2012年12月25日火曜日

Joseph S. Nye Jr. "The Future of Power"

知らない人のために説明しておくと、ナイ氏はアメリカを代表する政治学者であり、かつ知日派として知られ、駐日大使の候補に名が挙がったこともある。というわけで、こういう本は出て直ぐ読むべきだが、遅くなってしまった。翻訳も当然出ている。

これは既に国際政治学の基本書と言える。アフガンやイラクでアメリカが露骨な軍事力に訴える局面が続いたが、力というのはそんな単純なものではなくて、実際には文化や価値観、public diplomacyを通したソフトパワーと、露骨な軍事力や経済力のようなハードパワーを組み合わせた、スマートパワーが大事だと言っている。そういう見地から将来を考えるとアメリカは当分中国なんかに負けませんよというような話だが、理屈自体はどこの国でも同じことなので、この理屈を元に日本の将来を考えることも可能だ。というか、それ以前に、public diplomacyの概念が日本では遅すぎる。台湾を始め東南アジアでは既に中国の強力な世論工作を受けており、本書のような理論は既に常識化していると言える。従って類書も多いが、主唱者の本はやはり読むべきだし、今後当分の間は、基本書の地位を維持し続けるだろう。

A famous, basic and indispensable must-read on international politics.

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