2018年4月24日火曜日

Jean-Claude Ellena "Le parfum" [香水]

目次:1.現代香水業の誕生 2.鼻と香り 3.材料と原料 4.職業訓練 5.職業 6.香水 7.時 8.マーケティング 9.市場展開 10.世界市場の役者 11.香水の保護

香水・調香師・香水業界の概説+著者個人の職業生活。ほぼ目次通りの全般的な解説だ。著者は業界では有名な調香師。作品にはわたしが好きなブルガリの緑茶とかエルメスのナイルの庭などがある。…と言われてピンとこないようだと、この本は多分厳しい。この本に出てくる香水や化学物質は、当然文字だけで香がついているわけでない。普段から香水を使わない人がこの本を読んでも意味が分からない部分が多すぎるだろう。実際に勉強するには、香見本が必要で、そういうセミナーみたいなのも日本には多いようだ。わたしは実は色んな香水を常用しているので、この本は楽しく読めたが、こんなのは例外だろう。著者の個人的な話が多すぎる気もするが、調香師なんて世界にそんなにいるわけでもないし、そもそもどうやったらなれるのかも明らかではない…。香水は意外に金のかからない趣味だし、始めるのにハードルもないが、どんなアンケートでも「異性につけて欲しい香水は何ですか」の答の不動の一位は「何もつけない」が不動の一位であるという現実がある。楽しい世界なのだが…。

J'aime bien le thè vert d'Ellena. Comment puis-je devenir parfumeur?

PUF (1 novembre 2017)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2130798552

2018年4月13日金曜日

Onfray Michel, LE ROY "Nietzsche : Se créer liberté" [ニーチェ:自由の創造]

ニーチェの伝記マンガ。翻訳も出ていて評判も良いようだが、雰囲気重視のBDなので、これで伝記になっているかどうかは微妙だ。フランス人はニーチェが好きだし、わたしも相当読んで、おかげでムダに大仰な言い方や、ムダに人を偽善者扱いする論法に感染してしまってこの有様だが、伝記はほとんど知らなかった。このBDの語るニーチェの生涯については、かなり陰鬱で、まあそんなところだろうというような感想だ。

Je ne sais pas de grande chose sur la vie de Nietzshe mais je trouve que ce BD est assez convaincant.

Le Lombard (19 mars 2010)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2803626502

2018年4月3日火曜日

Thomas Pink "Free Will: A Very Short Introduction" [自由意志:非常に短い入門]

目次:1.自由意志の問題 2.自由意志としての自由 3.理性 4.自然 5.自由なき道徳? 6.自由意志論者の自由についての懐疑 7.自己決定と意志 8.自由と自然の中のその位置

わたしはこの件について特に深い関心もなく、自由意志とは、人間関係を調整するための法的虚構に過ぎないと思っており、しかもそれ以外のマトモな使用法がないと思っているが、著者の立場は遥かに常識的というか、常識に沿うように概念を調整している感じ。割と伝統的であり、単純明快な議論を期待しているムキにはお勧めできない。単純な極論、例えば「人間の意志は脳の物理的動作によって必然的にか偶然的にか決定されている」というような言い分に、著者がどう答えるのかも明らかでない。多分「そのように我々は日常的に理解していない」となるのだろうか。著者の関心は自由意志に関する日常的な理解の防衛にあるようだ。無論、常識は価値があるから常識なのであり、そうして人間は進化してきたのだし、法学者には都合がいいだろうが、常識と別に真相があるかも知れないと考える人には物足りないだろう。関心の向きが違うと言えばそれまでだが、総じてぼんやりしている印象があるが、関心の持ち方が著者と合う人もいるかもしれない。

In my opinion, this book failed to repel extremists.

Oxford Univ Pr (2004/8/5)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0192853585

2018年3月9日金曜日

H. G. Wells "The Island of Dr Moreau" [モロー博士の島]

有名な作品なので今更ネタバレにもならないとは思うが、獣人を作っている博士の支配する島に辿り着いた主人公の冒険。予想を越えることは基本的に起こらず、特に前半のオチの見えている逃走劇のあたりはどうするのかと思ったが、読み終えてみると、確かに名作だったとは思う。

