2012年11月18日日曜日

Stephen Mumford "Metaphysics: A Very Short Introduction"

ISBN-13: 978-0199657124

Oxford Univ Pr(2012/9/8)

形而上学の入門書。いきなり「テーブルとは何か」から始まる。唯名論と実在論とか、空間の最小単位とか、時間の流れる速度とか、物体は延長と不貫入性を持つとか、不在は原因たり得るのかとか、同一人物の定義とか、形而上学の定番の問題がぞろぞろ解説される。言っていることは特に難解でもないので、高校生でも理解できると思われる。

問題は、こういうことを子細に考察して何の役に立つのかというところだろう。おそらく、「面白いからそんなのはどうでも良い」という人種でないと、こういう研究はできないが、一応著者も最終章で弁護を試みており、わたしはあまり同意ではない・・・。個人的には、どちらかというと、こういうのは現実の仕組みというより人間の思考の仕組みを調べているというカントの説に賛成だ。もっとも、現実と人間の思考をそんな明快に区別できるとは思わないが。この本に限らず西洋哲学全般に「個人の内面に与えられるもの」を絶対視することにより、本質的に独我論的であり、外界と個人を接続するのに必ず神が必要になる。そういえば、この本で独我論が取り上げられないのは示唆的ではあるまいか。わたしとしては、ヴィトゲンシュタインとデリダで終わっている。まあそこまで大きく考えなくても、一体何が問題で、それが何に還元されたら解決ということになるのか、ということについては意識的に考えながら読んだほうが良い。

それはそれとして、この著者の眼中にないようだが、形而上学には少なくとも一つ実用性があった。つまり、情報科学である。多少とも情報科学を学んだことがあれば、「モナド」とか「アフォーダンス」とか「オントロジー」とか形而上学用語を聞いたことがあるはずで、つまり、プログラムには世界を写し取るという面があり、特に言語理論や人工知能の研究は形而上学から様々な示唆を受けているのであった。SEのための数学とかSEのための会計学とか適当な本が多いが、そういうことならSEのための形而上学という本も執筆されるべきなのだ。

Easy to read for beginners. Typical topics in metaphysics are introduced and readers are invited to think themselves. In the last chapter the author tries to defend the value of metaphysics, which I do not totally agree. It is not mentioned in this book though, metaphysics is useful at least in one industrial area: information science. I want to read a book with a title, for example, "Metaphysics for AI".

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