元素に関するよもやま話。周期律表の発見とか酸素の発見とかドルトンの原子説とかギリシアの哲学者はどうこうとか、ありがちな話で日本語でも類書は多い。高校生ないし中学生くらいでも十分読める程度だ。
A wide range of talks about elements. Not very original.
Oxford Univ Pr (2004/10/7)
ISBN-13: 978-0192840998
元素に関するよもやま話。周期律表の発見とか酸素の発見とかドルトンの原子説とかギリシアの哲学者はどうこうとか、ありがちな話で日本語でも類書は多い。高校生ないし中学生くらいでも十分読める程度だ。
A wide range of talks about elements. Not very original.
Oxford Univ Pr (2004/10/7)
ISBN-13: 978-0192840998
安定して面白いこのシリーズである。今回はRowleyにgirlfriendができたため、「友達がいない」という状況だが、どうも友達がいないのは彼の国では日本ほど深刻な問題ではないらしい。つまり、学校・クラスが日本のように閉鎖的でないのであり、一人で昼飯を食っていても誰にもバカにされないし、「二人ずつ組みになってー」みたいなこともないのだろう。代わりに、親戚の話がメインになっている。まあその親戚というのも、あまり徳の高い人々ではないし、主人公も積極的に付き合いたいとは思っていないわけだが。子供の頃にこういう本があったらなー。ま、日本ではこんなリアルな児童書はPTAに断罪されるだろうけどね。洋書だと途端に甘くなる。まだ翻訳が出ていないようだが、すぐに出るだろう。しかし、毎度申し上げている通り、これは原語で読まなければ面白さが半減すると思う。
My favorite. Generally I hate books for children, but this series is a notable exception. I guess it is because I was and am a Greg.
Harry N. Abrams (2013/11/5)
ISBN-13: 978-1419711329
HTML5のWalkthroughというとありがちな気もするが、特にCanvasに詳しい。なかなかの重厚さで、ある程度経験のある人がHTML5で何が可能なのかを知るには最善だろう。逆に、HTML5の特定部分だけ知るだけなら、Canvas部分は別として、もっと特化した新しい本を探したほうが良いかもしれない。もっとも、この本でも、レファレンスとまではいかないかも知れないが、相当な所まで分かる。もちろん、HTML5は進化中なので、最新情報を取り入れる努力は必ず必要だが・・・。たとえば、<hg>が抹殺されたとか・・・。
A very good overview/introduction to HTML5 for those experienced with Web programming.
Sams Publishing; 1版 (2013/7/26)
ISBN-13: 978-0672336270
科学と宗教、というか現代科学とキリスト教との折り合いの付け方の研究。完全な無神論と極端な原理主義を別としても、たいていの人はそんなに真剣に考えないと思うし、科学と宗教の両立に矛盾を感じている人も少ないと思うが、「なぜ奇蹟はたまにしか起こらないのか」とか「なぜ悪が存在するのか」とか「神はどこにいるのか」とか真剣に考えると色々面倒臭いことになるという話である。西洋では昔からよくある話で、ヒュームだのドストエフスキーだのでもおなじみの主題だ。個人的には正直どうでもいいが、米国におけるInteligent Design論の展開の解説にかなりの紙幅を割いており、歴史的・法学的・科学的・神学的・政治的な状況の解説が勉強になった。
Aside from the decided atheism and extreme fundamentalism, a few people worry about questions like "why do not miracles happen more frequently?" or "where is God?" or "does Heaven exist?". This book explores a wide range of answers for these questions and history. I am a Buddhist and do not worry these problems too much, but very interested in political situations about ID theory in the US. In this respect, it was very informative.
Oxford Univ Pr (2008/08)
ISBN-13: 978-0199295517
「何でも直ぐに法律を作るな」的なところから始まる本。日本で言うところの「法制執務」に当る。立法のためのガイドブックだ。このブログを読む人がフランス語で法律を作ろうと思うとは考えられないが、法律の読解の参考にもなる。字も大きくて読みやすいし、基本書として通読して一冊持っておくのが良い。言葉使いなども解説されてはいるが、日本で言うところの「またはと若しくは」「直ちにと遅滞なく」とかいうような話は、フランス法ではないようだ。更に研究するが、無いものを探しても仕方ないかのう。
Une introduction pour rédiger des lois. Utile aussi pour lire des lois, je crois.
Berger-Levrault; Édition : 7e édition (7 décembre 2012)
ISBN-13: 978-2701317908
フランスの法律入門書だが、個別具体的な法律ではなく、法制度の一般論のさらに入門書みたいな感じで、場合によっては人類学から解説していたりする。予備知識は全く必要なく、法律の全くの素人でも読めるし、フランス語自体も易しい。
そもそも日本の法体系がフランスの法体系の輸入で成り立っており、特に前半は分かり切っている部分も多いとは思うが、フランス固有の話も多い。子どもの名前は三つまでつけて良いとか初耳だったが・・・。フランス本国でも評判は良いようだし、これからフランス法の勉強をしようというような法学部生が最初に読むのには自信をもって推奨できる。
Une introduction excellente.
いわゆるITILの原典。仕事で使う人はitSMFで売っている日本語訳とともに職場に装備しているべきで、今更どうこういう話でもない。ITILは規格ではないと言い張っているが、実際には規格に近い使われ方をしている。一番大きいのは用語の統一で、特に社外との取引・契約などで、それはこの言葉に含まれているとか含まれていないとかいうような面倒を大幅に削減する。業界標準に近いので、好き嫌いはさておき、使わざるを得ない。個人的にはITILの試験なんかに参考にする人が多いと思うが、ファウンデーションくらいなら、原典に当たらなくてもITIL Foundation Exam Study Guideみたいな本を読んでいれば何ら困難なく受かる。その先は、やはり原典が必要になるかもしれない。
An industry standard, though ITIL itself refuses to be called as such.
Stationery Office (2011/7/29)
978-0113313235
これを読んだのは少し前で、忘れ気味だが、タイトルから分かりにくいが、要するにEUの解説と思って良い。ただ、EUの変化はIT業界並なので(特にこの間はリスボン条約)、今さらこの本は推奨しない。新版が出たらお勧め。
Une introduction de l'Union Européenne. Un peu vieille.
Presses Universitaires de France - PUF; Édition : 1 (13 avril 2011)
ISBN-13: 978-2130581437
ネット関係のフランス語の語彙を拾うべく読んだが、(当たり前だが)一般人向けなので、わたしとしては当たり前のことしか書いていない。さらに、フランスはアメリカはもとより、日本や英国に比べてもネット普及が遅れている。ただ、一般人で多少ネットに興味があってフランス語の勉強をしようという人には良いだろう。一記事が短いので読みやすい。
Pour des amateurs, naturellement.
Puf (2012/11/28)
ISBN-13: 978-2130592112
細胞についての普通の教科書的説明。あまり類書を読まないので知らないが、標準的なところではなかろうか。特に特徴があるようには思えなかった。ただ、話自体は面白い。
A standard textbook.
Oxford Univ Pr (2011/11)
ISBN-13: 978-0199578757
JavaScriptの入門書にして決定版というところだろう。そもそもJavaScriptの入門書でこんなに分厚い例は他に知らないし、ずっと手元に置いておいてレファレンスとして使用することも可能だ。明白な開発目標もなく、ただできるだけJavaScriptを知り尽くしたいということならこの本以外に選択肢はない。習うより慣れろな人にはお勧めしかねる。
The most comprehensive introductory book of JavaScript.
Peachpit Press; 1版 (2012/2/17)
ISBN-13: 978-0321812520
いわゆるGoFのJavaScript/jQueryバージョン。前提知識としてGoFまたはそれ相当のものを理解していて、ある程度JavaScriptの経験を積んでいることが必要だ。その上でいくつか参考になる話もあるというくらい。
Some observations on JavaScript design patterns.
Oreilly & Associates Inc; (2012/8/27)
ISBN-13: 978-1449331818
ロボット工学の入門書・・・というよりは、ロボットの生態学というか進化学というか、概念的な説明である。たとえば、ロボットには感覚器官と動作機構が必要だとか、学習できるべきだとか、自分でエネルギーを補給できるべきだとか、「不気味の谷」があるとか・・・。現存する様々なロボットの例示も多いし、未来のロボット、たとえばセックスロボットにまで言及されている。しかし、ロボット製作に必要な工学などについてはほとんど説明されていない。この点に期待しているムキにはお勧めできない。従って予備知識はほとんど必要なく、中学生でも読めると言うか、中学生が対象読者なのかもしれない。
この著者は一貫して動物とのアナロジーを考えており、キリスト教文明の強迫観念を感じる。生物を概念的に機能分解して、それぞれの機能と各種ロボットが実現している機能を説明することが多く、そんなことにあまり興味のない実用主義の日本人には、いまいち趣旨が分からないところかもしれない。これは個人の嗜好の問題かと思うが、翻訳してもいまいちの気がする。
A conceptual introduction to robotics. It explains how well robots mimic functions of animals. But not explains mechanics.
