係のフランス語の語彙を拾うべく読んだが、(当たり前だが)一般人向けなので、わたしとしては当たり前のことしか書いていない。さらに、フランスはアメリカはもとより、日本や英国に比べてもネット普及が遅れている。ただ、一般人で多少ネットに興味があってフランス語の勉強をしようという人には良いだろう。一記事が短いので読みやすい。

Pour des amateurs, naturellement.

Puf (2012/11/28)
ISBN-13: 978-2130592112

2013年10月29日火曜日

Terence Allen, Graham Cowling "The Cell: A Very Short Introduction"

細胞についての普通の教科書的説明。あまり類書を読まないので知らないが、標準的なところではなかろうか。特に特徴があるようには思えなかった。ただ、話自体は面白い。

A standard textbook.

Oxford Univ Pr (2011/11)
ISBN-13: 978-0199578757

2013年10月25日金曜日

Larry Ullman "Modern JavaScript: Develop and Design"

JavaScriptの入門書にして決定版というところだろう。そもそもJavaScriptの入門書でこんなに分厚い例は他に知らないし、ずっと手元に置いておいてレファレンスとして使用することも可能だ。明白な開発目標もなく、ただできるだけJavaScriptを知り尽くしたいということならこの本以外に選択肢はない。習うより慣れろな人にはお勧めしかねる。

The most comprehensive introductory book of JavaScript.

Peachpit Press; 1版 (2012/2/17)
ISBN-13: 978-0321812520

Addy Osmani "Learning JavaScript Design Patterns"

いわゆるGoFのJavaScript/jQueryバージョン。前提知識としてGoFまたはそれ相当のものを理解していて、ある程度JavaScriptの経験を積んでいることが必要だ。その上でいくつか参考になる話もあるというくらい。

Some observations on JavaScript design patterns.

Oreilly & Associates Inc; (2012/8/27)
ISBN-13: 978-1449331818

2013年10月23日水曜日

Alan Winfield "Robotics: A Very Short Introduction"

ロボット工学の入門書・・・というよりは、ロボットの生態学というか進化学というか、概念的な説明である。たとえば、ロボットには感覚器官と動作機構が必要だとか、学習できるべきだとか、自分でエネルギーを補給できるべきだとか、「不気味の谷」があるとか・・・。現存する様々なロボットの例示も多いし、未来のロボット、たとえばセックスロボットにまで言及されている。しかし、ロボット製作に必要な工学などについてはほとんど説明されていない。この点に期待しているムキにはお勧めできない。従って予備知識はほとんど必要なく、中学生でも読めると言うか、中学生が対象読者なのかもしれない。

この著者は一貫して動物とのアナロジーを考えており、キリスト教文明の強迫観念を感じる。生物を概念的に機能分解して、それぞれの機能と各種ロボットが実現している機能を説明することが多く、そんなことにあまり興味のない実用主義の日本人には、いまいち趣旨が分からないところかもしれない。これは個人の嗜好の問題かと思うが、翻訳してもいまいちの気がする。

A conceptual introduction to robotics. It explains how well robots mimic functions of animals. But not explains mechanics.

Oxford Univ Pr (2012/11/17)
ISBN-13: 978-0199695980

2013年10月22日火曜日

David Adamy "Ew 101: A First Course in Electronic Warfare (Artech House Radar Library)"

電子戦の技術(基礎編)ということで邦訳が出ているが、実際には、アンテナ・レーダーの動作原理とその妨害・欺瞞方法を概念的に解説するのが中心的なテーマである。アンテナやレーダーの基本原理を理解していれば、特に他の予備知識は必要ない。話として難しいわけではないが、民間人がレーダーの妨害を考えることはほとんどないし、ましてや欺瞞の必要性もない。その分、斬新に楽しい。もっとも、個人的には、この話は懐かしいという面のほうが大きい。みなさんもこの本を読んで画期的な電子戦術を発明すれば、自衛隊基地に数ヶ月間軟禁されるかもしれない。

そして、この本、EW102,EW103と続編もあるが、書いている内容が初歩的とは言え、特にコンピュータが入ると内容が直ぐに古くなるのは否定できない。Journal of Electronic Defenseでの連載は続いていて、今は赤外線の話をしているが、こういう内容なら古くならないのだが・・・。もちろん、本気で興味のあるムキはJEDの購読をお勧めする。

It explains basic ideas in electronic warfare. Readers are expected to have basic knowledge of the radar and the antenna, but easy to read enough.

