2016年9月8日木曜日

John Marenbon "Medieval Philosophy: A Very Short Introduction" [中世哲学:非常に短い入門]

目次:1. 導入 2.初期中世哲学の地図 3.後期中世哲学の地図 4.中世哲学の領域 5.機関と文学的形態 6.普遍者(AvicennaとAbelard) 7.心と体と死 8.予知と自由(BoethiusとGersonides) 9.社会と最善の人生(Ibn TufaylとDante) 10.なぜ中世哲学か

哲学史の講義で中世が軽んじられているのは日本に限らず西洋でも同じことらしい。一つには宗教の影響が致命的に純粋哲学を傷付けていると考えられているせいで、早い話が、教会の支配する暗黒の中世を非難して自由で明るいギリシアを良しとするルネサンスの人文主義者の意見が未だに支配的なんだろう。そして、何より、通例の哲学史ではイスラムとユダヤ教が無視されがちだ。そんなわけで、結構真剣に哲学を学んでいても、中世についてはよく知らないというわたしみたいな人種には待望の一冊と言える。翻訳すれば売れるだろうし、志の高い哲学徒は翻訳されるまでもなく読んで後悔はしない。

前半は一般的な中世哲学の見取り図というところで、有名な哲学者や流派が概観される。後半は実在論vs唯名論から始まって幾つかの中世哲学の主題が解説される。いずれも現代の哲学でも論点になるところなので、分かりにくくはないだろう。それにしても、現代の分析哲学だと些末な論点に迷い込みがちなところ、この本の解説は非常に分かりやすい。昔からの議論を追跡するのが、今の論点を理解するのにかえって早道ということもある。中世哲学の入門書は、日本語でもいくつかあるみたいだけど、差し当たりVSIを一冊読んでおいて損はないと思う。

A great introduction to the subject. The obsolete Renaissance idea of the dark Middle Ages damaged by the rule of whatever religion vs the bright free ancient Greek should be now rejected.

Oxford Univ Pr (2016/04)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0199663224

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