Oxford Univ Pr (2012/11/17)
ISBN-13: 978-0199695980
電子戦の技術(基礎編)ということで邦訳が出ているが、実際には、アンテナ・レーダーの動作原理とその妨害・欺瞞方法を概念的に解説するのが中心的なテーマである。アンテナやレーダーの基本原理を理解していれば、特に他の予備知識は必要ない。話として難しいわけではないが、民間人がレーダーの妨害を考えることはほとんどないし、ましてや欺瞞の必要性もない。その分、斬新に楽しい。もっとも、個人的には、この話は懐かしいという面のほうが大きい。みなさんもこの本を読んで画期的な電子戦術を発明すれば、自衛隊基地に数ヶ月間軟禁されるかもしれない。
そして、この本、EW102,EW103と続編もあるが、書いている内容が初歩的とは言え、特にコンピュータが入ると内容が直ぐに古くなるのは否定できない。Journal of Electronic Defenseでの連載は続いていて、今は赤外線の話をしているが、こういう内容なら古くならないのだが・・・。もちろん、本気で興味のあるムキはJEDの購読をお勧めする。
It explains basic ideas in electronic warfare. Readers are expected to have basic knowledge of the radar and the antenna, but easy to read enough.
Artech House (2001/02)
ISBN-13: 978-1580531696
JavaScriptのいろんな面についての短い雑多な解説をいくつかまとめたもの。が、主軸はオブジェクト指向部分であり、用の無い人には用が無いところだ。他方、何となくJavaScriptを使っている人にとっては、発見があるかもしれない。ただし、オブジェクト指向の一般理論の知識は前提である。prototypeって何、みたいなことだと、この本の大部分は読めない。わたしとしては、ある程度、言語仕様から入ったところがあるので、その方面ではあまり開眼するようなことはなかったが、知らないこともいくつかあった。
Even if you are a seasoned JavaScript programmer, you might find some knowledge that you never had in this book, especially if you have never learned the language in a formal way, which is highly possible.
Oreilly & Associates Inc (2013/1/7)
ISBN-13: 978-1449342883
タイトルが分かりにくいし、「メンテナブル」とかいう日本語タイトルにするのもどうかと思うが、要は保守性の高いコードを書くためのガイドライン集。インデントスタイルとかグローバル変数を使うなとかinnerHTMLを使うなとか色々うるさい。わたしとしては、常識的なところばかりだと思うが、初心者、特に他の言語の経験もないような完全な初心者は読んでおいたほうがいい。といっても、これを金科玉条の如く信じ込み、他人のコードにケチをつけてくる奴も出てくると思うと頭が痛い。基本的には、複数人巻き込むある程度大規模な開発に関係する話で、一人でやっている人には関係が無い。一人で書いていて保守困難になるのは勝手だし、そうしてキレイなコードを書く必要性を学んでいくものだ。ある程度苦労しないとこの本の意味が分からないかもしれないし、永遠に分からないのなら、それはそれで構わない。
A style guide. Indent style, separation HTML from JavaScript, avoid global variables.... Very practical yet I wish you are not going to be too strict.
Oreilly & Associates Inc (2012/5/31)
ISBN-13: 978-1449327682
このタイトルでは良くわからないが、ある国が経済発展したり、ある国がずっと貧困だったりする理由を説明しまくる本である。特に何度も繰り返されるのが「低賃金の国では新技術の導入が割に合わない」という説で、たとえば、イギリスで産業革命が起きたのは賃金が高かったからだと言う。なぜイギリスの賃金が高かったのかは不明だが・・・。他には市場の大きさとか教育水準とか関税とか資源とか差別とか戦争とか、まあ、だいたい標準的な説明がされている。正直なところ、わたしとしては、「だから何」という気分が強い。が、多分、標準的な説明ではあるので、大学生が勉強する分には、非常にコンパクトで良いのではなかろうか。
No eye-opening discoveries, but very standard explanations on why some countries gets rich and some countries gets poor, I guess.
Oxford Univ Pr(2011/11/15)
978-0199596652
いわゆる発生生物学の概説。普通に高校で生物を勉強したくらいの予備知識で十分かと思われる。近頃はiPS細胞だとかで盛り上がっているので、易しく書かれたこの本は売れているのではないかと思う。実は個人的にはあまり斬新な知見はなかったのだが、生物の精妙さにはいつも癒されるところだ。
A good overview of developmental biology. Nothing difficult. Be prepared for iPS revolution.
Oxford Univ Pr(2011/9/2)
ISBN-13: 978-0199601196
生命の誕生から始まる生物史・古生物学。天文学も地質学もそうだけど、結局は想像でしかないのが熱い。特にこの本では、最初の生命の誕生とベルム紀大絶滅が熱い。もちろん他にも、陸上への進出とか骨格の獲得とか恐竜の繁栄とか、一々熱くて退屈しない。また、この分野は進歩が激しいので、学生時代に勉強しただけというような人も読むと衝撃を受けることが多いかもしれない。予備知識は必要ない・・・真核生物と原核生物の違いが分からんとか、そんなのはググればいいだろう。
A great overview of palaeontology. Fascinating.
Oxford Univ Pr(2008/12/15)
ISBN-13: 978-0199226320
地球の入門書・・・実際には、地質学が主で、地球の内部構造や大陸移動、地震や火山の構造の概説である。たとえば、気象などにはほとんど言及が無い。あくまで、地球の内部のほうに関心がある。たとえば、高校の地学では、マントルに引きずり込まれた海洋底がその後どうなっているのか全く不明だったが、この本によると、マントル底部でちぎれたりしながらも形をまだ保っているらしい。とか、地球の中心核はどんどん固まっていっており、数十億年後には完全に個体化するとか・・・。わたしとしては結構面白かった。特に地球の住民にお勧めしたい。自分たちの足元で何が起こっているか、多少は知っておいた方がいいだろう。
A good overview of the planet and it should have been titled as "Inside the Earth". Fascinating and I recommend this book to all inhabitants of the planet. We should know what is going on under our feet.
Oxford Univ Pr (2003/9/25)
ISBN-13: 978-0192803078
いわゆる風水の紹介。日本語の読める我々としては、こんなものを英語で読む必要もないし、さらにそれが日本語訳になる意味も不明だが、Wooden Booksの趣旨として男子中学生向きと思われ、学校の図書館とか家庭に置いておくのにはいいだろう。わたしはというと、迷信占いの類は全面無視するタイプだが、地形や建物が人間心理に影響するのは明白だし、よほど変なことを言い出さない限り、風水の話も聞いても良いのではないかと思っているくらい。
A brief introduction to Feng Shui. A good start for westerners. Generally I ignore astrology or Tarot or anything like that sort. But, since it is not surprising that geography has some influence on human psychology and I am a Japanese, I have some respect for Feng Shui. That said, I guess it is highly influenced by one's cultural context or background.
Walker & Co (2012/1/17)
ISBN-13: 978-0802777874
標準的な天文学史。ギリシアとかバビロニアから始まり、アリストテレスとかプラトンとか、中世とかイスラムとか、ケプラーとかニュートンとか、天王星の発見とか銀河系の発見くらいまで。よくある話なので大して期待していなかったが、想定外に感動した。もっとも、良く考えると普通のことしか書いていないので、単に物理学史の好きなわたしの個人的な趣味かもしれない。ただ、情報量も多いし、この手の本にありがちなどうでもいいキリスト教批判とか古代文明に対する過剰な称賛罵倒の類も少ない。類書の中では最善かと思われる。
A standard overview of the history of astronomy. It lacks views over Chinese or Asian astronomies, but who cares? Anyway I can read Japanese and Chinese.
Oxford Univ Pr(2003/7/31)
ISBN-13: 978-0192803061
人生の意味とかタイトルが終わっているが、予想よりは面白かった。特にイーグルトンの考え方に関心があるわけではないが、散りばめられている色々な思想家やら文学者の見解が面白い。特に予備知識も必要ないが、哲学慣れしていないと、面倒臭いところもあるかもしれない。わたしとしては、今更マジメに考える気にならないが、他人がマジメに考えているのを追う程度の関心はあるくらい。
Various citations from world famous philosophers or authors.
Oxford Univ Pr(2008/6/30)
ISBN-10: 0199532176
ISBN-13: 978-0199532179
JavaScriptのいわゆる逆引き辞典。結構分厚くて、かなり下らないことから、やたら込み入った話まであるが、全くJavaScriptを知らない人が(他の言語を知っていたとしても)この本で入門するのは難しい。個々のトピックについてかなりの解説があるので、勉強になる。好みによるが、わたしとしては、これくらい解説をいれてくれたほうが応用が利いて楽だ。純粋にとにかく逆引きということであれば、情報量の多い「JavaScript逆引きハンドブック」(シーアンドアール研究所)もわたしの机上で活躍している。
A good reverse dictionary. Not only practical but also very informative.
Oreilly & Associates Inc (2010/7/23)
ISBN-13: 978-0596806132
いわゆる逆引き辞典だが、極めて初歩的なところから解説されているので、HTML5学習者は、真面目な入門書より、こちらのほうが楽というか手っとり速いこともある。個人的には逆引きより正引きのほうが利用頻度が高いが、これは人それぞれだろう。日本では色々カラフルかつコンパクトなHTML5逆引き辞典があるので、強いてこの本である理由はないが、通読しやすいのと俗悪感がないのは大きな利点だ。
A reverse tag dictionary. I usually prefer a normal dictionary, but it depends. It is practical to become acquainted with HTMl5 by reading through this book. Some prefer a more academic book, though.
Oreilly & Associates Inc (2011/11/28)
ISBN-13: 978-1449396794
単なるHTML5のコンパクトなタグ辞典だが、案外こういうシンプルな本がないような気がする。いわゆる「逆引き」みたいな本は特に日本語では色々あるが、すんなりタグの列挙と解説が見たければ、これのほうがいい。
Just a simple list of HTML5 tags. Really practical.