Artech House (2001/02)
ISBN-13: 978-1580531696

Cody Lindley "Javascript Enlightenment"

JavaScriptのいろんな面についての短い雑多な解説をいくつかまとめたもの。が、主軸はオブジェクト指向部分であり、用の無い人には用が無いところだ。他方、何となくJavaScriptを使っている人にとっては、発見があるかもしれない。ただし、オブジェクト指向の一般理論の知識は前提である。prototypeって何、みたいなことだと、この本の大部分は読めない。わたしとしては、ある程度、言語仕様から入ったところがあるので、その方面ではあまり開眼するようなことはなかったが、知らないこともいくつかあった。

Even if you are a seasoned JavaScript programmer, you might find some knowledge that you never had in this book, especially if you have never learned the language in a formal way, which is highly possible.

Oreilly & Associates Inc (2013/1/7)
ISBN-13: 978-1449342883

2013年10月21日月曜日

Nicholas C. Zakas "Maintainable Javascript"

タイトルが分かりにくいし、「メンテナブル」とかいう日本語タイトルにするのもどうかと思うが、要は保守性の高いコードを書くためのガイドライン集。インデントスタイルとかグローバル変数を使うなとかinnerHTMLを使うなとか色々うるさい。わたしとしては、常識的なところばかりだと思うが、初心者、特に他の言語の経験もないような完全な初心者は読んでおいたほうがいい。といっても、これを金科玉条の如く信じ込み、他人のコードにケチをつけてくる奴も出てくると思うと頭が痛い。基本的には、複数人巻き込むある程度大規模な開発に関係する話で、一人でやっている人には関係が無い。一人で書いていて保守困難になるのは勝手だし、そうしてキレイなコードを書く必要性を学んでいくものだ。ある程度苦労しないとこの本の意味が分からないかもしれないし、永遠に分からないのなら、それはそれで構わない。

A style guide. Indent style, separation HTML from JavaScript, avoid global variables.... Very practical yet I wish you are not going to be too strict.

Oreilly & Associates Inc (2012/5/31)
ISBN-13: 978-1449327682

2013年10月18日金曜日

Robert C. Allen "Global Economic History: A Very Short Introduction"

このタイトルでは良くわからないが、ある国が経済発展したり、ある国がずっと貧困だったりする理由を説明しまくる本である。特に何度も繰り返されるのが「低賃金の国では新技術の導入が割に合わない」という説で、たとえば、イギリスで産業革命が起きたのは賃金が高かったからだと言う。なぜイギリスの賃金が高かったのかは不明だが・・・。他には市場の大きさとか教育水準とか関税とか資源とか差別とか戦争とか、まあ、だいたい標準的な説明がされている。正直なところ、わたしとしては、「だから何」という気分が強い。が、多分、標準的な説明ではあるので、大学生が勉強する分には、非常にコンパクトで良いのではなかろうか。

No eye-opening discoveries, but very standard explanations on why some countries gets rich and some countries gets poor, I guess.

Oxford Univ Pr(2011/11/15)
978-0199596652

Lewis Wolpert "Developmental Biology: A Very Short Introduction"

いわゆる発生生物学の概説。普通に高校で生物を勉強したくらいの予備知識で十分かと思われる。近頃はiPS細胞だとかで盛り上がっているので、易しく書かれたこの本は売れているのではないかと思う。実は個人的にはあまり斬新な知見はなかったのだが、生物の精妙さにはいつも癒されるところだ。

A good overview of developmental biology. Nothing difficult. Be prepared for iPS revolution.

Oxford Univ Pr(2011/9/2)
ISBN-13: 978-0199601196

Michael J. Benton "The History of Life: A Very Short Introduction"

生命の誕生から始まる生物史・古生物学。天文学も地質学もそうだけど、結局は想像でしかないのが熱い。特にこの本では、最初の生命の誕生とベルム紀大絶滅が熱い。もちろん他にも、陸上への進出とか骨格の獲得とか恐竜の繁栄とか、一々熱くて退屈しない。また、この分野は進歩が激しいので、学生時代に勉強しただけというような人も読むと衝撃を受けることが多いかもしれない。予備知識は必要ない・・・真核生物と原核生物の違いが分からんとか、そんなのはググればいいだろう。

A great overview of palaeontology. Fascinating.

