2026年1月11日日曜日

Samuel Helfont "The Iraq Wars: A Very Short Introduction" [イラク戦争:非常に短い入門]

 The Iraq Wars: A Very Short Introduction (Amazon.co.jp)

目次:1. 序:アメリカとイラクとイランイラク戦争 2. 湾岸危機1990-91 3. 制裁と査察と紛争1991-2000 4. イラク侵攻2003 5. 抵抗と内戦と反乱と鎮圧 6. ISISとアメリカのイラクへの帰還 7. 結論

微妙に同時代史と言えるような時代を取り扱っているが、微妙に知っているような気になってしまっている案件で、こういう本で一旦整理するのは良い。意外と誤解や「その後判明した真実」などもあった。サダム・フセインは実際に大量破壊兵器を持っていたが、あまりに露骨にウソをついたり査察を拒否した上にこっそり廃棄していたから、廃棄した証拠も出せず、大量破壊兵器を差し出すこともできなかった云々。しかしどのみち残虐な圧制だったから排除して良かったんだろう…と思うと、それまで潜んでいたセクトが内戦を始めてまた無辜の市民が云々。

基本的に戦争の話である上に、国家と民族と部族と宗教が入り組んでいてうんざりする。それでもかなり単純化していくれているはずだが…。しかしこれも現実だから仕方がない。最近は米軍がベネズエラの大統領を誘拐して、あれもまあとんでもない独裁者でベネズエラ国民歓喜というところだが、大統領のみを除去してどうなるんだろうか。そんな作戦になるのもイラクでの泥沼の教訓を活かしているのだろう。いくら極悪非道な政府でも、その国の統治方法を知っているのはそいつらだけなのだ。

というようなことで、イラク戦争は一応たいていの文書記録も出ているところなので、この辺りを学習すれば現在進行中の話の理解も深まるということである。トランプ大統領がベネズエラ国民の自由と民主主義のために戦うわけがない。アメリカにとってどうでも良ければソマリアみたいにさっさと撤収してしまうに決まっている。そのうちウクライナからも撤収するが、イラクやベネズエラは放置しているとアメリカに実害がある。台湾がどっちなのか明白だが、トランプ大統領がどう考えるか分からない。一度イラク戦争を見直すのも良いかもしれない。

Oxford Univ Pr (2025/10/15)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0197753637