2024年2月28日水曜日

Ethan Kross "Chatter: The Voice in Our Head, Why It Matters, and How to Harness It" [おしゃべり:わたしたちの頭の中の声、なぜそれが問題なのか、どう制御するか]

Chatter (Amazon.co.jp)

まず、著者の言うchatterの定義が分かりにくいが、要するにネガティブな言語的な反復思考という感じだろうか。ネガティブとも限らないようだが…。実はこの点が最後まではっきりしないのがこの本の致命的な欠点だ。具体例としてムダな心配とかトラウマの反復思考とか共同反芻とか他にも色々あるんだが、共通する要素が良く分からない。科学的に何かあるのかもしれないが。

で、対策として儀式とか自然を見るとか偽薬とか、一体何の話なのか…。一つ一つの項目も大した話がないし、とにかく話がバラバラに思える。こういう自己啓発本はもともと当たり率が低い。ハズレでした。

Crown (2021/1/26)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0525575238

2024年2月15日木曜日

Oliver Linton "Mathematical Functions" [数学の関数]

Mathematical Functions (Amazon.co.jp)

色々な関数をグラフと共に紹介する図鑑的な本。日本なら高校生くらいが対象だろうか。ニュートン別冊というような感じもする。微積だの複素関数だのも一応出てくる。個人的に最近曲線を眺めるのが好きで、別にただそれだけだが。もちろん真面目に数学の勉強をするのならこんな話ではないが、こういうの、中~高校の図書室とかに置いておいたら引っかかる子もいるんじゃないかなあ。

Wooden Books (2023/9/15)
言語 : 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1907155444

2024年2月13日火曜日

Earl Fontainelle "Logic: The Ancient Art of Reason" [論理:古代の推論技術]

Logic (Amazon.co.jp)

論理学の入門というところだが、今時の記号論理学とかいうことではなく、古典ギリシアから近代まで普通に教えられていたいわゆる伝統論理学。別に古いからと言って使えないわけではないし、この基礎がなくて記号論理学や非古典論理とか言っても仕方がないし、正直なところ、この程度の入門書でもショーペンハウアーの議論術なんか不要になる。もっとも一般的には流行る話ではない。古典論理学は中世にほとんど完成されているし、実質が必要なら現代風の分かりやすい本なんかいくらでもある。

わたしはというと、学生時代にわりと真剣に伝統論理学をやったことがあり、ラテン語も読んでいたので、三段論法の格式(Barbara, Calarent...)とか真面目に覚えていた。ただただ懐かしい。ノスタルジーは別として、ではどういう人がこの本を読んだり、またはもっとちゃんとした伝統論理学を勉強するのか考えると、多分、カントだのヘーゲルだのを真面目に勉強しようとしてる人かと思う。本気の勉強にはもちろんこんなのでは無理だが、雰囲気を知るだけならこれで済む。現代論理学を勉強するに当たって伝統論理学も知っておきたいということなら、この本で当りをつけるのも妥当なところかもしれない。

Bloomsbury Pub Plc USA(2016/9/13)
言語: 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1632864451

2024年2月12日月曜日

Guy Ogilvy "The Alchemist's Kitchen: Extraordinary Potions & Curious Notions" [錬金術師の調理場:素晴らしいポーションと面白い概念]

The Alchemist's Kitchen (Amazon.co.jp)

"lapis philosophorum"は"philosopher's stone"ではなく"philosophers' stone"だと思うがまあそれはさておき。古い西洋絵画を見ていると大量の予備知識が要求され、ギリシア神話・ローマ神話・キリスト教・紋章学・占星術・図像学とかなんかてんこ盛りの中に錬金術というものもあるようだ。この本は別にそういう美術的方向性で書いてあるわけではなく、むしろガチ錬金術入門書という感じで、そのほうが我々は読みやすい。やたら複雑な体系性があるわりに現代人から見れば呪術でしかないが、読んでいるとハーブだのアロマだのにハマる気持ちも分からなくはない。しかし錬金術は確かに現物を扱っているから、精錬だの蒸留だのやっているうちに化学が生まれるのは分かるし、占星術も天文学が前提だ。気のせいで済む話ではない。化学と錬金術は地続きだ…。錬金術の研究書は色々あるが、多分これが一番軽い。

Bloomsbury Pub Plc USA (2006/10/17)
言語: 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0802715401

 

2024年2月7日水曜日

Charles Duhigg "The Power of Habit: Why We Do What We Do in Life and Business" [習慣の力:なぜ我々は生活と職業で我々がしていることをしているのか]

The Power of Habit (Amazon.co.jp)

