2014年6月26日木曜日

R. D. Laing "Wisdom, Madness and Folly"

レインの著作をたいてい読み終えてしまってから、最後に読んだ本。わたしがレインを読み始めた頃は、既にいわゆる反精神医学というのも失敗が明らかになっていた頃だったと思う。レインは、わたしにとっては、精神分析からもっと広大な哲学の世界への懸け橋だった。もちろん、実存主義はとっくに力を失っていて、みんながバカにしていたが。わたしの理解では、レインは実存主義的な心理学を分裂病(統合失調症)患者に適用して、いわば正常人に対するのと同じように分析できると考えたんだと思う。現状はというと、実存主義は哲学としては現象学にオーバーライドされ、精神病の理解としては、脳科学ないし行動療法のようなもっと単純な話に完全に圧倒されている。二つの流れに共通しているのは、実存主義が絶対視していた自己意識というものを軽視しようとする風だと思うが、そんな簡単に済む話かねえと最近は思う。この本についてはエッセイ的なところでもあるし、わりと入りやすいところだろう。

An autobiography and also a good intro to Laing.

Canongate Pub Ltd(1999/03) ISBN-13: 978-0862418311

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