2015年12月6日日曜日

Randall Munroe "Thing Explainer: Complicated Stuff in Simple Words" [物の説明書:簡単な言葉による複雑な物事]

ウェブマンガ"xkcd"の作者にしてベストセラー"What If?"の著者による一種の科学図鑑。わたしとしては、かなり面白いと思うが、おそらく翻訳されないだろう。

基本的には色々な機械や科学的な知識を、筆者がイラストと細かく書き込まれた文章で解説しているのだが、この文章がただの文章ではない。すべての文章が「英語で最もよく使われる1000語」だけを使って書かれている。従って、機械用語も科学用語もほとんど出てこない。それでどうやって説明するかというところにこの本の面白さがある。たとえば、"Japan"は1000語の中に入っていないので"a country named after the rising sun"などと書かれる。すべてがこの調子だから非常に面倒くさい。一応目次の最初のほうだけ書き写すと雰囲気が分かるかもしれない。

Things in this book by page
Page before the book starts/ Shared space house/ Tiny bags of water you're made of/ Heavy metal power building / Red world space car/ Bags of stuff inside you/ Boxes that make clothes smell better/...

イラストの周囲にはびっしりと解説が書き込まれている。本来一語で済むところを長々書く必要があるし、内容も実はそこそこ濃い。結果、ぱっと見には、何かの病気の人が書いたようにも見える。実際、この本を書き上げるにはかなり粘着質というか異常な執念が必要な気もする…。読む側としては、ある程度説明対象について知っていて、それがどう説明されるかを楽しむということになる。ユーモアも忘れていないし、とても面白い。

ただ、読む人を選ぶような気はする。特に、翻訳は不可能というか不要かもしれない。少なくとも英単語としては千語で納まっているのだから、その限りでは日本の中学生でも読めるわけだ。だから、中学生または高校生の英語の勉強には優れたテキストかもしれない。特に理系寄りの子どもは喜んで読んでくれるような気もするが、どんなものか…。もちろんxkcdの好きな人は、枕元にでも置いておくと当分退屈しない。

Hysterical.

Houghton Mifflin Harcourt (2015/11/24)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0544668256

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