2017年4月25日火曜日

Dava Sobel "Longitude" [経度]

目次:1.仮想の線 2.時間以前の海 3.時計仕掛けの宇宙で漂流 4.瓶の中の時間 5.共感の粉 6.賞 7.歯車作りの日誌 8.バッタが海へ行く 9.天の時計に届く 10.ダイアモンドの測時計 11.火と水の審判 12.二つの肖像画の話 13.ジェームズ・クック船長の二度目の航海 14.天才の大量生産 15.子午線の庭で

John Harrisonという時計技師の伝記。背景を説明すると、18世紀には海上で経度を知ることが非常に難しく(緯度は北極星の高さを測れば済む)、経度を知る方法には懸賞金が掛かっていた。そこで、天体観測に基づく方法と正確な時計を使う方法が争っていた。天体に関しては、月と太陽などの他の天体との角度を測る事になるが、膨大な観測データが必要である。時計に関しては、最初に出発地の時間に合わせておけば、太陽時との差で経度差が分かることになるが、非常に正確な時計が必要である。ハリソンはこの賞金に時計技師として挑戦した。

というわけで、賞金がかかっているから、天文派のほうも必死なので、時計自体よりも、時計が完成した後のムダな政治的な争いが記述の大半を占める。複数の船長が価値を認めているのだから、賞金なんかより現場に売ってしまえばいいような気がするが、基本的には賞金争い(時計が海上でも正確であることを認めるか否か)の話ばかりだ。当時はもちろん機械時計だし、どうも超高級工芸品のような物で、簡単に量産できるような物ではなかったらしい。どうやって量産化したのかは詳しくは分からない。

個人的には近頃航海術に興味があり、その関連で読んだが、この本は政治劇が主で、技術的にはそれほど詳しくない。時計が好きな人にとってはジョン・ハリソンという人物は大きな所なので読む価値があるのかもしれない。結構売れた本らしく、日本語訳もあるようだが、お勧めはしない。

A story or biography of a clockmaker. The main theme is politics around getting the cash prize long after the chronometers had been well produced, not the technology itself.

HarperPerennial (2005/9/5)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0007214228

0 件のコメント:

コメントを投稿