2014年6月24日火曜日

Peter Singer "Marx: A Very Short Introduction"

しばらくVSIの思想家本を読んでいるが、これは出色だ。著者はVSIのHegelも書いていて、こちらも悪くない。マルクスに関してはそこそこ色々読んでいるが、入門書としては一番だと思う。特に日本語だと、ムダに戦闘的だったり晦渋だったりバカだったりするし。

個人的には、少なくとも小学校は日教組全面支配で、今から思うと完全にバカ共産主義の典型的な教育で酷い被害を受けたし、大学は大学で平気で古いマルクス主義経済学をやっていて、まあ話としては面白いが、学問的レベルが激低だったりで、いわゆるマルクス主義者には嫌悪感しかない。本書にもバクーニンの異議(結局酷い独裁政権ができるだけでしょ)が挙げられているが、別にソ連が崩壊しなくても日教組レベルで恐ろしい状況が生まれていたわけで、あの状況を恐ろしいと認識できない人間が共産主義なんかやっているんだろう。ゾッとする。いや、逆に完全右傾化教育も同様に酷いと思うが。

しかし、そんなわけでマルクス研究者は、経済学から哲学方向へシフトし、特にフランス語圏からその潮流が日本に流れ込んだこともあり、好き嫌いはさておき、マルクスの生み出した概念などは我々の思考に完全に入り込んでいる。特に近頃のワーキングプアとかブラック企業とかいう話を聞いていると、普通にマルクス主義が復活するとは思えないが、労働から疎外されるという主張は一定の説得力を持つようになるだろう。承認欲求とかいう言葉も流行っていて、まあ基本的には労働していない人間が騒いでいるが、人間らしい労働こそが真っ当な承認欲求を満たす方法だと主張することもできるだろう。そういう方向でも一つの示唆にはなるかもしれない。別に今さらマルクス主義者が増えたりもしないだろうし、こういう本で見直してみてもいいと思う。

Very good intro. It is not probable that Marxists increase at this stage of history. Now we can discuss Marx's legacy without much ado.

Oxford Univ Pr (2001/1/18)
ISBN-13: 978-0192854056

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