2019年8月8日木曜日

John Archibald "Genomics: A Very Short Introduction" [ゲノム学:非常に短い入門]

目次:1.ゲノム学とは何か 2.生命の本をどう読むか 3.遺伝子とゲノムの理解 4.生物学と医学の中の人ゲノム 5.進化ゲノム学 6.ゲノム学と微生物の世界 7.ゲノム学の未来

これは中々熱い本だった。前半はどうやってDNAのヌクレオチド配列を読むかの技術的な説明。この本は難しいという評判だが、恐らくこの部分で引っかかるのだろう。少なくとも高校の生物の教科書に書いてある程度の細胞の構造くらいは知っていないと厳しい。とは言え、高校生でも理解できる話だと思うがなあ…。実際のところ、DNAの二重螺旋を剥がして端から読んでいくのがそんなに簡単なはずがないが、あまり具体的な方法の説明は聞いたことがなかった。しかし、これこそがゲノム解析/工学の基幹となる技術であり、ここをスキップすることはできない。

後半は具体的な各種応用分野の解説。結構面白い話が山積みだった。まさに無限に未踏の世界が広がっている感じだ。例えば海苔を消化できるのは日本人だけとかアルゼンチン人が遺伝子レベルで砒素に強いとかどうだろうか。人類の進化のクダリも面白かったし、ウイルスとか微生物の話は常に面白いし、全体的に退屈な部分はなかった気がする。この方向、個人で何かできるわけではないが、少し読書を進めていこうかと思う。

A very exciting field.

Oxford Univ Pr (2018/5/22)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198786207

2 件のコメント:

  1. これも面白そうですね。いつも面白い本を紹介して頂いていありがとうございます。それにしてもカラスさんは守備範囲広いですね。すごい。

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  2. いえいえ。まあ本を読むのが好きなんで…。この本は前半部分が難しいとされていますが、DNAシークエンシングの説明自体はweb上でもあるので、大雑把にでも把握しておいたほうが良いかもしれないですね。

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