Oxford Univ Pr(2008/12/15)
ISBN-13: 978-0199226320

Martin Redfern "The Earth: A Very Short Introduction"

地球の入門書・・・実際には、地質学が主で、地球の内部構造や大陸移動、地震や火山の構造の概説である。たとえば、気象などにはほとんど言及が無い。あくまで、地球の内部のほうに関心がある。たとえば、高校の地学では、マントルに引きずり込まれた海洋底がその後どうなっているのか全く不明だったが、この本によると、マントル底部でちぎれたりしながらも形をまだ保っているらしい。とか、地球の中心核はどんどん固まっていっており、数十億年後には完全に個体化するとか・・・。わたしとしては結構面白かった。特に地球の住民にお勧めしたい。自分たちの足元で何が起こっているか、多少は知っておいた方がいいだろう。

A good overview of the planet and it should have been titled as "Inside the Earth". Fascinating and I recommend this book to all inhabitants of the planet. We should know what is going on under our feet.

Oxford Univ Pr (2003/9/25)
ISBN-13: 978-0192803078

Richard Creightmore "Feng Shui: Secrets of Chinese Geomancy"

いわゆる風水の紹介。日本語の読める我々としては、こんなものを英語で読む必要もないし、さらにそれが日本語訳になる意味も不明だが、Wooden Booksの趣旨として男子中学生向きと思われ、学校の図書館とか家庭に置いておくのにはいいだろう。わたしはというと、迷信占いの類は全面無視するタイプだが、地形や建物が人間心理に影響するのは明白だし、よほど変なことを言い出さない限り、風水の話も聞いても良いのではないかと思っているくらい。

A brief introduction to Feng Shui. A good start for westerners. Generally I ignore astrology or Tarot or anything like that sort. But, since it is not surprising that geography has some influence on human psychology and I am a Japanese, I have some respect for Feng Shui. That said, I guess it is highly influenced by one's cultural context or background.

Walker & Co (2012/1/17)
ISBN-13: 978-0802777874

Michael Hoskin "The History of Astronomy: A Very Short Introduction"

標準的な天文学史。ギリシアとかバビロニアから始まり、アリストテレスとかプラトンとか、中世とかイスラムとか、ケプラーとかニュートンとか、天王星の発見とか銀河系の発見くらいまで。よくある話なので大して期待していなかったが、想定外に感動した。もっとも、良く考えると普通のことしか書いていないので、単に物理学史の好きなわたしの個人的な趣味かもしれない。ただ、情報量も多いし、この手の本にありがちなどうでもいいキリスト教批判とか古代文明に対する過剰な称賛罵倒の類も少ない。類書の中では最善かと思われる。

A standard overview of the history of astronomy. It lacks views over Chinese or Asian astronomies, but who cares? Anyway I can read Japanese and Chinese.

Oxford Univ Pr(2003/7/31)
ISBN-13: 978-0192803061

Terry Eagleton "The Meaning of Life: A Very Short Introduction"

人生の意味とかタイトルが終わっているが、予想よりは面白かった。特にイーグルトンの考え方に関心があるわけではないが、散りばめられている色々な思想家やら文学者の見解が面白い。特に予備知識も必要ないが、哲学慣れしていないと、面倒臭いところもあるかもしれない。わたしとしては、今更マジメに考える気にならないが、他人がマジメに考えているのを追う程度の関心はあるくらい。

Various citations from world famous philosophers or authors.

Oxford Univ Pr(2008/6/30) ISBN-10: 0199532176
ISBN-13: 978-0199532179

2013年10月17日木曜日

Shelley Powers "JavaScript Cookbook"

JavaScriptのいわゆる逆引き辞典。結構分厚くて、かなり下らないことから、やたら込み入った話まであるが、全くJavaScriptを知らない人が(他の言語を知っていたとしても)この本で入門するのは難しい。個々のトピックについてかなりの解説があるので、勉強になる。好みによるが、わたしとしては、これくらい解説をいれてくれたほうが応用が利いて楽だ。純粋にとにかく逆引きということであれば、情報量の多い「JavaScript逆引きハンドブック」(シーアンドアール研究所)もわたしの机上で活躍している。

A good reverse dictionary. Not only practical but also very informative.

