2015年11月12日木曜日

Baruch Fischhoff, John Kadvany "Risk: A Very Short Introduction" [リスク:非常に短い入門]

目次 1.リスクに関わる決定 2.リスクを定義する 3.リスクを分析する 4.リスクに関わる決定をする 5.リスクの認知 6.リスクの伝達 7.リスク、文化、社会

意思決定理論のリスクに関わる部分の解説といったところ。大学で言えば経済学とか心理学で教えるような話で、わたしとしては新しい知見は少ない。このあたり、いくつかの公理を導入した整然とした理論体系もあり、現に人工知能の研究などでは使われているわけだが、現実の人間の行動に肉薄するには程遠い。まず、人間の選好を数値化するところで無理があるし、公理に縛られる人間なんかいない。というわけで、公理的体系と実際の人間の行動のズレを「逆説」とか言って論うのも面白いが、実際のところ、この辺りの話を一回りすると、特にその先何もないなあという感じは避けられない。今までこの分野に興味のなかった人、特に経済学・心理学などの学生にはこの本は入門にいいかもしれない。進んだ読書として、政策への応用としては"Nudge"みたいな本も面白いし、また、単純に面白いという意味では、この本でも言及されるカーネマンの"Thinking, Fast and Slow"を強くお勧めする。

Very informative for students for psychology or economics.

Oxford Univ Pr(2011/07)
英語
ISBN-13: 978-0199576203

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