習慣の力 (Amazon.co.jp)

目次:1.習慣のループ 2.欲望する脳 3.習慣を変える黄金の規則 4.要石の習慣またはポールオニールのバラード 5.スターバックスと成功の習慣 6.危機の力 7.あなたより先にターゲットがあなたの望みを知る方法 8.サドルバック教会とモンゴメリーのバスボイコット 9.自由意志の神経学

評判のいい本だが…。半分くらいは商売系でラウリル硫酸塩で物が売れるとか、組織の習慣で不祥事とかいう、あまり感心しない話。なんかエピソードが弱いのと、個人的に組織に関心がない。残りの半分は悪い習慣を断ち切る話で、アルコールとかギャンブルとかがメイン。こっちもこっちでわたしは弱いと思うが、人によるのだろう。わたしの中にどうにかしたい習慣がない。酒もタバコも好きだが健康に良くないので両方しない、と言って済む性格だ。話の前提として、習慣を断ち切りたいと思わないと何も変わらないと本書も言っているが、個人的に別にない。

じゃあなんでこんな本を買ったのかということだが、わたしの場合、習慣というよりASD的な意味でのルーティンへの固執が強いところがあり、おかげで勉強もできているしジムも通い続けられているわけで、そっち方向からの関心だった。ただ本書はそういうことではない。特にエピソードも弱いが、科学面も弱い。それでも名著とされているのは、実践的だからだと思うが、実践する用事がなければ別にという。

Random House (2012/2/28)
言語 : 英語
ISBN-13: 978-1400069286

2024年2月6日火曜日

Cecelia Watson "Semicolon: The Past, Present, and Future of a Misunderstood Mark" [セミコロン:誤解された記号の過去現在未来]

Semicolon (Amazon.co.jp)

目次:序章.愛と憎しみとセミコロン 1. 深い歴史:セミコロンの誕生 2.セミコロンの科学:アメリカ文法戦争 3.セクシーなセミコロン 4.緩い女性と禁酒法:セミコロンがボストンを混乱に陥れる 5.慈悲の詳細 6.セミコロンを石に刻む 7.セミコロンの賢者たち 8.説得と気取り:セミコロンはスノブのためのものか? 終章.規則に反して?

タイトルの通りだが、著者自身は元々「正しい英語」にやたら拘って研究していた過去があるが、ある時急にアナーキストになったようだ。たまにこういう人いるよね…。そしておそらくトレンドでもあるだろう。日本語でもやたら「正しい日本語」を強要する時代と、「文法学者のほうが現実に合わせろよ」の時代が入れ替わる。わたしとしては「なんでNHKに正しい日本語を決める権利があんねん」とか思っているほうなんで、良い時代になったと思っているが。

実はその点がこの本の主たる主張みたいなところがあり、わたしとしては、その点に関しては著者にそんなことを言われるまでもない。どっちかというと「正しい英語」派の人が読んで改心するかどうかという本だろう。個人的に面白い所としては、法律関係で「句読点の解釈で法解釈が変わる」みたいなところくらいか。こういうことがあるので国家権力が正しい日本語を決める必要もあるわけだ。他のところは、まあ一応セミコロンの歴史を辿ったり、正典文学の中でのセミコロンの使用に随想をくっつけたりしているが、基本的には要するにセミコロン随想というか、無駄口が多くて面倒くさい部分も多々あり。

全体的には軽い読み物。あとはこの著者の趣味が合うかどうか。英文を書く時の参考にする人もいるかもしれないが、わたし自身はまず使うことはない。使うチャンスがないわけではないが、要するに気取る必要がないという…。

Ecco (2019/7/30)
言語: 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0062853059

2024年2月2日金曜日

M Watkins "Useful Mathematical and Physical Formulae" [有用な数学と物理学の公式]

Useful Mathematical and Physical Fromulae (Amazon.co.jp)

タイトル通り見開き頁ごとに一つのジャンルの公式と若干の解説がある。知らない公式はないし、解説も淡々としたもので、我々が見てもほとんど無意味…。だが、まあ図鑑ということなのだろうか。評判も良いようで、ある種の子供には魅惑的なのかもしれないし、大人も結構楽しんでいるようだ。

出版社 : Wooden Books (2001/10/1)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1902418339

 

Steve Marshall "Acoustics: The Art of Sound" [音響学:音の芸術]

Acoustics: The Art of Sound (Amazon.co.jp)

