2021年1月19日火曜日

Louis P. Masur "The U.S. Civil War: A Very Short Introduction" [南北戦争:非常に短い入門]

目次: 1.内戦の起源 2.1861 3.1862 4.1863 5.1864 6.1865と戦後

基本的には米国内戦を時間で追っている。類書と比べてどうなのか分からないが、普通に話は分かるし、翻訳する価値もあるように思う。特にアメリカにおける黒人差別という問題は、日本人にはほとんど実感のないところで「なんでそこまで」と思うことも多く、少なくともこの辺りまでは遡らないとよく分からない。

それはそれとして、内戦はうんざりする。スペイン内戦も酷かったが、米国の内戦もうんざりだ。元々の原因は奴隷制をめぐって南部諸州が合衆国を脱退したことだが、リンカーン大統領はかなり後になるまで優柔不断で、戦争目的は奴隷制と無関係と言い続けるし、それに応じて戦争は長引くだけでただ死者だけが積みあがっていく。スペインの場合はフランコの意図的な作戦だが、内戦というのはもともとこういうものかもしれない。野蛮なことだが、奴隷解放の歴史はこの上にある。

そして日本は内戦を経験していなのだとつくづく思う。戦国時代だとか言っても一般人にとっては迷惑な話くらいでしかなく、小田原城を豊臣軍が包囲したところで周りの小田原市民は見物していただけだろうし、別に小田原市民が名古屋市民を恨んでいるとかいう話になりようもない。そういうこともあり、色々な意味で日本人も学ぶべき歴史だろう。

Gruesome.

Oxford Univ Pr (2020/10/21)
言語:英語
ISBN-13 : 978-0197513668

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