Oreilly & Associates Inc; 5版 (2013/8/8)
978-1449363352
アメリカのIT書籍の一つの典型だと思うが、著者の思考・嗜好・試行に一々付き合わされる本だ。趣味とレベルが合えば、読み物として面白いが、わりと対象読者が狭い。また直に実装者に役立つわけでもない。ある程度HTML/CSS/JavaScriptに通じていて、HTML5に関心を持ち始め、技術思想や仕様の細部を面白いと思う人が読者候補だが、それにしても試し読みしてから買った方が良い。わたしとしては、動画の章がポイントだったが、もちろんこの本だけでコードが書けるわけではない。「HTML5入門」ということで日本語訳も出ているが、果たしてどれだけ読者が獲得できているのか・・・。今となっては、HTML5については、他にも色々良い本があるし・・・。
Be prepared for a very chatty style and authors' trials and errors. For me, it was worth reading, especially the chapter for <video> and <audio>.
出版社: New Riders Press; 2版 (2011/10/18)
ISBN-13: 978-0321784421
ちと気が早いが来年のカレンダー。来年もDilbertで。Dilbert Calendarは何種類も出ているが、机上用day-to-dayブロックが最もお得。意味の分からないギャグがあっても、dilbert.comで検索すれば全部出ていて、誰かが意味を解説している。エンジニアの英語の勉強にもどうぞ。
Always on my desk for several continual years.
出版社: Andrews McMeel Publishing(2013/6/4)
978-1449430290
世界の伝統的な簡易な住居のコレクション。構造と作り方が簡単に描いてある。遊牧民のテントなどが中心だが、木造や竹造、日干しレンガなどにも触れている。コンセプトとしては、「君たちも作って泊ってみよう」というようなことで、田舎暮らしで器用な人なら実際に作れるだろう。ボーイスカウトの野外活動のようなイメージ。イグルーを作れる人は少ないと思うが、インディアンのテントくらいならわたしでも何とかなりそうだ。読んでいてとても楽しい。イラストのせいか事が本質的にそうなのか分からないが、小さな住居というのは可愛いものだ。Wooden Booksにありがちな神話めいた記述は少ない。少し違うかもしれないが、日本ではホームレスの人たちの住居のコレクションが複数出版されているが、こういうのは、簡単に言うと男子が萌える話である。
A rare gem from Wooden books. Boys are boys. You can build at least one of them, depending on your circumstances.
Walker & Co (2009/10/27)
ISBN-13: 978-0802717733
HTML5のレファレンスであり、タグ辞典的に使えるが、APIや周辺技術(CSS3とかJavaScriptとかDOMとかWebSocketとか何やかんや)についてもレファレンスしている。初心者から玄人まで幅広く使えるだろう。数ヶ月手元において時々見ているのだが、非常に参考になるし、結構、初耳なことが多い。カラーで字も大きくて読みやすいし、これに匹敵する本は日本語でも英語でもない気がする。フランスでも評判は上々なようだ。翻訳したら売れると思うが、挑戦する出版社はないかのう。
Très complet et facile à comprendre. Je n'ai jamais vu un livre comme ça ni en anglais ni en japonais.
Eyrolles; Édition : 2e édition (28 février 2013)
ISBN-13: 978-2212136388
Webアプリ開発のクライアント側(フロントエンド)、特にHTML5とJavaScriptのあれこれを概観したもの。近頃は端末・ブラウザが多様化している上に、JavaScriptのライブラリだとかフレームワークだとかが色々あって、もちろん全部把握している人はいないし、この本は一応整理をつけてくれる。特に重視しているのはオフライン状態とモバイル端末への対応であり、まずもって開発はモバイル・オフラインの状態を念頭に進めるべきという思想のようだ。あくまで概説なので、この本を読んで初心者が開発できるようになるわけでもないし、実際に開発している人間にとっては自分の特化しているエリアについては簡単過ぎると感じるはずだが、特にモバイル端末のブラウザを念頭においた開発を概観していくれている本は少ないだろう。あるいは初心者でも、どのフレームワークを選ぶかという時に参考になるだろう。わたし的には、漠然としていたことに色々整理がついて良かった。もっと評価されるべきだし、日本語訳もされるべきだろう。
A great overview of mobile we apps development. A lot of web browsers, JavaScript frameworks, APIs and so on.
Oreilly & Associates Inc (2012/11/21)
978-1449320515
カリグラフィーについては一時期興味を持っていたことがあって、洋書も何冊か持っていたが、最善だったのはこれだ。人に聞かれて思い出した。真剣に修行するのなら、ちゃんとした師匠に就くべきだが、綺麗な欧字を書きたいということくらいなら、書体の多いこの本を最初の一冊に推奨する。おそらく、この一冊で大抵の美的問題は解決する。
For beginners. Recommendable for the first book and it may be all you ever want.
Perigee Trade; New版 (1986/7/25)
ISBN-13: 978-0399512575
いわゆるNoSQLに分類されるDBMSに関する概説書で、現時点ではこれを越えるものはないと思われる。英語圏では相当読まれているようだが、今からでもこれは日本語訳するべきであろう。日本語でもNoSQLの概説書はなくはないが、わたしの知る限り、どれもこれに比べればパンフレット程度だろう。すべてがリレーショナルDB、特にOracleとの対比で語られるので、予備知識としてリレーショナルDBに通じていることが必要だ・・・が、この本を読もうかと言う人がSQLを書けないということはあり得ないだろう。
最初の前書きが長い。さらに、第一部のNoSQLに関する一般論(AggregateとかMap&ReduceとかCAP定理とか)が些か理論的というか衒学的なのが気に障る人もいるようだ。しかし、元来リレーショナルDBからして理屈に基づいて理屈通りに発明されたものであるから、これくらいで文句を言ってはいけない。一般理論の正しい理解によって、色々なNoSQLの特性を理解することができる。第二部は各種NoSQLについて具体的な実装について概観。実例としてはKey-ValueDBはRiak、DocumentDBはMongoDB、Column-FamilyはCassandra、GraphはNeo4J。それぞれ、特にConsistencyとAvailabilityのトレードオフや、実際の操作上の特徴、フォールトトレランスの仕組みなどが、解説される。最後にマイグレーションとか実際の使用に関するアドバイスなどのリアルな話になるが、何分にもまだ新奇な技術だし、実例も少ないから憶測が多いのはやむをえない。
現時点で業務システムにNoSQLを使おうなどという組織はまだ少ないと思われるが、データベースを扱っている技術者なら気になるところだし、概要くらい知っておかないとマズいということもあるだろう。MongoDBとかCassandraとか有名なところは単行書でかなり詳細なマニュアル本も出ているが、どの実装を使うかを決める前に、NoSQLの色々な種類を知っていなければ話にならない。かなり上流工程にいる人にも、必読書としてお勧めする。明日からの業務に役立つかどうかは不明だが、世間話には役立つし、いずれリアルに役立つ日が来るかもしれない。知識を仕入れておく良いタイミングだろう。
The best book about NoSQL DBs ever. Maybe looks like a little pedantic to some, but basic theoretical understandings are essential for all DBMSs, as is the case with RDBMSs. It is unclear if this book direct you to learn more or discourage you from it, but at least probably enrich your water-cooler talks.
Addison-Wesley Professional; 1版 (2012/8/17)
ISBN-13: 978-0321826626
かつて一世を風靡したフラクタル幾何学の入門書。英語力を別にすれば、日本の高校生くらいなら余裕で読めるが(多分中学生でもいい)、コッホ曲線から始めてジュリア集合もマンデルブロ集合もハウスドルフ次元も一応数学的に構成している。自然科学・社会科学への応用とフラクタルの歴史も一通り概説している。予備知識の何もない人が、フラクタルの何たるかを把握するには良いかもしれない。これを読んでから深入りするかどうかを考えるとか。ただ、VSIにありがちなことだが、数学的にはやはりレベルが低い。同じ事ならマンデルブロ先生の原著を読んでもよさげだ。
全く個人的な意見だが、「フラクタル」という言葉に80年代の響きがする。バブル期というかニューアカというか、その頃はフラクタルが流行していた。「世界は極めて単純なアルゴリズムの反復だけで作られている」的な主張もその頃のものだろう。コンピュータがわりと個人でも使えるようになった頃だ。純粋に数学的な構築物としては、この本でも面白さが伝わると思うが、実用科学への応用という点については、素人目には昔から大して進歩がないように思う。たとえば、ブリテン島の海岸線のフラクタル次元を測定して、何の利益があるのかよく分からない。ほとんど同じことが「カオス理論」についても言えるが、VSIのChaosは、この本よりはずっと読み応えがあった。哲学的な破壊力が違う。もっとも、これはあくまで個人的な感想で、人によってはフラクタル幾何学に感動するのかなあ。何にしろ、知らないのなら教養として概要だけでも知っておいたほうが良い。
A good concise introduction, though too elementary for me.
