2010年10月7日木曜日

Stephen Hawking, Leonard Mlodinow "The Grand Design"

ホーキング博士の最新刊。宇宙論という分野は、進歩が激しいというか情報爆発みたいな感じで、専門家ですら最新の情勢についていくのが大変らしいが、そこでホーキング博士みたいな人が書いてくれると話が早い。例によって一々神の非存在を論じていてうんざりするが、間違いなく本人が書いているというようなことで。

半分以上が、ギリシアの叡知をキリスト教が抑圧したとかいう世界観と、量子力学と相対論のよくある概説みたいなので占められている。本題はそこから先で、M-theoryと言う理論(群)を推してくるが、最終的にはライフゲームみたいなもので、単純な規則から見かけ上複雑な状況も作れるということらしい。まあ、昔から「宇宙のすべては単純なアルゴリズムの反復で生成できる」みたいな主張をする人はいるわけで、ホーキングはそこまで野心的ではないが、とにかく、「宇宙の存在を説明するのに、神は不要」ということがひたすら強調されていて、多分、普通の日本人には、そこまで必死になる理由が分からないんじゃないかと思う。

と思ってタイトルを見なおすと"The Grand Design"というのは、キリスト教系の"intelligent design"論に対抗する意味のようだ。日本語に翻訳しても、あんまり売れないかなあ。

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