2023年3月15日水曜日

Ormond Sacker, Tobias Willa "The Sherlock Holmes Escape Book: The Adventure of the London Waterworks" [シャーロック・ホームズ脱出本:ロンドン水道の冒険]

ほぼ衝動買いみたいなことだった。

まず表紙がボール紙でしっかり強化されていて円盤が取り付けられている。このギミックにまず惹かれる。この円盤は本書内に出てくるパズルを解くために使用する。内容は一時期流行った脱出ゲームの書籍化だが、紙のノベルゲームみたいなことだ。あるいは昔からあるアドベンチャーゲームブックの形式と言ったほうが分かりやすいかもしれない。パズルの解答によって話が分岐し、例えば「答が青なら19に進む。赤なら25に進む」みたいな感じで次に読むべきページが指定される。基本的にはすべてのパズルに正解しないと最善の結末には到達せず、運の要素はない。

パズルの内容は、中学生くらいなら解ける程度の算数みたいなのも多いが、難しいのは絵からヒントを拾う問題で、目の良い人でもルーペを用意したほうがいいかもしれない。そもそも本文の活字も小さい。解けなくても巻末にヒントがあるし、それでも分からなければ答もある。最善の結末に至るための最も重要なヒントは書いていないようだが、そこはそんなに難しいわけではない。

日本語でも似たような趣旨の脱出ゲーム本はあるが、本書はそれよりはしっかりと読ませるストーリーがある。主人公(読者)がホームズということで、一応ホームズ作品(のタイトル)を知っていたほうがいいが、ググれば簡単に済むことだ。また本書のプレイ時間は「火吹き山の魔法使い」とか「ソーサリー」みたいな膨大なものでもない。あれは確か一冊に400くらい項目があったと思うが、本書は112に過ぎない。すべての分岐を読み切るのも十分可能だ。絵はいかにも昔のヨーロッパの児童書な感じがして、アドベンチャーゲームブックを思い出させる。これは実物を見たら自動的に買ってしまうよな…と思う。

まとめると対象読者は中学生男子というところか…。こんなのが教室に一冊あったら当分盛り上がりそうだ。大人が読んでも面白いと思うが、わたしみたいに脳が中学生の大人が言っても説得力がないかもしれない。ただ、日本の中学生が読めるように翻訳するとなると、パズルが基本的に英語なんで、全部作り直しになりそうだ。絵も描き直しになると思うが、この絵はもったいない。そもそも、この本、一応ペーパーバックではあるが、手に取って物理的に美しい仕上がりになっている。これはシリーズ第一巻なのでこれからどんどん読んでいく。

I love this physically beautiful book. The illustrations are nostalgic.

Ammonite Pr (2019/10/1)
言語: 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1781453483

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