Oxford Univ Pr(2013/12)
ISBN-13: 978-0199675982
ほぼタイトル通り、世界の様々な織物の種類や作成方法の図解であり、工学的な興味も大きいが、神話や民俗風習との関わりを文学的に解説している部分が大きい。いきなり、世界樹イグドラシルのウルド・ヴェルダンディ・スクルドから始まっているし、織姫も鶴の恩返しも出てくる。これを読んでもアパレル業界的な意味で特に役立つわけでもないし、「布に詳しい人」になるわけでもないが、それでも万人にお勧めできる。
というのは、この程度の紡績や機織りの仕組みは、ごく最近まで人類の全員が常識として熟知していたはずなのである。織機を見たことがないなどという人間は皆無だったに違いない。織らない民族は多分ないし、織物に神話的意味を見出さない民族もない。神話はもちろん、古典文学も、織物の仕組みが分かっていなければ理解できない個所は多数ある。そして、バベッジは織機からコンピュータを発明した。状況は恐らく簿記や歌舞伎に似ていて、実は日常語彙に徹底的に浸透しているが、その語源を誰も認識していないだけなのだ。
というわけで、恐らく類書も少なく、日本文化への言及も多いこの本がなぜ和訳されていないのか不可解だが、このシリーズとしては当りと言える。翻訳出版をお勧めしたい。更に本格的な布の研究書を読みたくなってきた。
A very cute book. Weaving is a traditional art and I believe that until fairly recently, all human beings, especially women, know these techniques very well. So if you want to understand classic literature you have to be acquainted with weaving. This book is an ideal introduction.
Wooden Books (2007/2/14)
ISBN-13: 978-1904263555
バクテリア、つまり細菌の概説。進化論的な起源とか発酵などの有効利用とか軍事利用とか文化史みたいな話も面白いが、最も充実しているのは、病原性の細菌と抗生物質の戦いの描写であった。バクテリアが耐性を獲得するメカニズムについても詳細だ。どうも素人が考えるより耐性菌は手に負えないらしい。そして遺伝子工学的な利用などはまだこれからということで終わっている。予備知識はほとんど必要ないが、「染色体って何?」みたいなことだと辛い。日本の普通の高校生なら読めるかと思う。もちろん英語ができればだが。個人的な感想としては、どう考えても人類の英知がバクテリアに勝てる気がせず、実に心が和む。合わせて読みたい"Viruses: A Very Short Introduction"ってところか。
Bacteria will prevail and survive the human race, which is so soothing an idea for me. The main theme is bacteria vs antibodies, and we have already run out of potential antibodies, as there emerge always xxx-resistant bacteria.
Oxford Univ Pr (2013/6/14)
ISBN-13: 978-0199578764
非常に読みやすいパレスチナ-イスラエル紛争史。これ以上優れた入門書は知らない。予備知識はほとんどいらない。ハマスとかヒズボラとか何かよく分からなくても問題ない。この本を読み終わる頃には、大体分かっているだろう。鬱陶しいテーマの割には、基本的に直線で話を進めてくれるので、さらさら読める。一応1897-2007ということになっているのは、それ以上遡って大げさに騒ぐことに意味がないという判断である。最近では国連によるパレスチナの認知もあるが、基本的にはステールメイトという判断らしい。
大雑把な話として、もともとパレスチナはアラブ人の住むトルコの一地方に過ぎず、特に一つの"nation"としての自覚はなかった。ユダヤ人の入植も、肥沃な海岸地域が中心で、宗教的に深い意味のあるエルサレムとかは随分後になるまで無視されていた。が、欧州でナショナリズムが流行り始めると、ユダヤ人が迫害されるようになり、人口密度の低い(と考えられていた)パレスチナにユダヤ人の国を作るべしという話が盛んになる。これに対応する形でパレスチナ人という意識が形成されて対立が激しくなる。といっても、アラブは部族社会で、互いの競争が激しく、パレスチナ内も周囲のアラブ諸国も、ユダヤ人に対して団結して対抗できたためしがない。二度の大戦とイギリスの場当たり的な対応が事態を更に混乱させる。イギリスが投げ出した後、数次に渡る中東戦争があり、和平交渉も良い線まで行ったこともあるが、その度に両側の過激派が暴れてぶち壊しになる。で、ヨルダン川西岸地区とかガザ地区に壁が作られたりして、今もパレスチナでは悲惨な状態が続いている。一応、イスラエルは民主主義国家という建前であり、アラブ系が多数を占める地域を併合するのは論理的に無理がある。ので、特にガザ地区にアラブ系住民を追い込んで帰郷を許さないという作戦になり、出口は見えない・・・。
読んでいて思ったのは、殺戮が酷過ぎて、こいつらは旧約聖書の時代から進歩していないのかと。というか、人類は退化することもあるのだろう。レバノンなんて、"Black Swan"のタレブも言っていたが、もともとは色んな宗教と民族が共存して繁栄していて、戦争ばかりしている周囲の国を教養のないバカ連中と思っていたはずなのだ。それがPLOが来てから、バカみたいな経緯で殺戮に参加するようなことで、人間なんてそんなものか。もう一つ注目されるのは、特にアラブ人の団結力のなさというか、多分、部族内では強烈な結束があるのだろうが、部族間・国家間の足の引っ張り合いが酷い。この件については、"Predictably Irrational"のアリエリが、違う文脈で指摘していた覚えがある。何にしろ、軽軽にアメリカがけしからんとかヨルダンは穏健な良い国とか無責任なことを言う前に、現代人の基礎教養としてこの本は読んでおきたい。
One of the best books on this subject I have ever read. Very accessible and concise.
Oxford Univ Pr (2013/09)
ISBN-13: 978-0199603930
「対称性」というpopular scienceでさんざんこすられたテーマに、popular scienceばかり書いている著者なので油断していたが、実際には非常にまともな群論の入門書である。VSIとしては当りの部類であろう。
最初のうちは古代の模様がどうとか、ありがちな話をしているが、突然、群論の講義が始まる。もちろん深入りはしていないが、正二面体群から始まって、剰余類だの正規部分群だの巡回群だの可換群だの軌道だのといった基礎概念は一通り説明されている。数学な得意な高校生くらいではついていけないのではないか。とは言え、15パズルとかルービックキューブとか数独の話は、それ自体は、そんなに難解なわけでもない。次に自然の中の対称性とか言って生物とか雪の結晶とか、緩い話がしばらく続くが、再びリー群だとかローレンツ群だとか超対称性だとかハードな現代物理の話になり、超ひも理論やら素粒子物理に応用される群論が解説される。さらにシュバレー群だとか有限単純群の分類とか現代数学の話になり、ここまでくると、もはや、理系の大学生でも何の話か分からないかもしれない。
というわけで特に数学に興味のない人がpopular scienceのつもりで読むと、恐らく群論が始まる辺りで挫折する。というか、理系の大学生でも挫折する奴が続出しそうだ。大学で群論の講義を受けさせられて、何の意味があるのか分からずにうんざりしている理系には最適と言える。この本は群論の応用法をはっきり提示してくれているからだ。科学が好き、くらいの人にはお勧めしかねる。数学(と英語)に自信があるなら、大学一回生でも面白く読めるかもしれない。類書もあると言えばあるが、好みの問題もあるし、薄くて数学的証明の緩い本書も一つの選択肢である。
A very short introduction to group theory. Very informative, but if this is the first time you ever read on group theory, it could be a bit difficult.
Oxford Univ Pr(2013/7/12)
ISBN-13: 978-0199651986
UFOの概説書。特に扇情的でもないし賢しらでもないし、読みやすい。近々和訳も出るようだ。
わたしが子どもの頃は、もっとUFOに関する情報が多くて、みんな笑いながら大らかに楽しんでいた気がするが、それも前世紀までの話だったのかな。少なくとも日本では、マジに否定したり嘲笑したりする人種が増えて、急速に詰まらなくなってしまった。UFOを否定して自分の正典的な賢さを確認したいのか、まあだいたいが権威主義的な性格で、政治的にはもちろん保守的な傾向があり・・・。
しかし、そろそろ冷静に、この本のように楽しんだり思索したりして良い頃合いなんだろう。ロズウェル事件をはじめ有名な事件の紹介や、フェルミの逆説をはじめ宇宙人に関する思索も紹介。実に心が安らぐ。
Needless to say, UFOs are always cool. When I was a child, people used to talk about UFOs more freely. Nowadays there are too many people who energetically deny UFOs. It is possible that they are all aliens. This book is not sensational, but meditates calmly.
最近和訳が出たらしい。ハーモノグラフとは、振り子を二つないし三つ組み合わせて軌跡を描く装置で、要するにリサージュ図形を物理的に描く機械である。まあ、コンピュータ上なら比較的簡単にプログラムできるものなので、敢えて物理装置にこだわる必要はないかもしれない。本書については、特に数学的な説明もなく、ただ音程とハーモノグラフとの関係を説明して、あとは専ら美的に鑑賞している。小学生でも理解できるし、先生が授業の参考にすることもありそうだ。
ただ、個人的にはそんなことより、音程の説明が非常に興味深かった。というのも、昔、いわゆる楽典に異常にこだわる音楽の先生がいたのだが、結局、わたしは全音だの長三度だの純正律だの、一つも理解できなかったのである。この本の説明でようやく意味が分かった次第で、時間がある時に、真面目に楽典をやってみようかと思う。
A concise introduction to "harmonograph". A harmonograph is basically a device with two pendulums and draw physically Lissajous curves. Beautiful.
Wooden Books (2005/10/25)
ISBN-13: 978-1904263364
Cの基本書。書棚より発掘。わたしにとって最初のプログラミング言語はCであり、例に漏れずこの本で丁寧に勉強した。今時はプログラマの裾野も広がって、Cが難しくて分からんという人も多いし、それに対応して激甘な入門書も大量にあるが、ある程度Cを書いている人にとっては、プライドの問題もあるだろうし、依然として必読書であろう。
A classic. I was a C programmer and as is often the case with old hackers, my mother language is C and leaned it by this book. Maybe this book is not a must-read now, but a must-have for C programmers.
