2026年2月11日水曜日

Dana Villa "Hannah Arendt: A Very Short Introduction" [ハンナ・アーレント:非常に短い入門]

Hannah Arendt (Amazon.co.jp)

目次: 1. 暗黒時代の生活 2. 全体主義の本質と起源 3. 政治的自由と政治的領域と活動的生活 4. 革命と憲法と「社会の問題」 5. 判断と思考と意志

ハンナ・アーレント(1906-1975)という名を知っているのは政治学か社会学を勉強した人間くらいだろうか。この本は良い本だと思うが、英文は読みにくい。それでもArendtの元の英文よりはマシだと思うが。思想の紹介の仕方自体が何か弁証法的だ。

些細なきっかけでアイヒマン裁判の話を思い出してアーレントの考え方を再確認したくなった(第五章)。しかし、正直言うと、時代がかっている気がした。どうも第二次世界大戦前後の思想家というのは、歴史上の人物というには近すぎるし、その割に今の時代の思考の枠組みというか土台にかなりズレがある。例えば、アイヒマンの件については、今時は、個人の倫理観に絶望する時代は通過して、制度の問題に焦点があるんじゃないかな。某国が国内の某民族に対してナチスと大して変わらないことをしていることについて問題になっても、倫理観に訴えても何も起こらないのが実態としてある。

何でもない普通の人、しかも別に洗脳されたというほど思想に染まっていない、単なる無思想な人間が民族浄化に加担する。解決策として哲学が有効だろうか。そんな感じになっているのも、アーレントの寄与があってのことかもしれないが。

Oxford Univ Pr
 ‎2023/4/26
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0198806981