2023年5月25日木曜日

George S. Clason "The Richest Man in Babylon" [バビロンの大富豪]

あまりこういう蓄財本は読まないし、読んでもあまりここに書いたりはしないのだが、たまたまタダで読めた。有名な本は有名というだけの理由で読んで損はない。大雑把に言うと、例えば収入の1/10を貯蓄せよとか、賢明に投資せよとかいう教訓を古代バビロンを舞台にした寓話で教えるような本。書いてあるのは一般的な教訓で、具体的な投資手法が書いてあったりするわけではない。そもそもの原本が1926年刊とかで、今に至るまでずっと売れ続けてきた本かどうか知らないが、最近書店で日本語訳が平積みになっていたりする。確かに読みやすいが、こういう本が読まれるのはいろいろ考えさせられる。

この話の舞台になるバビロンは、自由人と奴隷がいるようなとんでもない格差社会で、かなりの部分が奴隷がいかにして自由人に成り上がるかという作戦に充てられている。奴隷と言っても昔のアメリカの黒人奴隷とは違い、財産を持っても良いし、自由人が奴隷になったり逆もあり得るというような設定で、要するに現代社会で言えば労働者と資本家ということになるのだろう。だから、この本はいかにして労働者が成り上がって資本家側になる方法として読まれている。勤勉・倹約・投資…。ちゃんとした家を持てというのはいかにもアメリカか。

現代社会で自分=労働者=奴隷と定義した上で、自分も自由人=資本家(投資家)になりたい/なれるという世界観の人がどれくらいいるのか分からないが、こういう本が売れる以上は、それなりにいるんだろう。こういう本がそういう世界観を広めている面もありそうだ。そもそもの話として、労働が好きで、その労働が十分な生活費を出してくれるなら、こんな世界観になるわけがない。しかし現実には多くの人が労働が嫌いか、または好きな労働をするための資金がない。高齢その他で働けなくなる可能性もある。

多くの人はFPがどうとかいうレベルではなく、全く基本的なことも知らない。単純な話で、収入-支出=貯蓄ということも良くわかっていない人がたくさんいる。こういう本はある意味ボーダーラインの人たちに有効かもしれないが、しかしどうなんだろう。たいてい詐欺師に騙されるだけのような気もするが…。現に株をやる個人の大半は損をする。

In reality, building a solid financial foundation takes time and dicipline...and enough intelligence....

(2023/4/5)
言語: ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 979-8386374105

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