近頃仕事の関係で、昔のIT書を発掘することが多いが、これも名著。20年前の本だし、今となってはもっと分かりやすい本がアホほどあるが、古典として一度読んでみると、人によっては何か発見するかも知れない。温故知新。
A classic. There have been many books published on design patterns since this one and some of them are pretty good. You do not need to read this book to study design patterns, though old hackers can appreciate it.
普通に英文法を解説した小冊子だが外国人向きではなく、ネイティブ中学生くらいが対象と思われる。日本人の場合は、この本が読める程度の英語力があれば、この本に書いてある程度の文法は知り尽くしていて、特に新たに学ぶことはない。当然、わたしも特に何も新たに学ばなかったが、それにしても、このシリーズはなにより物品として美しいし、分かり切っていることでも読んでいて癒されるというような、児童文学を読むような気持ちはこういうことなのかも知れない。非常に易しい本なので、初めて洋書を読む人にも良いかもしれない。
If you can read this book and English is not your mother language, this book will not provide you any new knowledge about English grammar. Still, because this book is so beautiful and very easy to read, you can appreciate it as if children's literature.
これはSQLの名著。大部である程度網羅性があるが、章建てが細かいのと例がリアルで分かりやすいので、さらっと通読して良い復習になった。
・・・と言っても、こう言うわたしが以下のような背景を備えていることを考慮する必要がある。
というような背景を持っている人にとっては気楽な復習書だが、初心者が読むと、やはり死ぬのかも知れない。実際、上に挙げたような資格試験に出てくる程度のSQLは楽に書ける程度でなければ、読めないと思われる。一つには、本書でも強調されているように、SQLは宣言型の言語であり、手続き型のプログラマは考え方を変える必要がある。この著者が考えている手続き型言語とはCOBOLとかFortranとかCとかperlだと思うが、JavaでもC#でも大して事情は変わらない。Prologなら話は別だが。BNF記法を難なく解読する人なら止めないが、一般的には、少しSQLの教科書でも一冊くらい読んでから取り組んだほうが良い。かなり売れている本らしいし、業務で日常的にSQLを書いているような人なら、意外と知らないことがあったり、アンチパターンにハマっていることもあるかも知れないし、必読書と言えるだろう。
One of the best books on SQL I have seen ever. Comprehensive, yet readable. Do not be intimidated by its volume. Very accessible.
Morgan Kaufmann; 4版 (2010/11/1)
ISBN-13: 978-0123820228
雑誌の製本の仕方の解説書。と言っても意味の分からない人のために説明すると、図書館では長期保存する雑誌は管理上の理由から製本するのである。筆者は図書館勤務の製本職人と思われるが、全体的に手芸感が強く、クラフト好きな人が読んでも楽しい。わたしはこの本を読んで自分でもやってみようとは思えないが、そう思う人は、やれるだろう。
Exactly as the title says.
Routledge; 1版 (2010/1/19)
ISBN-13: 978-0789025043
Drupalの概説書。当然図書館での利用に焦点があるが、だいたいこういうのはタイトルに書いていなくても図書館がモデルケースになるのだから、あまり気にしなくて良いだろう。あまり類書がないので貴重と言えば貴重だが、なにせ薄い上に、Drupalと関係のない業者選びとかに結構な紙幅が割かれており、これでDrupalを使えるわけではない。ただ、何となく概要が分かるようなことで、イントロとしては良いかもしれない。手でHTMLを書いて、FTPでWebサーバにファイルを置いておけば済む時代は終わったらしい。
A short overview of Drupal especially for librarians.
Neal Schuman Pub (2012/5/31)
ISBN-13: 978-1555707781
フランス法辞典として安心の一冊。今年も使わせて頂く。この時期に年版が変わるというのは、やはり学生向きという想定なんかね。もちろん、日本でもフランス法を学習している学生には安心してお勧めできる。マジな法律専門家にはもしかすると足りないのかもしれないが、所詮は辞典だし、common lawみたいなencyclopediaは期待すべくもないというか必要もない。何より類書より抜群に見やすいし装丁も良い。・・・憎むべきはAmazon.frが表紙を折り曲げて送ってきたところで、21世紀になってもフランス人のガサツさは一向に改善しない。文明って何かね。
Amazon.fr m'a envoyé un livre dont le plat inférieur est fortement plié. Qu'est-ce que c'est, la civilisation?
Dalloz-Sirey; Édition : 21e édition (19 juin 2013)
ISBN-13: 978-2247127399
これもタイトルがシンプル過ぎて趣旨が分からないが、戦争の原因や結果に関するやや抽象的な一般論である。最初の章が「現代の戦争の定義」についてで、「辞書によると」という最もヤバい始まり方であり、というか、このあたりでイヤな予感がする人は、その予感は当たるので読まなくて良いだろう。ただ、これは好みの問題で、単にわたしのニーズに合わないというだけのことである。
具体的な戦争についての言及はあるが、基本的には、戦争の論理とか記憶とか経験とかについて一般論として考察する。最後に「対テロ戦争」についてはわりと具体的な話にはなり、アメリカの政策に対する論評も含まれるが、この件については我々もリアルタイムでよく知っているわけだし、わたしとしては特に斬新な見解もなかった。学生が読む分には、色々考えることもあるかもしれない。講義としては「平和教育」の参考文献とかいう感じかな。
A rather abstract account of causes, results, etc. of modern war.
米軍(陸海空海兵隊)の概説。特に深い考察や資料性があるわけではなく、特にクラスでの使用を考えて基本的な知識のみ述べられている。が、案外知らないことも多い。詳しいと自負する人でも、一通り目を通しておいても良いかもしれない。
Just a collection of facts about the US military, as the title says.
Routledge (2012/1/9)
ISBN-13: 978-0415782159
PostgreSQLの他はいわゆるNOSQLな各データベースの考え方を解説したもので、日本語でも良い本はあるが、この本も悪くはない。ただ、単に概要さえ分かればいいということなら、少し冗長に感じるかもしれない。そうでなければ、実際に使ってみる感触は貴重だ。やはりある程度データベースの経験のある人にしかお勧めしない。
A good introduction to NOSQL.
Pragmatic Bookshelf (2012/5/18)
ISBN-13: 978-1934356920
Ruby, Io, Prolog, Scala, Erlang, Clojure, Haskellを筆者が学んでみた記録といったところか。各言語のサワリが紹介されており、本当にこれらの言語を知らない人が読むと、結構大変というか、普通に七つ入門書を読んだほうが良い気がしなくもない。実際、この本の読者の大半と思われる言語オタクは、それくらいのことはするだろう。一冊にするのなら、もっと言語の数が欲しいところではある。というわけで中途半端な本ではあるが、まあ、言語オタクの同志が書いた本と思って読む分には、共感できる部分もある。
A semi-personal record of the author who has learned seven languages.
Pragmatic Bookshelf (2010/11/10)
ISBN-13: 978-1934356593
誰でも予備知識なしに読める本だが、特にアメリカ法・法曹業界に興味がある人にとっては必読かもしれない。
このシリーズの定例で、イラストと文章が見開きセットで101のまめちしきがあり、非常に読みやすい。法律の勉強をしている人でなくても、全く法律に縁のない人が読んでも楽しいと思う。特に、アメリカの犯罪ドラマやら法廷ドラマに興味があれば、もう十分に読む価値がある。わたしはそれなりにアメリカ法について詳しいつもりだが、それでも結構な発見があった。一つには、法廷・法律相談の現場について、建前抜きで語ってくれるからで、日本語でこういう本は少ないように思う。
もっとも、アメリカはcommon lawの国なので、日本のようなcivil lawの国と事情が異なるところもあり、はたしてこの本が和訳されるかどうか分からない。和訳するなら、タイトルに「アメリカの」という言葉は必須であろう。それでも日本でもアメリカのTVシリーズはそこそこ見られているのだし、そういうのを見る時の参考にもなるのだから、その辺りを上手に宣伝すれば、日本でも十分売れるのではないかと思うのだ・・・。
The USA belongs to the tradition of common law system, while Japan belongs to that of civil law. However, basic principles are same and above all, American TV series are widely accepted in Japan too. It will sell in Japan if translated and properly PRed, I guess.
Grand Central Publishing (2013/5/21)
ISBN-13: 978-1455509805
この本が和訳されることはないと思うが、タイトルは訳しにくい。わたしのようにboringな人がinterestingな人になるための方法を簡単なベン図とグラフだけで説明しまくった本。内容的には変わったことをしろとか知らない人に話しかけろとかそういうのがてんこ盛りということだが、この本が売れているのは言い方というか表現方法が優れているということで、これはどうにも言葉では説明しにくい。あんまりこういうself-help本には近づかないのだが、まあ、色々考えることもあるのう。考えているヒマがあれば行動しろというようなことだが・・・。
For those who are boring or bored. For a wet blanket like me.
Workman Pub Co (2013/3/19)
ISBN-13: 978-0761174707
世界各地のドラゴンを紹介。普遍的なテーマというか、違うものも無理矢理一つのカテゴリにまとめたような気もする。ポピュラーカルチャーはこんなところから材料を取っているんだろうなというような。この手の本としては評価は高いようだ。
An encyclopedia of dragons all over the world.