Oreilly & Associates Inc (2010/7/23)
ISBN-13: 978-0596806132

Christopher Schmitt, Kyle Simpson "HTML5 Cookbook"

いわゆる逆引き辞典だが、極めて初歩的なところから解説されているので、HTML5学習者は、真面目な入門書より、こちらのほうが楽というか手っとり速いこともある。個人的には逆引きより正引きのほうが利用頻度が高いが、これは人それぞれだろう。日本では色々カラフルかつコンパクトなHTML5逆引き辞典があるので、強いてこの本である理由はないが、通読しやすいのと俗悪感がないのは大きな利点だ。

A reverse tag dictionary. I usually prefer a normal dictionary, but it depends. It is practical to become acquainted with HTMl5 by reading through this book. Some prefer a more academic book, though.

Oreilly & Associates Inc (2011/11/28)
ISBN-13: 978-1449396794

2013年10月16日水曜日

Jennifer Niederst Robbins "HTML5 Pocket Reference"

単なるHTML5のコンパクトなタグ辞典だが、案外こういうシンプルな本がないような気がする。いわゆる「逆引き」みたいな本は特に日本語では色々あるが、すんなりタグの列挙と解説が見たければ、これのほうがいい。

Just a simple list of HTML5 tags. Really practical.

Oreilly & Associates Inc; 5版 (2013/8/8)
978-1449363352

2013年10月11日金曜日

Bruce Sharp, Remy Lawson "Introducing HTML5"

アメリカのIT書籍の一つの典型だと思うが、著者の思考・嗜好・試行に一々付き合わされる本だ。趣味とレベルが合えば、読み物として面白いが、わりと対象読者が狭い。また直に実装者に役立つわけでもない。ある程度HTML/CSS/JavaScriptに通じていて、HTML5に関心を持ち始め、技術思想や仕様の細部を面白いと思う人が読者候補だが、それにしても試し読みしてから買った方が良い。わたしとしては、動画の章がポイントだったが、もちろんこの本だけでコードが書けるわけではない。「HTML5入門」ということで日本語訳も出ているが、果たしてどれだけ読者が獲得できているのか・・・。今となっては、HTML5については、他にも色々良い本があるし・・・。

Be prepared for a very chatty style and authors' trials and errors. For me, it was worth reading, especially the chapter for <video> and <audio>.

出版社: New Riders Press; 2版 (2011/10/18)
ISBN-13: 978-0321784421

2013年10月9日水曜日

Scott Adams "Dilbert 2014 Day-to-Day Calendar: There's No Kill Switch on Awesome."

ちと気が早いが来年のカレンダー。来年もDilbertで。Dilbert Calendarは何種類も出ているが、机上用day-to-dayブロックが最もお得。意味の分からないギャグがあっても、dilbert.comで検索すれば全部出ていて、誰かが意味を解説している。エンジニアの英語の勉強にもどうぞ。

Always on my desk for several continual years.

出版社: Andrews McMeel Publishing(2013/6/4)
978-1449430290

2013年10月2日水曜日

Jonathan Horning, Brock Horning "Simple Shelters: Tents, Tipis, Yurts, Domes and Other Ancient Homes" (Wooden Books)

世界の伝統的な簡易な住居のコレクション。構造と作り方が簡単に描いてある。遊牧民のテントなどが中心だが、木造や竹造、日干しレンガなどにも触れている。コンセプトとしては、「君たちも作って泊ってみよう」というようなことで、田舎暮らしで器用な人なら実際に作れるだろう。ボーイスカウトの野外活動のようなイメージ。イグルーを作れる人は少ないと思うが、インディアンのテントくらいならわたしでも何とかなりそうだ。読んでいてとても楽しい。イラストのせいか事が本質的にそうなのか分からないが、小さな住居というのは可愛いものだ。Wooden Booksにありがちな神話めいた記述は少ない。少し違うかもしれないが、日本ではホームレスの人たちの住居のコレクションが複数出版されているが、こういうのは、簡単に言うと男子が萌える話である。

A rare gem from Wooden books. Boys are boys. You can build at least one of them, depending on your circumstances.

Walker & Co (2009/10/27)
ISBN-13: 978-0802717733