獣と人ということでは、わたしの第一のイメージは「けものフレンズ」なんだけど、時代が違う以上に、獣と人を峻別するキリスト教文明が違う。昔からヨーロッパには獣人の伝統があるが、そこには可愛さの要素が全くなく、殺伐としている。映画化も何回かされているようで、現代の遺伝子工学を予見していたとかいう話になっているが、単に怪奇ブラックユーモアと理解している。ただ、獣と人が融合するのに恐怖を感じるためには、特定の文明に属している必要がある気もする。その点の恐怖感が、Wellsの意図通りにはわたしに伝わっていないだろう。

ここまでThe War of the WorldsThe Invisible ManThe Time Machineを読んだけど、Wellsは面白い話をするおじさんだ。作り話で金をとるというのはこういうことだと思う。そのうち全作品を読んでしまうかもしれない。

Hilarious. But I recommend you "Kemono Friends". It is still better.

Alma Classics (2018/5/31)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1847496591

2018年3月7日水曜日

Marie-France Hirigoyen "Le harcèlement moral au travail" [職場のモラルハラスメント]

職場でのいじめに関する統計や背景や対策など。わりと公式的な話で、この辺り、フランスだから日本より進んでいるのかもしれないが、わたしとしては、正直な所、フランス語の語彙を拾う以外に特に価値はなかった。日本で実用的な話なら、メンヘル検定のテキストでも読むほうが良いかも知れない。わたしはII種を取ったが、特に実務経験とかが無くても取れる。

La même chose au Japon.

PRESSES UNIVERSITAIRES DE FRANCE (29 janvier 2014)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2130624790

Jacques André "Les 100 mots de la sexualité" [性愛の100語]

早い話がセックスにまつわる100語について、文学作品の一節から引用したりしたエッセイ集みたいなものだが、精神分析が軸になっている点がどうか。わたしは精神分析を趣味の悪い文学の一ジャンルとしか思っておらず、実際、ここでも話を詰まらなくしている気がする。科学的な話はほとんどなく、かと言って実用的なアドバイスでもなく、ポルノでもなく、初耳な話もなく、ただ筆者の思いつきみたいな文学的思索集。多分、ここから妄想を養うのが最も楽しめる読み方だと思う。創作的な人の資料にはなるのかもしれない。わたしはというと、特に変な性癖もないが、まあ、こういう人たちもいるよね、くらいな。

Juste pour passer le temps.

Presses Universitaires de France (9 février 2011)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2130582861

2018年2月22日木曜日

Emmanuel Guibert "Va & vient" [行ったり来たり]

フランスのマンガ、いわゆるBDと言っていいんだろう。ハイセンスかつシンプルな絵で非常に短く、かなり感銘を受けたけど、ネタバレせずに紹介するのが難しい。一コマごとについているフランス語の文も短くシンプルで、初学者でも理解可能だろう。というか、全くフランス語ができなくても、意味を推定できるかもしれない。短いながら三部構成と考えられ、最初、シュールなコントでも始まるのかと思ったら、第二部でエロくなり、なんだこれはと思ったら、第三部できちんと話が収束する。こういうのは、やはり第二部から前後を考えているのだろうか。さらっとエロを描いているところは、やっぱりフランスだと思うが、よく考えるとただの下品な下ネタのような気もする。BDの常で絵の質だけは大丈夫だ。日本で翻訳出版するなら、そのままの体裁で、フランス語もそのままで、最後のページに小さく翻訳文をまとめて載せておく感じだろう。一つだけヒントとして、このタイトルも第一部・第二部・第三部にそれぞれ異なる状況で出てくるが、第二部では性的な意味になるわけで…。

Je ne sais plus quoi dire...

L'Association (22 mars 2005)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2844141699

2018年2月11日日曜日

Robert Jones "Branding: A Very Short Introduction" [ブランド:非常に短い入門]

目次:1.ブランドの勝利 2.ブランドとは何か 3.ブランドの歴史 4.ブランドはどのように作用するか 5.ブランドビジネス 6.ブランド事業 7.ブランドの倫理 8.ブランドの未来?

