2015年4月14日火曜日

Peter M. Higgins "Numbers: A Very Short Introduction"

厳密な証明のない数論の入門書というか、全体の見通しを示す本。大半の部分は紙と鉛筆がなくても読める。類書も多いところだが、VSIに収録というところで値打ちがつく面もあるだろう。基礎知識としては、日本なら高卒くらいで十分だ(英語が読めればの話だが)。目立った特徴がないので推薦し辛いのだが、入院中に読んで、やはり数学は面白いと思った。

A standard introduction to number theory. I do not see anything extraordinary about this book, still I enjoyed it. Well-written.

Oxford Univ Pr (2011/3/22)
ISBN-13: 978-0199584055

2015年3月17日火曜日

David C. Catling "Astrobiology: A Very Short Introduction"

タイトルを日本語にすると「宇宙生物学」ということになるのか・・・。と言っても地球以外で生物が確認された試しがないので、本質は、地球外生命体について色々な観測データから想像を巡らせることのようだ。話の半分くらいは太陽系と地球と地球上の生物の歴史。ひとまず地球でしか生命の発生が確認されていないのだからこれは仕方がない。この時点で未確認の憶測が多い。その後で太陽系内の天体、太陽系外の天体について生物の可能性を考えていく。

最初は「生命の定義」みたいな話から始まって、あまり面白くなさそうな気がしたが、ちょっとずつ面白くなっていく。様々な知見が紹介されてその辺りは面白い。基本的には化学の話が主になる。わたしが子供の頃は宇宙には水なんかないように教わっていた気がするが、最近では、水も有機化合物も宇宙のどこにでもいくらでもあるらしい。あとは、それが液体の形で存在するかとか、循環のためのプレートテクトニクスがあるかとか、色々な話が出てくる。個人的な思いとしては、少なくともどこか別の惑星のテレビ放送を見れるくらいでないと、木星の衛星のどこかに微生物がいてもあまり感動しないが、とにかく、宇宙の本は読んでいて心が安らぐ。

On Amazon.com this book enjoys very good reputation. Well, it did not surpass my expectation but thinking about other planets always make me feel calm.

Oxford Univ Pr (2014/1/1)
ISBN-13: 978-0199586455

Bill McGuire "Global Catastrophes: A Very Short Introduction"

地学的な意味での地球滅亡のシナリオをいくつか集めた本。具体的には、地球温暖化・寒冷化・地震火山津波・隕石。非常に読みやすく、素人向けで、ジャーナリスティックというのは言い過ぎにしても、特段の前提知識は必要ないが、科学的には確かなことしか書いていないと思う。特に地震の辺りは日本に重点があるが、何分にも短い本なので、普通の日本人が知らないことはほとんど書いていない程度。上の四つの方面について基礎知識がない人には、とても読みやすい入門書だと思う。

A collection of dooms-day scenarios including global warming, return of the ice age, seismic events and meteor strikes. Very basic and easy to read.

Oxford Univ Pr (2014/09)
ISBN-13: 978-0198715931

2015年3月7日土曜日

Gerhard L. Weinberg "World War II: A Very Short Introduction"

この短い本にどうやって第二次世界大戦を詰め込むのかと思ったが、話はドイツと日本、かつ、各戦闘を追っていくことに集中している。この点に関しては、いい感じの要約と言えるだろう。戦争ゲーム感覚になる。忙しい時なのに、わりと一気読みした。

政治的背景や戦争犯罪なども多少は触れられていて、ネトウヨを激怒させるには十分だが、第一次大戦の敗者による復讐とかそんな程度の話で、わたしの興味のある(そして重要だと考える)経済的動機については全く触れられない。イデオロギー重視で、Wikipediaでこの著者を調べると、まあ、こんな感じの本になるかと納得した。

A good summary of battles fought in WWII. Other than the descriptions about battles, the author attributes the motives of the German and the Japanese offensives chiefly to ideologies, which is rather new to me.

Oxford Univ Pr (2014/12/1)
ISBN-13: 978-0199688777

2015年3月4日水曜日

Adam Tetlow "Celtic Pattern: Visual Rhythms of the Ancient Mind (Wooden Books)"

いわゆるケルトの模様の作成法が中心。と言っても、格子と円を中心にしてケルトの模様のパターンを解析するのが主で、この手の話が好きな人には良い。わたしも普段方眼紙で模様を作成するのが好きなので、参考になった。また、近頃はZentangleとかいうのが上陸していて、わたしはあまり好きではないが、その参考にもなるんじゃないか。

A good book for a doodler like me, with many nice ideas.

