2015年11月9日月曜日

Peter Sarris "Byzantium: A Very Short Introduction" [ビザンチウム:非常に短い入門]

目次 1.ビザンチウムとは何か? 2.支配都市コンスタンチノープル 3.古典時代から中世へ 4.ビザンチウムとイスラム 5.生存のための戦略 6.文書、絵、空間、精神 7.帝国の終焉

いわゆる東ローマ帝国の通史。VSIの歴史カテゴリはあまりハズレの記憶がないが、これも素晴らしい。

東ローマ帝国・ビザンチウム帝国は千年以上に渡って地理的・政治的・経済的・文化的のすべての意味で非常に重要な位置を占めていたが、わたしの記憶では学校の世界史の授業でそんなに深く教えられた記憶がない。どうもこの本の話では、完全にキリスト教帝国だったので、ルネサンスの人文主義者たちからバカにされ、"byzantine"というネガティブな形容詞にされたりで、西欧でも未だに評価されていないらしい。

また、当時はこの帝国は全世界の人が単にローマ帝国だと思っていたのだが、元のローマ帝国の西側(イタリアとかフランクとか)の連中が勝手にカトリック教会を作ったりするし、特に末期には十字軍だとかがコンスタンチノープルを蹂躙しているうちに、帝国の中の人たちが「俺たちはローマ=ラテンではない。ギリシアだ」と主張するように変化したらしい。この帝国、アラブやペルシャに対して常に軍事的に劣勢だったが、驚異的な外交力と情勢分析力で千年間生き延びた。最後はトルコ人によるジハードによって蹂躙されたのはとても悲しい話だ。

わたしの世界史の知識はかなりの部分がVSIで形成されていて、日本の教科書がどう教えているのか知らないが、ここは特にトルコとギリシアの関係や、ロシアやシリアやイランとの関係を考える上では必須の知識だと思われる。わたしが無知なだけかもしれないが、日本でもビザンツの歴史はもっと知らされるべきだし、何ならこの本を翻訳しても、結構な衝撃力があるんじゃないかと思う。

This book is a great reading. Indispensable background knowledge for understanding modern international relations around Greece, Turkey, et cetera.

Oxford Univ Pr (2015/10)
英語
ISBN-13: 978-0199236114

0 件のコメント:

コメントを投稿