2017年5月23日火曜日

Russell G. Foster, Leon Kreitzman "Circadian Rhythms: A Very Short Introduction" [サーカディアンリズム:非常に短い入門]

目次:1.サーカディアンリズム:24時間現象 2.一日の内の時間が問題 3.タイミングがズレる時 4.時計に光を当てる 5.分子時計の刻み 6.睡眠:最も明白な24時間のリズム 7.サーカディアンリズムと代謝 8.生活の季節 9.進化と時計への別の見方

概日周期とも訳せるのかも知れないが、生物の体内に組み込まれている生物時計の概説。生物時計は外部刺激(光など)によって調整されはするが、基本的には外界と無関係に(つまり地下などの外部刺激が変わらない状況でも)時を刻み続ける。機械時計の挿話があったりするが、多分筆者が機械時計に関する名著を読んだものと思われ、機械時計と基本的に関係はない。前半は巨視的に人間を含む生物の生活のリズムについて説明していて、人間であれば、夜勤が有害だったり、若者が夜型だったりするというようなことが説かれている。この件に関しては名著"Sleep"も是非併せて読みたい。わたしは超夜型で、今まで生活リズムで散々苦労してきたのがこの本を読んだ最大の動機だ。学校の開始時間を遅らせるような試みは、欧米では既に始まっているが、日本では聞いたこともないし、さっさとこういう知識が日本でも普及することを願う。最近聞かなくなったが、サマータイムなど論外だ。

後半は完全に分子生物学で、普通に高校程度の生物学の知識があれば読めるが、話が非常に複雑なのは覚悟する必要がある。なんでも、分子レベルの話と生物の行動の関係がここまで明らかにされている例はほとんどないらしく、頑張って読んでいくと壮絶に複雑で、どうやって解明したのか理解に苦しむくらいだ。医師の国家試験でもここまでの知識は要求されていないのではないかというような…。しかも、解明したところで複雑過ぎて、これを健康に役立てるとかいう話にはほど遠い。ただ、こんな壮絶に複雑なことがほとんどの生物の中で行われていることに感嘆する。

I wonder if even medical doctors understand these molecular level mechanisms of circadian rhythms.... Complicated, yet fascinating.

Oxford Univ Pr (2017/5/23)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198717683

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