ブランドをめぐる商売、特に広告業界のあれこれ。類書と違うのは、ブランドが客に対してもつ効果のほか、従業員に対してもつ効果についても紙幅をさいている。自社製品に自信があるなら、製品に自社名を明示するはず、と考えるので、わたしも元々ブランド品には興味があった。たとえばIntel Insideみたいな広告はこの範疇だが、この本が考えるブランドは、そういう古典的な枠を超えて、漠然としたイメージ、例えばHonda="The Power of Dreams"とか雰囲気的なところに中心がある。

LVMHみたいな高級ブランドでなくても、ブランド商売の裏側を見るのは勉強になる。折しも某区立小学校の標準服がアルマーニに監修されたとかで問題になっている。この小学校が銀座というそれ自体がブランドみたいな場所にあるわけで、校長がバカで、制服もブランド品にしたかったのだろう。個人的には、銀座の路面店はアルマーニ以外にもっといい趣味の店もあるし、是非ユニクロに監修してもらうべきだった。このように、消費者もムダにブランドに振り回されているので、業界の裏側をこの本で知っておくのは自衛のためにも重要だ。特段衒学的なところもなく、気軽に読める本だ。就職活動にも会社のブランドが影響する、というのはこの本の中心的な主張の一つだが、特にブランド性の高い会社や広告業界に就職する学生は読む価値がありそうだ。

それはそれとして、この本を読んだ収穫の一つは、Superdryという世界的なブランドを知ったことだった。日本に触発されたデザインが売りとかで、商品にはJapanとか書いてあったりするが、実際には製造元は日本と全く関係がなく、というか、日本人はそんなブランドを知りもしないし、書いてある日本語はほとんどデタラメだし、謎の簡体字だったりするが、日本以外の全世界で売れているらしい。本書の説明では、ハーゲンダッツが北欧と何も関係がないように、Superdryも日本と何も関係がないが、ブランドというものは雰囲気なので、それで成立しているらしい。面白過ぎるし、高級ブランドには違いないし、物自体はしっかりしているから、早速発注した。

I am a native Japanese speaker and I have never heard of the brand "Superdry". Japanese letters on their products are pretty bizzare but they have strangely ironical appeal to me. Their strange Japanese letterings might irritate some Japanese people, but I find that very amusing.

Oxford Univ Pr (2017/8/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198749912

2018年2月8日木曜日

Charles Forsman,‎ Max de Radiguès "Hobo Mom" [流浪の母]

フランスのマンガ、いわゆるBDの中でも薄いので、気軽に手に取って読んでしまった。内容はというと、マンガ本体にはあまり説明がなく、最初に書いてあるhoboの説明を読まないと分からない。要するに、放浪癖があって適当にブラブラしながら働いている人が結構世の中にはいて、この主人公はたまたまママで、昔の男と子供のところに戻ってきてまた去っていくというだけのことらしい。何か起こるのかと思って読んでいたが、ただそれだけのことで、細かい事情も分からないが、何となく詩情を感じてくれということのようだ。カリフォルニアとか言っているので舞台はアメリカなんだろう。フランス人の考えるアメリカの風情なのか。わたしはというと、この方面の繊細さが欠けているので、何コマかのエロシーンが記憶に残った。放浪するママも性欲は普通にあるらしい。絵はシンプルで良い。BDにありがちな描き込み過ぎて読むのがしんどいのとは真逆で、日本のマンガに近い。フランス語も易しい。

Très sympa. Simple.

L'employé du Moi (16 septembre 2015)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2390040101

2018年2月6日火曜日

James Young "A Technique for Producing Ideas" [アイデアを生み出す為の技法]

「アイデアのつくり方」という訳書も出ている。非常に短いので一瞬で読めるし、ここで解説する意味もないくらいだ。古い本で、広告業界では古典なんだろう。何でも知って置けとか京大カード的な道具を使えとか、思考の整理術的なことが書いてある。その類の本を読んだことのある人にとっては目新しいことはない。というか、この本がその類の本の原典らしい。わたしとしては、自分が創造的な人間だとも思っていないし、アイデアマンを職人の上位に置く思想に対して共感もしていない。カードで整理みたいなことは、今ならマインドマップみたいなことだと思うけど、まあ、何でも描いてみることはいいことだ。そういうことならDraw to Winはとても良い本だった。

A classic. Very short and easy to read.

Stellar Editions (2016/3/4)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1987817461

2018年2月4日日曜日

Pénélope Bagieu "Ma vie est tout à fait fascinante" [わたしの生活は全く素晴らしい]

30代独身女性の日常一コママンガ集。まあ他愛もない話だけど、30代独身女性の共感を得るのかもしれない。別にフランスも日本も変わらんと思う。翻訳したら売れるかも知れない。多分、フランス語原文とのバイリンガルで出版すれば、フランス語の学習者層に浸透すると思われる。こんなの、別に日本の漫画家でも描けそうなものだが、どうもお洒落である。なんでもそうだけど、日本人が同じことを描くと、もっと強いオチを要求されそうだ。

Très amusant.