音波の科学から人の聴覚・録音再生技術まで一通り。わたしとしては騒音振動の公害防止管理者/計量士で勉強した範囲が半分くらい。無線・電気通信・電子回路などで勉強した範囲が1/4くらい。残りの録音した音をいじる技術などはあまり知らない感じ。Wooden booksなので、対象読者は多分中高生くらいだが、完全に理解するのは日本の普通の大学生相手でも難しすぎるように思う。dBの説明も薄いし(対数の説明からするのは不可能だが)、フーリエ級数展開は論外としても、回路図なんか普通読めないだろう。まあ雰囲気だけ分かればいいのかもしれない。もちろん、わたしが異常者なのであり、普通の大人にとっては知らないことばかり書いてあるし、相当楽しめるだろう。音楽に興味がないとしても、音に無縁の人は少ない。

わたしは耳はやたら良く、音感も正確だが、音楽に全く興味がない。つまり音をHzとdBとしか思っていない。今まで住宅騒音で二度引っ越している。「こちら側のドアが開きます」は全く理解できないが、そもそも音が何重にも反射するエレベーターの中で音の定位ができるわけがないと思っている。というくらいの音への関心だが、音楽をやる人/聞く人は読んで損はないかもしれない。すぐに読めるし、多分、この本がカバーする範囲を全部わかっている人も少ないと思う。

出版社 :Wooden Books (2022/11/1)
言語: 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1907155437

2024年2月1日木曜日

Tung Ken Lam "Origami: From Surface to Form" [折紙:面から形へ]

Origami:From Surface to Form (Amazon.co.jp)

日本の本屋で手芸とか趣味の棚にあるような折紙の本というより、数学書の棚に置いてあるたぐいの折紙幾何学とか折紙工学とか呼ばれるジャンルの入門書。色々な折り図も紹介されているので、単に折紙の本としても読めることは読める。ただ、説明がかなり不親切だったり不正確だったり誤記誤図も多くて、折りたいだけの人には勧められない。わたしはこの本に出てくる作品は一部の異様に難しいものを除いてほぼ全て自分で折ってみたが、相当苦労した。実際、ある程度数学力がないと解明できない折り図も多い。日本なら初等幾何学の好きな中学生くらいでも本気を出せば解明できるかもしれないが、普通無理だと思う…。

そんなわけで薄い本だが読み終わる(折り終る)のに二か月以上かかった。一般人にはお勧めできる本ではないし、もっと優れた折り紙の本もあると思うが、わたしにとっては人生を変えた本とまで言えるかもれしない。今まで折紙なんかまったく興味がなく、子供の頃に折った記憶もほとんどないが、今部屋に折紙の本と立体幾何学の本が積み上がり、数百枚の折紙が散らかっている。理論の説明も結構あるが、読んでいる時間より、考えたり折ったりしている時間のほうが圧倒的に長い。印象に残った具体的な作品をいくつか記録しておく。

Magazine box。なんでもない基本的な作品だが、単純な折り方で立体が構成されたのが衝撃だった。

Water bomb。要するに紙風船。これも基本的だが、今までに折った記憶がない。自分で分析して分かったが、この本も含めて、たいていの作品は一般的な指示通りに折ると誤差が大きい。多分、異様に器用な人間を想定しているのだろう。

正八角形の折り畳み。これは理解するのに少し手間取ったが、折り畳みの楽しさがある。誤差を縮める折り方を開発するのに試行錯誤した。

Icosahedron。特に正方形の紙からの正二十面体。作り方は全く説明不足だが、解明して組み上げた。そもそも20unitsも必要ない…。数学の本にはよく正二十面体の図は載っているが、こうして自分の手に取れるのは素晴らしい。この本では五つの正多面体のうち正十二面体の折り方だけ載っていないが、別途作った。正二十面体は多少固定が必要だが、正八面体は簡単に無限に作れるので暇つぶしによい。

WXYZ。これは多面体折紙の最高傑作。折り図や完成図は意味不明だが、自力で考えながら組むのは、そんなに難しくはない。実は完成品を見ても意味が分からないくらいだが、要は4つの正三角形が三次元で交差する形になる。本書には説明がないがユニットの組み方で光学異性体が存在する。だからこんな名前なのかもしれない。既にもう五個か六個作った。

A4の紙から帯を切り出して編み上げる立方体。これは本書に寸法が書いていないので、自分で計算しないといけない。ここまで本書についてこれた人なら自力で計算できるのではないだろうか。画用紙を使ったほうが良い。

Corrugation。いわゆる波形。特にwater bombを基準にしているほうは簡単で、A4の書類でも畳める。Miura-oriみたいに簡単に広げたりはできないが。折り図は意味不明だが、ここまで来た人なら折れる。