ストーンヘンジなんて徹底的に調べつくされているのだろうが、考古学界の風潮なども含めて、かなり詳しい。変に解決を妄想するより、謎を謎のままま放置しておくのが誠実というものかのう。
A good concise introduction
マヤ暦が中心だが、古代暦全般の解説。個人的にはもう少し踏み込んでもらわないと分かった気になれないのだが、このシリーズとしてはこんなものかというような。小学生でも読めることは読めるのではないかと思う。ところで、少し前にマヤ暦が巷の話題になっていたが、あれは何だったのか。
A good introduction to calendars.
イギリスにありがちな色々な妖精というか小さいおっさんの解説。日本で言えば妖怪事典のようなものと考えてよい。文学系の人は手元にあるといいのだろうか。わたしとしては、特にこの本で腑に落ちたとかいうようなことはないが・・・。
A dictionary of little people typically found in the British Isles... or a collection of hallucinations.
数秘学とでもいうのだろうか。自然数に関する色々なエピソードをランダムに集めたもの。数学要素は薄い。古代ギリシア人のノリで数の神秘を説こうとしているが、このシリーズを読んでいてつくづく感じるのは、わたしには「神秘」という観念がほとんどないらしい・・・。
A random collection of episodes about some natural numbers.
漠然と錬金術を説明した本。一口に錬金術と言っても、歴史も長いし地理的にも広大な広がりがあるはずだが、その辺りは一切捨象されて、基本的にはラテン語文献に限定して説明しているようだ。資料性は低いが、このシリーズの通例で、雰囲気重視である。
Some basic ideas of alchemy.
進化論は、キリスト教圏と日本でインパクトが全く異なり、場合によっては進化論を正当化するための説明を延々と読まされることになるため、洋書には要注意だ。その点、この本はその辺りの事情を全く省いており、純粋に進化の仕組み自体を学べる。なかなかよい。
The theory of evolution has very different implications for Christian civilizations from us. Sometimes western books bore us with lots of philosophical justifications for it. This book is, however, very concise and gets to the point. Interesting.
ルーン文字というか、ルーン文字の刻まれた考古遺物の解説。わたしは古英語の勉強を少しして挫折したようなことで、ルーン文字が表記している言語の解説も少し欲しいところだったが、この本はあくまでルーンの象徴的意味がメインだ。古代神話のエピソードも散りばめられていて、そちらのほうは色々勉強になった。神話好きとかにお勧め。
A book on artifacts on which runic letters are inscribed. contains a good deal of information on myth.
これはこのシリーズ中でも屈指の名著だ・・・幾何学模様が好きなら。イスラムに特徴的な幾何学模様の仕組みを解説した本。このシリーズにありがちな「単なる鑑賞」ではなく、実践的でもあり、こういうのが好きだった子どもの頃に読みたかった本だ。今はそれほどでもないというのは、子どもの頃に評価されなかったというのもあるが、確かにこの対称性に規制された世界が、少し窮屈な気もするというようなことで・・・。
On geometric designs. One of the best books in this series.
自然や伝統模様の中の対称性を列挙する本。このシリーズが得意とするテーマだが、数学的な解説はほとんどない。こういうのが数学的に取り扱えるという点をきっかけだけでも提供すれば、さらに教育上有益だと思うのだが。
Exploring symmetry in nature or traditional patterns etc. I guess a little more mathematical explanation would help young readers to go further....
グレートウォールだとかブラックホールとかビッグクランチだとか、その類の宇宙ヤバイ本だが、よくある話であり、このシリーズの良さがあまり出ていない気がする。特にこのシリーズは白黒イラストという制約があり・・・。まあシリーズの他の本と並んでいる分にはあっても良いかもというくらい。
Popular topics and lacks originality, without photos, a major limitation inherent of this series.
イギリスに生える毒草を集めたもの、各毒草について歴史と植物学的解説とイラスト。いきなりトリカブトから始まっている。わりと淡々とした調子だが、ヨーロッパは毒薬エピソードが多い。なぜ日本に同様のエピソードが少ないのか謎だが・・・。これは「毒」というものに妙な思い入れがあると、もっと面白いのかもしれない。
For children who love poisons.
この本は、投影法・光学現象・錯視図形の三つの要素から成り立っている。わたしは大昔に製図の勉強を少ししたことがあり、投影法の部分は非常に興味深い。工学系ないし古典絵画系の人にはお馴染みかもしれない。あまりこの件を素人に分かるように解説している本は見たことが無い。光学現象については気象現象など。最後の錯視図形については、知らない人にとってはもちろん一読の価値があるが、この件については日本には北岡明佳というスターがいるため、それほどの衝撃はない。というか北岡教授の作品もいくつかこの本に引用されているようなわけで・・・。
This book consists of three parts: projections, optical phenomena, trick arts. Projection are very interesting. As for trick arts, we have Kitaoka in Japan.
先ほどITIL V3ファウンデーションの試験を受けてきた。知らない人のために解説すると、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービス管理の共通フレームワークで、ITIL V3ファウンデーションとは、その知識を認定する初歩的な資格である。近頃はITILがITの現場に非常に普及してきたので、資格を取らないとしても知識はあったほうがいいし、知らない人でも、ITILに由来する言葉遣いは日頃耳に入っているはずだ。内容的にIT技術というよりはビジネス寄りなので、技術者としては興味の薄いところかも知れないが、逃げてばかりもいられないだろう。もちろん、管理職なら必須と言える。
試験は26/40で合格だが、わたしの点は35/40だった。ほぼ満点のつもりでいたので心外だが、やむを得ないところがある。今までわたしはCBTで数えきれない数のIT系の試験を受けてきた。ほんの一部を挙げるとOracle Master Platinum, MCSE, MCDBA, LPIC, DB2, Java...。まだまだあるが、すべてについて言えるのが、翻訳が酷くて、問題文が日本語として成り立っていないことが多々ある。ITILも同じで、何とか元の英文を復元しようと考えるが、どうしても意味が分からない問題がいくつかあった。つまり、それがその間違った5問なのであろう。英語で受けるべきだった。
結論としては、この本一冊で試験に通る分には問題ない。内容も非常にしっかりしていて、日本語でこれに匹敵する本はない。特に掲載されている練習問題が、日本語の対策書と比べると格段に優れている。ただ本質ではない、いくつかの欠陥があり・・・。
というわけで、以下、ついでにいくつか和書も。
「IT Service Management教科書 ITIL V3 ファンデーション 第2版」(株式会社日立システムアンドサービス、翔泳社)・・・これは必読。おそらくたいていの人がこの一冊で合格しているものと思われるが、少し不安ではある。落ちたという報告もあるし。
「ITIL V3 実装の要点」(久納信行、技術評論社)・・・売り込みが酷い。多分著者はITILで食べているんだろう。一問一答で読みやすいが全体像がよく分からない。一通り把握した後ならいいかも。
「ITIL V3実践の鉄則」(久納信行、技術評論社)・・・これはITIL V3のコアブックに沿った日本語解説であり、クセも少なく、わりと安心して読める教科書。
「ITILの基礎 ITIL V3 ファンデーション試験 対応」(官野厚、毎日コミュニケーションズ)・・・これもコアブックに沿った単なる解説だが、平板でややとっつきにくいか。模擬試験問題にやや疑問が残るほか、タイトルで言うほど試験に対応していない気がする。
「要点解説 ITサービスマネジメント [ITIL V3][JIS Q20000]対応」(黒崎寛之、技術評論社)・・・半分以上がJIS Q 20000の解説でITIL V3の部分は前半にあるが、そんなに違うわけでもないし、この本で初めて腑に落ちることもあった。良心的な本だ。純粋に試験対策ということなら無用かもしれないが、志の高い人にはお勧めしたい。
物理と数学のいろんな公式を集めたものだが、日本人であれば、高校生であれば知らない公式はないのではないかと思う。やはり小中学生向きだろう。こういうのを好む子は賢くなると思うよ。
For students of elementary or junior high school, if in Japan.
これはpopular mathでさんざんこすられているテーマなので、今更新しい発見があるわけではないが、黄金比が何か知らない人に一冊ということなら、間違いなくこの本が筆頭にくる。このシリーズはとにかく物体として美しいし、それはこういうテーマでは特に重要なことだ。例によって予備知識は何も必要ない。
A classic, tired and beautiful theme, though if I recommend one book on this topic, this book will be the one. Beautiful as is always the case with the Wooden Books.
神聖幾何学ということで、自然や古代遺跡や伝統模様に出てくる幾何を並べているが、幾何学自体は弱い。もちろん大人が眺めても癒されるが、基本はやはり男子小中学生向きだろうか・・・。わたしが子どもの頃はこういう幾何学模様は好きだったし、自分でも色々考案していたが、学校教育というか美術教育はこういうのには否定的だよな。連中はもっと「生きた絵画」しか評価しない・・・。つまり、この本も子どもの頃に出会いたかったのである。
A collection of geometric designs which appear in religious arts or the nature etc. I used to love this kind of art when I was a kid, but art teachers generally hated children doing geometric designs instead of more "natural" drawings. Sigh.
