2016年12月13日火曜日

Eleanor Nesbitt "Sikhism: A Very Short Introduction" [シク教:非常に短い入門]

目次:1.導入 2.ナナク師と最初の継承者たち 3.グラント・サヒブ師 4.ターバンとカルサと行動規範 5.現代シク教の形成 6.インドの外のシク教 7.カースト・ジェンダー・他の信仰に対する態度 8.シク教と第三千年紀

知らない人もいるかもしれないが、シク教は主としてインドのパンジャブ地方の宗教で、信者数は2000万人超というから、なかなかの勢力である。インドの多数派はヒンズー教だが、我々がインド人をイメージする時に頭にターバンを巻いているのがシク教徒ということらしい。西洋的にはイスラム教徒と見分けがつかずに無意味な差別が横行することもあるらしい。インドにはもちろん、ムスリムもいるが、日本人としては、あまり間違えないところである。

実際、本書を読んでいると、イスラム教やキリスト教よりは随分寛大な印象を受ける。まず、他人を改宗させなければならないという発想がない。宗教はそれぞれでいいんじゃないのくらいの話で、特に他宗教を差別する思想がない。もちろん、歴史的にはシク教徒に対する迫害もあり、それに対応して尖鋭化したり、母体であるヒンズー教との差異を強調しようとしたりすることもあったようだが、その割には寛大さを維持し続けている。わりと日本人にはなじみやすい考え方と思われる。そして、インド人がたいていそうであるように、教義上はカーストを否定していながら、実生活では未だにカースト意識が抜けない。困ったものだ。日本語ではあまりシク教の分かりやすい入門書もないようで、この本くらいが一番だろう。

While Japanese people seldom confuse Sikhs with Muslims, this book still provides great insights about this religion or lifestyle. I guess Westerners with little knowledge about Sikhism will gain great benefit from learning Sikhism.

Oxford Univ Pr 2nd ed. (2016/07)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198745570

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