Gender History (Amazon.co.jp)
ジェンダー史というよりジェンダー史史というべき。VSIはたいてい序盤にその学術分野の歴史が振り返られるが、この本については最後までその調子で、ジェンダー史の具体例は薄い。
それも分からなくはないというのは、最近、そもそも歴史というジャンルが何なのかと思うからだ。わたしの考える大雑把な世界観では、まず事実、次にそれを反映した史料があり、歴史家はその上で真相を暴いていくのか物語を作っていくのか。どちらにしろ、「単に面白い」ということもあると思うが、「現在の政治に影響を与えよう」という意図もありえるところだ。
で、ジェンダー史という分野が後者に傾きがちなのは別にいいとして、この本の主題はそれそのものというより、「ジェンダー史という分野の存立自体についての政治学」みたいなことになる。それも主に一般社会・政治からの賛否というより、学者同士の抗争みたいな歴史で、かなりこの分野にコミットしている人にしか価値の分かりにくい本である。
たとえば女性史がジェンダー史に進化したとかいう単調な世界観をこの本は拒否するが、しかし他の人種やマイノリティ問題とかと統合されたり離反したり、複雑なことだ。結局のところ、歴史自体が歴史的産物であり、当時と違う価値観で過去を眺めれば、どんどん歴史も変わっていくのだろう。変わった結果の歴史について書いた本ではなく、その変化の試みの歴史という。どのみちマニアックな本であった。
出版社 : Oxford Univ Pr
発売日 : 2024/7/1
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-0197587010
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