いわゆる初等幾何で、いろんな図形、特に正多角形を古代ギリシア人並みにコンパスと定規で作図する本。多少のことはたいていの人が中学校でやっていると思われるが、わたしの場合は特にこういうのが好きな先生に当たったこともあり、わたしもこういうのが好きで試験も常に高得点だったし、懐かしい。普通の人がこの本をコンパスと定規を持ってやっても、そんなに困難はないのではないかと思う。中学生でも問題ないし、場合によっては小学生でも大丈夫だろう。このあたりの事情を好きな人の最終目標はユークリッド原論完全攻略だと思われるが、そこまでいかなくても、これくらいでも楽しい。関係ないが、古典ギリシア語をやっていたころ、原論の定理の一つを丸々翻訳したのも貴重な思い出だ。
A collection of geometric constructions, as in ancient Greece. I was trained in this area when I was a junior high kid and was pretty good at it. A nostalgia.
A Little Book of Coincidenceの類書と言えるが、太陽と月限定で、暦・古代遺跡の話もあり。このシリーズ全部について言えることだが、子どもの頃に読みたかった本だった。もちろん、今読んでもずっと眺めていられるが、変に物理学の知識とかがないうちのほうが・・・。
A beautiful book. I wish I had met this book when I was a child, without much knowledge of physics....
初歩的な数学での、いわゆる「美しい証明」を集めたもの。頭は使う必要があるが、紙と鉛筆が必要な事態にはならない。わたし的には、立体の想像が苦手なので、そこが少し苦労したくらい。たいてい知っていることだが、円錐を切断した断面がなぜ楕円になるのかという件は初耳だった。古代ギリシア人がどうやってそんなことを証明できたのか、中学生の頃から疑問だったが・・・。というように、理系であっても、誰でも何かしら初耳なことがあるのではないか。もちろん文系でも中学生でも読める。
Requires a bit of brain power. But you will not need a pen and paper, I guess. Some discoveries for me, and recommendable to evne those who are fed up with "pop math" books.
Wooden Books (2006/11/1)
ISBN-13: 978-1904263500
タイトルからは分かりにくいが、主にCivil Engineering土木工学の本。わたし的にもあまり縁のないところで、一般人向けの本も少ないかと思うが、この本は例によって豆知識集で全く予備知識のない人でも読める。なにより体裁が美しくて癒されるし、いわゆる雑学本的な意味でも、今のところこのシリーズでは一番だった。近いうちに日本語訳も出るのではないかと思う。
Beautiful as expected for this series and fascinating trivia of civil engineering. I love this series.
Grand Central Publishing (2013/5/21)
ISBN-13: 978-1455509775
Walker & Co (2002/03)
978-0802713889
これも日本語訳が出ているようだが、原題のほうが適切で、太陽系の惑星の軌道等がやたら単純な比を構成していたりする事実を列挙している。現代物理学では単なる偶然として片付けられてしまうようなことばかりだが、実際にこの本を読むと、本当にそんなことで済む話なのか疑わしくなるくらい、圧倒的な事実が示される。偶然というより、やはり現代物理学・数学の理解していない何らかの法則が働いていると考えるほうが自然ではある・・・。偶然だとすれば、このあり得ないような偶然のせいで、地球という奇跡の星が生まれたのか・・・。やはりこのシリーズは侮れないようだ。
A fascinating reading. Maybe some principles that are unknown to our modern physics or mathematics are working to constitute these amazing "coincidences". Or maybe these coincidences enable us to exist....
色々な多面体に関する考察というよりは鑑賞。数学的にどうこうというよりは、文学的に楽しむ本かと思われる。特に予備知識もいらないし、英語が読めれば小学生でも問題ないだろう。このWooden Booksのシリーズは、「アルケミスト双書」ということで日本語訳が出ており、別に悪いわけではないが、アルケミストとか言っている時点でなんとなく軽視していた。何より薄いし。ただ、Gift Bookという趣旨から改めて見直すと美しく成立しているかもしれない。古いところも含めてこのシリーズを攻略してみるかのう。
A beautiful book. A poesy.
時々いわゆるアメコミ(=スーパーヒーロー)にトライしてみるのだが、どうも当りがない。xkcdとかPeanutsとかDilbertはいつも読んでいるが。これについては、ファン的には余計な部分が多過ぎて不評もあるようだが、わたしはアイアンマンについて全く何も知らない状態で読んで、まあ大体意味は分かったというような。しかし、こういうのって、大体話の部品が限られていて、どれもこれも同じという印象しかない。新兵器だったりテロだったり冤罪だったり政府の陰謀だったり軍事産業だったり唐突なキスシーンだったり。そうじゃないのもあるというのなら是非お知らせいただきたい。
From time to time I try superheros and almost every time I fail. All of them seem identical to me.
これは"101 Things I learned(TM)"とは体裁が少し違うが、出版社がMIT Pressで同一のシリーズという認識で良いのだろう。と思って楽しく読めると思ったが、この本については、わたし的にはハズレだった。美術の時間のトラウマが蘇る。最大の原因は、命令形が多過ぎる点にある。勉強にはなるが・・・。実際、著者は、アートスクールで学んだというより、教えている側であり、I learnedシリーズとは趣が違う。基本的には絵画の話。
Not a book for me. Many imperatives reminded me of my school days.
DELF B1の対策書だが、Reussir Le Delf 2010 Edition: Livre B1 & CD Audioがあれば、この本はいらない。内容はさておき、読みやすさが明らかに劣っている。ただ、聴き取りと読み取りについて問題数をこなしたいので買ったが、後から思うと不要であった。量をこなせば安心感が増すというのも確かだが、どのみち書くのと話すのはどうしようもない。
Ce livre n'était pas nécessaire.
DELF B1の対策本。この一冊で試験の全容は分かるし、これを一冊読んでダメだったら、実力不足としか言いようがない。聴き取りと読み取りに関しては、ほぼ本番形式なので、これで実力チェックができるだろう。書くのと話すのに関しては、この本で試験の要領は分かるものの、もちろん自己採点しかない。いずれにせよ、論理構成を明確にするというのが大事なようだが、それ以前に、書く内容・話す内容をでっち上げる訓練が必要だ。まあ、年に二度やっている試験なので、一度くらい捨てる気で受けていいと思うが、一万二千円もする試験だから、この本を読んでおくのは高価とは言えない。
Je crois que ce livre est un must-have pour reussir Le Delf B1. Si j'ai ratté, c'est juste mon problème.
映画でもテレビシリーズでも、わたしは一々裏読みする癖があり、それが楽しむ能力を大幅に削っているが、この本は事態をさらに少し悪化させた感じがあり。当たり前だが、映画を撮るほうの人が読む本だ。
For those who make films. Not for us audience.
アメコミを物理学(ちょっと化学)的に考察したもの。よくある話のような気もするが、この手の本としては、少なくともアメコミ圏では最も人気のある標準的な基本書である。日本でありがちな、フィクションの科学的欠点を論って笑い物にするようなものではなく、あくまで一般人への物理学の普及が狙いだ。レベル的には縦書きポピュラーサイエンス程度で、微分を避けており、日本人なら中学生程度でも問題ない。分野的には力学・熱力学・電磁気学・現代物理などで、満遍なく各分野を網羅。著者はミネソタ大の物理学の教授であり、内容にも特にケチを付ける要素もない。ただし、アメコミに関する教養は極めて深い。別にアメコミについて全く知らなくても読めるが、アメコミ史についてムダに詳しくなる。印象としては、物理学の解説とアメコミの解説が半々くらいだったような。
しかし、この本が日本語訳されていないのは少し意外ではある。近頃はアメコミも随分日本語訳が普及してきたので、これも日本語訳すれば、結構売れると思う。というのも、物理学入門という意味もあるが、アメコミ入門としてもなかなか秀逸であり、特にアメコミ史の解説は得難いのではないか。わたしとしては、もちろんスパイダーマンとかスーパーマンとかはもちろん知っていたが、アトムとかアントマンとか、知らないほうが多かった。
A good reading, though for me it is too elementary in physics. I learned a good deal about American heroes. Now we have had many American comics translated into Japanese, this book would sell well too in Japan if translated.
例によって体系性も実用性もないが、とにかくこのシリーズは癒される。読むのが楽だし、絵も一々魅力的だし。
Cute, cool, refreshing.
それなりの建築物は、一応誰かが何かを考えて造ったはずで、建築家にサブリミナルに行動をコントロールされるのも癪な話だ。この本で、少しは建築家が何を考えているのか分かった気になれる。これも「建築デザイン101のアイデア」ということで日本語訳が出ている。
I love this series.Not practical but amusing.
いわゆるビッグデータという概念に関して、それがビジネス的・IT的に何なのかの簡単な解説。ビジネス的には、ビッグデータの活用に関して昔からあるようなマーケティングの延長で解説している。IT的にはHadoopとかCassandraとかのキーコンポーネントを引き合いに出している。そして、一貫して「データサイエンス」という新ジャンルの勃興を予測している。短いので直ぐ読める。また、書籍の大半が業界のGuruたちの引用で構成されていて、好みにも寄るが、説得力がある。入門書なので具体的な話にはならないが、そもそも具体的な話は、現時点では書籍にまとめるほど完成していないのかもしれない。
A really simple and brief introduction. On business aspects and IT aspects. The business side is a little mundane but the IT side interested me enough to read more books on this topic. The authors predicts the rise of an academic field of "Data Science". I would like to be one of the earliest students.