Toby F. Sonneman "Lemon: A Global History (Edible)"

レモンの歴史の簡単な概説。著者は特に専門家ではなく、ただのジャーナリストらしい。ので、一般的なレモンの栽培法や利用法の歴史をひたすら描写している。アメリカでレモネードが普通になったのはイタリア系の移民のせいだとか、その類のまめちしきは身に付くが、この本の最大のメリットは、読んでいる間中、ずっとレモンのことを考えていられるということだろう。本物の歴史家や農学者ならまた深いところまで探究してくれそうだが、レモン好きとしては必読書と言える。翻訳も良さげだ。

まったく個人的な事情として、わたしはいわゆる「薬味マニア」である。わさび、生姜、茗荷、紫蘇、梅、胡椒、辛子、山椒などをフィーチャーする食品はとりあえず買ってしまうし、柑橘類で言えば、柚子とか酢橘とかレモンとかいう表示にかなり弱い。この本も面白かったが、この方面の読書も広げていこうかと思っている。

I love lemon, and while reading this book, I can always be thinking of them, which rendered me very happy. A must-read for all lemon-lovers.

Aiden O'donnell "Anaesthesia: A Very Short Introduction"

麻酔の一般的な概説書。わたしのような素人の好奇心から、医療系の学生の入門にまで使えるようだ。哲学的な問題(「実際には痛いのにその記憶が残っていないだけではないか」)とか、なかなか面白いところから始まり、歴史の概説も面白いし、化学・生理学・作用機序、道具類、一般的に麻酔に関わるリスクから将来の展望まで、一通り解説されていて、一般人としては十分満足できる読み物だった。

この本を読もうという一般人は大半そうだと思うが、わたしも麻酔科のお世話になる予定になっている。前に読んだTeethと同じ流れで・・・。まずは嘔吐反射が強すぎるというので歯科で鎮静剤、次に口腔外科で全身麻酔。全身麻酔は口腔の手術なんだからガスではなく静脈から点滴なんだろうか。そういう個別の話は医者から直接聞くとして、それ以前に一般的な麻酔の知識をつけるのには最適な本だ。麻酔のリスクなんて、本題の手術自体のリスクに比べれば極めて小さく、普通の人間が特に気にするようなことではないが、麻酔科の世話になる予定があるのなら、興味本位で読むには最適だ。

Like most readers of this book, I am just a layman who are going to have a few surgical operations under general anaesthesia, one of which is just using sedative agent and the other is using general anaesthesia technic. I also have a minor nerve problem for which anaesthesia might be effective. This book is easy to read, provides sufficient information for me, and above all, is interesting and fascinating.

2015年2月20日金曜日

Peter S. Ungar "Teeth: A Very Short Introduction"

最初に若干の歯の一般的な構造とか発生の解説、最後に人間の歯に関する若干の考察があるが、主に古生物学・比較生物学的な観点からの歯の博物誌のようなもの。動物が好きな人なら、一度、歯という観点から、色々な動物を見ると楽しいかもしれない。毎日使っているにも関わらず、それほど関心の持たれないパーツだから、なかなか発見が多かった。結局、動物という観点から見れば、人間は全く特別でも何でもないわけで。

わたしはというと、普通ならこの書名では読もうとは思わないが、このたび親不知をこじらせて面倒なことになり、手術入院ということになっているので、読んでみただけ。しかし、この本は特に人間の歯に特化しているわけでもないし、医療的な観点はほとんどないから、その方面では完全に期待外れではあった。ただ、わたしの親不知の問題が、完全に人類の進化のせいであることはよく分かった。根本的な問題は埋伏智歯であり、その表面の膜が拡大して嚢胞となり、下顎骨を溶かしている。その膜がエナメル質を分泌する膜なのか違う膜なのかは掘り出してから分析するのだろうが、どっちにしろ、智歯wisdom toothがまともに生えていないせいだ。さっさと手術してもらいたいが、予約が埋まっているとかで一か月以上先になる。

人類の進化の過程で、前半のうちは人類の顎は拡大していたが、後半から縮小に転じる。もちろん食べ物が良くなったせいだと思われ、たとえば、狩猟採集生活をしている人は今でも顎はしっかりしている。しかし、その子供が西欧風の食事を始めると、わずか一代で顎が小さくなる。ということは、わたしの埋伏智歯は人類の進化のせいと同時に、小さい頃にあまり固い物を食べなかったので発達しなかったということなのか。どっちにしろ、この件は人類全体の問題であり、だからと言って慰めにもならないが、とにかく、手術が平穏に過ぎるのを祈るばかりだ。

Normally I am not particularly interested in teeth, but recently I have found a bad case of irregular wisdom tooth and will undergo an operation in about a month. Though this book is not a medical book but a comparative zoology, I got a certain degree of consort that this is not my problem but a curse over the entire human kind.

