2021年11月5日金曜日

Tim Newburn "Criminology: A Very Short Introduction" [犯罪学:非常に短い入門]

目次:1.犯罪学の導入 2.犯罪とは何か 3.誰が犯罪を犯すのか 4.犯罪をどのように測定するのか 5.犯罪の最近の傾向を理解する 6.犯罪の減少を理解する 7.犯罪をどのようにコントロールするのか 8.どのように犯罪を防ぐのか 9.犯罪学の未来

目次からも分かるように基本的には主に社会学と刑事政策の範疇にある犯罪学で、犯罪捜査や司法の話ではない。あまり期待していなかったがかなり面白かった。個人的に昔、犯罪学は色々調べたことがあり、統計が信用できないだの立法過程や司法機関のほうが問題だのと非生産的なことばかり言っている気がしていたが、どうも時代も変わったらしい。本書にもあるように統計を疑うのは賢明なことだが、非常に重要な情報であることには変わりない。例えば、どんな状況のどんな国でも十代後半に犯罪率のピークが来るのは確からしい。戦後犯罪率が上がり続けるが1990年頃にピークを迎えてその後減るという謎現象も確かにあるようだ(Chapter 6)。生物学的・遺伝的原因も昔のように全面却下されていない(無鉛ガソリンの影響の可能性すら言及されている)。不確かな情報からでも、実際に有効な行政手段も生まれているらしい。もちろんVSIなので入門でしかなく、わたしとしては物足りないところもあるが、学問が進歩しているのは認識させられた。これを読んでさらに犯罪学を究めようという人は少ないかも知れないが、社会を見る一つの視点を得る意味で誰が読んでも損がないのではないかと思う。

I have read numerous books on this topic from decades ago. Still, I think this book is the best.

Oxford Univ Pr(2018/6/26)
言語:英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0199643257

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