Livre de Poche (2009/1/11)
言語: フランス語
ISBN-13: 978-2253131557

2018年1月18日木曜日

Jill Norman "Herbs & Spices: The Cook's Reference" [ハーブとスパイス:クックのための手引き]

ハーブとスパイスの事典。料理例もあり。二年くらい前に買って、時々読んでいる。わたしは、料理は時々するくらいだが、薬味というものがかなり好きで、やたら色々使っている。本なんか読んでも味も香りもないし、素人には本格的過ぎるかもしれないが、何か見ているだけで楽しい。翻訳されているのかもしれないが、まあ、日本語でも類書は多いだろう。

For spice lovers.

出版社: DK(2015/5/5)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1465435989

2018年1月11日木曜日

Liz Climo "The Little World of Liz Climo 2018 Day-to-Day Calendar" [リズ・クリモの小さな世界2018年日めくりカレンダー]

日めくりマンガカレンダー。The Little World of Liz Climoでも書いたように、マンガ自体は"Liz Climo"でGoogleを検索すればいくらでも画像が出てくる。わたしとしては、職場では毎年Dilbertのカレンダーを使っているのだけど、Win Bigly"で作者にうんざりしたこともあり、別の物を探していた。職場にはDilbertを置いてあるので、これは自宅用とする。アメリカ東海岸から直輸入したので入手に時間がかかったが、待った甲斐があった。

This calendar will be placed at home.

Andrews McMeel Publishing (2017/8/15)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1449486525

2018年1月10日水曜日

Alan Taylor "Colonial America: A Very Short Introduction" [植民地時代のアメリカ:非常に短い入門]

目次:1.遭遇 2.新しいスペイン 3.新しいフランス 4.チェサピークの植民地 5.新しいイングランド 6.西インドとカロライナ 7.英領アメリカ 8.帝国

いつも通りタイトルが分かりにくいが、ここで言うアメリカとは大体今のアメリカ合衆国の領土を指し、時代としては主にコロンブス以降で、一応ハワイの併合までということになる。独立戦争自体の詳細は省かれており、名著The American Revolutionを読む事になる。通読できる歴史書として読みやすいし、予備知識も必要が無い。ただ、やはり、たいていの人はアメリカの地図があったほうがいいだろう。

Easy Spanish Readerで分かっている通り、メキシコの歴史も血塗られているが、北米も凄惨で、新しい要素として、アフリカからの奴隷の輸入が加わり、帝国同士の植民地の奪い合いがある。わたしとしては、今まで、アメリカの都市名にスペイン語が目立つ地域(西海岸とフロリダ)とフランス語の目立つ地域(中部)があることは認識していて、何となく合衆国拡大の歴史は認識していたが、この本で一気に整理されたのは良かった。

大雑把にいうと、スペインが中南米とかカリブやフロリダの砂糖地域を占拠し、次にフランスが毛皮交易のできるカナダからミシシッピを下って中部を奪って原住民に武器を供給し、空いていた中間の温暖なところにイギリスが入ってきたという流れになる。この間、始終各地の原住民との交流があり、その点が詳しく書かれているのが多分、類書と異なる点だろう。一々血塗られているが、事実だから仕方がない。

VSIの世界史カテゴリは外れがほとんどないが、これも良い読み物だった。これからもどんどん読んでいく。

A brief bloody history of colonial north America. Very readable.

Oxford Univ Pr (2012/11/8)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0199766239

2018年1月3日水曜日

Liz Climo "The Little World of Liz Climo" [リズ・クリモの小さな世界]

動物を主人公にした一コマか二コマくらいのほのぼのマンガ。実物はLiz Climoでgoogleで画像を検索すればいくらでも出てくる。本人が異常に美人なのも気になるが。知らなかったけど翻訳も出ているようだ。ほぼ中学レベルの英語と思われ、誤訳の余地もないだろう。こういうのは好き好きなので、とにかくググってもらうのが一番だ。多分、大学生男子が読んで面白いものではないと思うが、子供が読んでも今一つ分からないような気もする。作者と同じ母親に一番ハマると思うが、わたしもかなり好きだ。久しぶりに良い英語マンガを見つけた。こういうのを描ける人は羨ましい。

Cute.

Running Press (2014/9/30)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0762452385