Oxford Univ Pr (2014/04)
ISBN-13: 978-0199670598

2015年2月9日月曜日

Jane Austen "Pride and Prejudice"

「高慢と偏見」の邦題で知られる英文学の名作であり、実際面白かった。夏目漱石が冒頭を激賞しているので有名だが、確かにChapter 1だけでも読んでみることをお勧めしたい。男と女で感想が大幅に異なる気がするが、男なら誰しもMr. Bennetに同情せざるを得ないだろう。わたしは一年半くらいかけてこの本をダラダラ読んで、これから悪口みたいなことを書く気がするが、別に小説自体が悪いわけでなく、小説自体は傑作だ。ただ、そこに描写されている世界がキモいだけである。

男と女で感想が大幅に異なる、というのは、この小説が基本的に婚活の話だからである。19世紀英国の感覚だと恋愛小説なのかもしれないが、21世紀日本の感覚では親やら親戚やら友達やらを巻き込んだ婚活小説以外の何物でもない。または純粋社交小説と言うべきだろう。登場人物がほぼ全員上流階級のヒマ人であり、ほとんど社交シーンの描写とそれについての考察の連続である。コミュ障のわたしでも読めたのは、小説だから人物の気持ちやその場の空気を一々描写してくれるからで、これが映画とかマンガだったら、多分わたしには理解できない。イギリス人に会うたびに思うが、英国は高度な社交術を発達させている国であり、Austenの緻密な描写でなければ理解しきれない。

問題のBennet家には、婚活すべき五人の困った娘がおり、主人公は次女Elizabethである。この次女は、欠点を持ちつつも、基本的には最もマトモな人間ということになっている。長女のJaneはElizabethと仲が良いが、Elizabeth的にはちと善良というかナイーブ過ぎるらしい。残りの三人の妹は基本的にはただの子供で、Elizabeth的には思慮が足りない。母親はムキになって娘の婚活を推進しているが、かなりイタく、社交シーンでのそのイタさに、横でElizabethが赤面して頭を抱えているのが定例。その夫たるBennet氏は、良識はあるようだが皮肉屋で、Elizabethをひいきにしているが、基本的には孤独を愛していて、娘の婚活にさして興味を持っていない。

その他、親戚など他にも珍人物が出てきて、どう考えても読者を笑かそうとしている。小説中、何組か結婚が成立することになるが、作者の描写が容赦なく、全部作者に祝福されているわけではない。一つには、社会背景として、男が持っている地位や財産が重大な意味を持っているからで、ただの恋愛小説で済まない世界観になっている。よく言えば厚みがあるが、高慢と偏見と言うより、虚栄心と先入見と欲得と強迫観念と軽薄と若干の恋愛くらいだろう。

小説の主要部分は社交シーンだが、わたしの感覚では、登場人物のセリフは英語的にはいかにも英国的に礼儀正しいが、言っている内実はなかなかキチガイで、読んでいてなかなかキモい。作者的にはElizabethと若干名だけマトモな人間がいることになっているようだが、わたし的には登場人物がほぼ全員キチガイと言って良い。この世界ではMr. Bennetのみ共感できる。この点はChapter 1の段階で明白である。繰り返すが、Chapter 1だけでも読んで損はない。

全く個人的な話だが、わたしは昔のマンガだと「タッチ」とか「めぞん一刻」みたいな高度な空気の読み合いのような話は、キモい上に人物の気持ちが読み切れずについていけない。その点、この小説は、一々空気や気持ちの描写が詳細だから、わたしでもついていける。キモいことに変わりはないが、コミュ障のわたしとしてはなかなか勉強になった。これが世間なんだろう。そして長い時間をかけて読んだ本は、読み終わる時に少し寂しさを感じる。名作だった。

One of the best novels ever written. No comment.

Penguin Classics(2002/12/31)
ISBN-13: 978-0141439518

2015年1月28日水曜日

Jolene Wochenske "Practice Makes Perfect Basic German" (Practice Makes Perfect Series)

ドイツ語の全く初心者のための良心的な入門書。書き込み式の練習問題集ではあるが、基本的な説明は全部あるし、文法だけでなく単語のセクションもあるので、これ一冊(と辞書)でドイツ語の基礎は固められる。文法を把握するだけなら、"Collins German Grammar"でほぼ完全ではあるが、わたしみたいに手を動かさないと覚えられないという人には、この本が一番だと思う。類書もほとんどないようだ。

ドイツ語を実用にしようとするのなら、この本一冊では練習が足りないかもしれないが、このシリーズはほかにも動詞変化や会話や前置詞などに特化した本も出ているので、この本をやった後に進んでいける。大学の第二外国語とか、辞書を片手にドイツ語を読めれば良いということだけなら、この本一冊でも十分かと思う。音声がないが、ドイツ語の発音は難しくないので、あまり問題にならないだろう。

ドイツ語の最初の一冊としてお勧めだが、個人的には復習のためにやった。独検3級は大学の頃のおぼろな記憶で対応できたが、2級となるとこういう本でやり直していかないと・・・。

A very good introductory book on German grammar. The best workbook on German I have ever seen.

