Sleep to Heal (Amazon.co.jp)
良い眠りの科学(Amazon.co.jp)
個人的にこの本が期待外れだった理由を三つ書いていくことになる。
第一に、この本の対象読者がわたしではない。著者は睡眠外来の現場の医師で、主に不眠を扱っている。一応、睡眠全般について書いてはいるが、著者の目線は圧倒的に睡眠障害・不眠の人に向いている。わたしはというと、不眠症ではないし、むしろ起きられなくて困っている側だ。不眠の多くの人はそもそも睡眠が嫌いなことが多いが、わたしのほうでは睡眠を愛している。そんなわけで、著者のアドバイスのかなりの部分が無用である。逆に言うと、不眠症の人はこの本を読むと色々学ぶことがあるのかもしれない。
第二に、わたし自身が睡眠関係の本を読み過ぎているせいか、新しい知識があまりない。多分、このブログでも相当紹介しているし、日本語でもいい本は多い。書店に行けば自己啓発書のコーナーに一冊くらいは必ず平置きされているだろう。この本も翻訳されているようで、多分平置きなのではなかろうか。その中でこの本が特に劣っているとは思わないが、特に優れているかどうかも不明。結局、不眠の人が求めているのは解決策であり、日光を浴びるとかシャワーとか、その類のことはどんな本にも書いてある。一つ特徴的なこととして、CPAPはかなり推奨されている。個人的にもCPAPで人生が変わったみたいな話はよく聞くし、不眠の人は考えてもいいかもしれない。
第三に、ムダに分厚くて書き方が冗長な気がする。これは上二つの話とも関係があって、一つには著者の挙げてくる臨床症例があまりにわたしに縁が無さすぎる。もちろんわたしがこの件について既に知識があり過ぎるせいもある。ただ、それを別にしてもムダが多いとというか、膨らませ過ぎな気もする。著者の個人的な話も多い。
とは言っても、実際に不眠の人がこの本を読んだら有意義だと思うのかもしれない。ただ、個人的に思うのは、不眠で困っている場合は、この本を読むより睡眠外来に行ったほうがいい。睡眠薬を買うくらいならこの本を先に読むべきだが。純粋に科学的な興味で読むとしたら、ちょっと期待外れになりそうだ。
Humanix Books (2023/6/6)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1630062347
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