McGraw-Hill (2011/6/7)
ISBN-13: 978-0071634700

2014年12月24日水曜日

Hector McDonnell "Irish Round Towers" (Wooden Books Gift Book)

ヨーロッパにはやたら塔があるけど、アイルランドには特に円柱の塔が多いらしく、アイルランドに散在する円柱のガイドブック。実際には、アイルランド人以外はあまり知らないようだ。ほとんどが見張り台とか時計台とかそんなことらしい。日本語訳もあり。

A good guidebook to Ireland.

Wooden Books (2005/6/1)
ISBN-13: 978-1904263319

2014年12月4日木曜日

Scott Adams "Dilbert 2015 Day-to-Day Calendar"

来年の机上カレンダーもDilbertで。使い始めて何年になるのか忘れたけど、十数年くらい使っているのかもしれない・・・。Dilbert自体は別に日替わりでWebで見れるわけだけど、机の上にあるとWebにはあまりアクセスしなくなった。Scott Adamsは最近何か本を書いているのかと思ったら、"How to Fail at Almost Everything and Still Win Big"とかいう自伝じみたものを出しているようだ。この作者、マンガを読んでいる限りは全く気が付かないが、実は典型的なアメリカン自己啓発系みたいな考え方をするところがあり、あんまり裏側を知りたくないような気もする。"God's Debris"も同じような理由で読んでいない。以前の記事で紹介したけど、単なるマンガのcompilationじゃなくて、作者の考えが活字で表明されている本として、"The Dilbert Principle"と"The Dilbert Future"と"The Joy of Work"と"Dilbert and the Way of the Weasel"の四冊は間違いのないところだが、マジな話なら、作者のblogでも読んでいればいいわけだしな・・・。

My yearly purchase. I do not remember , but for more than ten years?

Andrews McMeel Publishing; Pag版 (2014/7/8)
ISBN-13: 978-1449451509

2014年11月30日日曜日

Jeff Kinney "Diary of a Wimpy Kid #9: The Long Haul"

予約買いしたものの時間がなくて読むのが遅くなった。毎度確実に面白いシリーズで、とにかく日本語訳を読むより原文を読むことを推奨する。普通にギャグマンガ読むより、全然笑える。

今回は車に乗って家族旅行ということで、途中で色々な大惨事が起こる。今までで一番ドタバタが酷く、ちとやり過ぎな気もした。最後のほうはほとんど犯罪レベルというかリアルに深刻なことになり、笑っていられるレベルを越えている気もするが、この辺りは個人差もあるんだろう。こういうのは振り幅がないとダメだし。

このシリーズについては、日本語訳もずっと出ているし、児童書として推奨もされているんだろうけど、そういう種類の本ではない気もする。どっちかというと"The Simpsons"に近く、保守層から批判されそうなものだ。一貫して教育というものに対してシニカルだし、特に今回は犯罪性の点から文句を言う親が出かねない。まあ、わたしとしては、面白いから、ずっと愛読し続けるか・・・。

Hysterical, Cynical, never disappointing.

Harry N. Abrams (2014/11/4)
ISBN-13: 978-1419711893

2014年11月19日水曜日

Dan Saffer "Microinteractions: Full-Color Edition: Designing With Details"

ユーザインターフェースのデザインについて、わりと包括的な解説書。といっても、こういうのは特に体系性や網羅性はないもので、様々なアイデアと部品をなんとなく並べることになるけど、わりとしっかり語っている印象がある。翻訳もなかなか良さげではある。

This kind of book can never be complete nor systematic. That said, this book seems to succeed to some extent. At this point, this is the best book of this kind.

Oreilly & Associates Inc; Full Color ed(2013/11/4)
ISBN-13: 978-1491945926

2014年11月10日月曜日

McGraw-Hill Education "Beginner's German Reader"

超初歩的なドイツ語のリーダー。過去形すらほとんど出ていなかったような。ちょっとした文章と質問がついている。解答はないけど、どうでもいいだろう。イラストが多いので、分からない単語も推測できる。巻末には語彙も収録されているが、完全ではないので、辞書はあったほうが良い。初学者には良いんでは。そんなに面白くはないがすぐに読み終わるし。

Ein Lesebuch fuer Anfaenger.

Glencoe/McGraw-Hill; 1版 (1988/1/1)
ISBN-13: 978-0844221700