このシリーズに共通することだと思われるが、この本を素人が読んでも料理ができるようになるわけではないし、多分、上手くもならない。基本的には読者としてある程度大きな厨房で働く人が想定されていると思われるが、それにしても、役に立つのかどうか不明だ。総じて実用性は薄い。じゃあなんでこの本を読むのかというと、まあなんとなく楽しいからというような。読みやすいし美しいし。
No practical use for me, but beautiful.
この本は「ビジネススクールで学ぶ101のアイデア」ということで、ぱっと見、原著に忠実ぽい日本語訳も出ている。わたしとしては、この本というかシリーズはもっと評価されるべき。確かにいくつか明白な欠点があり、たとえば、内容があまりにも初歩的だとか、根本的に内容が薄過ぎるとか、体系性が全くないとか、版形が変で書棚に収まりにくいとか・・・。
確かにあっと言う間に読めてしまうので、その意味では損だし、体系性がないから何か「良い物を読んだ」気にはならない。言ってみれば、ビジネススクールで教えている重厚っぽい体系性のある理論を爆破して、面白そうな破片を101集めたような感じで、真面目な勉強家のカンに障るのも分からなくはない。
しかし、もともとビジネスというゴチャゴチャmessyな世界に取りつくろった体系性を持ち込むのも正しいのかどうかと思うわけです。むしろ、この本みたいに、適当なアイデアをランダムに配置しているほうが本来的な気がする。その中に、二、三個面白く思うアイデアがあればいいし、もちろん、リアルにビジネスをしている人は、一つ一つについて、自分の仕事と関連させて考えることもあるだろう。一例としては、個人的にはCannibalism推奨とか少し感心した。色々な考え方があるものだ。このシリーズは他にも出ているので、カードみたいにして、ランダムに二つのアイデアを組み合わせて理屈をこねても面白いかもしれない(面雀)。
Many say this book is too thin, lacks depths or organization. It looks as if authors blew up the well-organized curriculum of business school and collected some beautiful fragments or debris and arranged them in one cute box. I love the concept, especially because doing business is not a neat task and defies any formalization. This book is for business people, not for scholars.
これはフランス語の学習用読本として絶賛されている本ではある・・・。一通り文法が終わっている人が対象。フランスの文化のトピックについて短い記事が多数収録されているというようなことで、確かに良くできた模範的なテキストなんだろう。勉強だと思って読んだが、残念ながら、わたしはこういう「広く薄く」みたいな文化紹介というかガイドブックにあまり興味がなく、知識はあまり頭に残っていない。CDの朗読は一部記事だけだが、明朗に読んでいるので優しい。値段も安いし、損はないところだろう。
A famous and typical book of French reading. Many articles on French culture.
ビジネスマンの父より息子への30通の手紙ということで、「まだこの本売れてるのか」というところだ。学生時代に読んでゾッとした記憶がある。工場労働者を指して、「あんな厳しい生活をしたくなければ・・・」みたいな説教が始まるところが特に印象的だ。この本を名著だという人とは友達になれない。まあ、世間を知る勉強にはなったけど。
A horror.
Texas Instrumentsのグラフ電卓Nspireのマニュアルというか教則本。多分、この本しかないので比較のしようがない。Nspire持ちなら最初に目を通しておいて損はないだろう。もちろん、Nspire自体に付属のマニュアルがショボいからこんなのが必要になるということもあるが、機能の豊富さを考えるとやむを得ない。
化学や工学はともかく、純粋な数学の学習に関数電卓ないしグラフ電卓を使用する派が日本でどれだけいるのか不明だが、確実にそういう派は存在し、昔から関数電卓を酷使しているが、近頃はそれがエスカレートしてグラフ電卓ということになっている。で、その派の推奨品が"Texas Instruments Nspire CX CAS N3CAS/CLM/2L1"というわけだ。わざわざこんなマニュアルが"For Dummies"で出るくらいだから、間違いのないところでもあるし、TIのみならず、すべてのグラフ電卓の最高峰でもある。
わたしはというと、もともと電卓マニアなところがあるが、最近までTIは使っていなかった。経理的な四則演算なら、Casioが一番いいし、電卓名人みたいな人はたいていCASIO派だ。テンキーの配列にCASIOタイプとSharpタイプがあり、前者のほうが速い気がする。特に左手で打つ時に有利だ。関係ないが、電子辞書も何語でも搭載辞書がCASIOのほうが優れており、強いてSharpやCanonに手を出す意味がないように思われる。で、関数電卓もCASIOが基本で、たまにHPの逆ポーランド式電卓を使うくらいだが、グラフ電卓となると、現状では海外製品に手を出すしかない。それにしても、選択の幅がそんなにあるわけではなく、各自色々考えるんだろうし、聖戦も面白いと思うが、わざわざマニュアルが出版されているというのは、重要なポイントだろう。
The best CAS with the best manual.
定番の英仏-仏英辞典。やはり他の類似品を使ったことがないので比較はできないが、結構使い込んでいる。フランス語が出てこない時に、日本語もでてこず、英語しか出てこないという事態が頻繁にあるが、この時に使うのが第一。仏和辞典が信用できない時に使うのが第二。まあ仏仏辞典を使うのが本来だとは思うが、仏英辞典は仏和辞典よりははるかに信用できる。
Very popular and good enough.
仏仏辞典。結構お世話になっているのに書いていなかった。フランス語辞典の常で、やたら改訂が多いが、真剣に付き合う必要もないだろう。
英語については、学習用であれ実用であれ、英和辞典で間に合わないという状況は特殊なのではないかと思う。あるとしたら専門用語とか、純粋な英語の研究目的くらいか。しかし、その他の言語については、日本語の辞典が単純に間違っていたりすることが頻繁にあり、純粋な学習段階でも、単一言語辞書は欠かせない。これが特段に優れているかどうかは分からないが、学習者向け仏仏辞典としては手ごろなところかと思われる。
A learner's French monolingual dictionary. I am not in a position to evaluate this dictionary since this is my only French-French dictionary I have ever used. But this one is very popular and I guess it is as good as others.
初心者用のフランス語リーダー。接続法は一切なかった気がするが、一応文法を全部終わってから読んだほうがいいんじゃないかな。大して難しくないし、読む練習にはなるだろう。語彙は各頁下部と巻末にあり。全部小説仕立て。こういう読み物は何語であろうと大抵内容は同じで、必ずリア充臭が酷くて読むに堪えないが、DELFとかに備える意味でもリア充的語彙を集めるのは必要なことだ。四つのパートがあり、一つ目はパリに下宿/colocataireを探すとかいうよくある話。二つ目は堕落し切った若者たち、いわゆるリア充たちの観光地での下らない生活で、これが最も酷い。三つ目はミステリー仕立てになっているが全くオチがない。四つ目は出会い系サイトでの出会いの話で、一応ちゃんとした恋愛小説になっている。教室での使用も考えられていて、教師・生徒用に様々なsuggestionsが載っているが、おそらく、フランス語力がどうこうより、リア充な話題についていけるかどうかが最大の課題になるだろう。
それはそれとして、このタイトルの"C'est la vie!"だが、わたしがフランス人がこの言葉をハッピーな意味で使っているのを聞いたことが無い。日本語で言えば「仕方ないよ」くらいだ。他方、アメリカ人がこの言葉を言う時は、極めて明るい意味ばかりで、なんか重大な感違いがある気がするが、フランス人に確認したことがないので知らない。
Good reading for novices, but I guess you should have a good command of French grammar before reading it. It consists of four small tales. The first one is a tale of a girl and her mother looking for the girl's appartment in Paris. The second one is the most hedious, which is about young people on vacance. The third one looks like a mystery, but without a surprising end. The last one is about a love on WWW, which, IMHO, is the best. By the way, the phrase "C'est la vie." seems to have different connotations between in France and in North America. It seems to me that in general, the French say it melancholically, while Americans use it pretty happily. But I am not sure if this is a case because I have never checked it with French people. Maybe it is just me.
(Je suis en train de me préparer pour DELF B1. Alors je écris ces passages comme un excercis. Tous les corrections seraient bienvenues.) Ce livre a quatre histoires et quelques parts pour des suggestions des activités pour la classe. La première histoire parle d'une fille qui cherche un appartement et un colocataire. La deuxième parle des quelques personnes qui sont jeunes, riches et heureuses en vacances. Cette partie est la plus désagréable. La troisième semble un roman policier, mais sans la fin étonnante. La dérniere est un petit roman d'amour sur le WWW, qui m'a plu le plus. À part cela, maintenaut, j'ai commancé à douter si je réussisse à DELF.
À propos, j'ai l'impression que la phrase «C'est la vie!» a des sens différentes en Amérique du Nord et en France. Mon hypothèse est comme ça: en France, on dit ça quand on n'est pas très content; aux États-Unix, on la dit comme «That's the life!»/, autrement dit, quand one est très content. Mais je ne l'ai jamais vérifiée.
今更この本を買う人はいないと言うか、買いたくても買えないが、いまだにデスクの上にあって、随分長い間酷使したので記念ポスト。
Just for my memoir. I used it out.
Oxford Univ Pr(2013/3/14)
ISBN-13: 978-0199590964
タイトルの通りフランス革命以降ナポレオン戦争の色々側面を概観した本。戦争そのものはもちろん、各国に与えた影響が、経済や軍事文化・徴兵制やナショナリズムの勃興などの諸側面から解説される。わたしはこの辺りのことはクラウゼヴィッツ「戦争論」とトルストイ「戦争と平和」程度のことしか知らない。どちらもとても面白いし、長さにビビらず読んで退屈しないと思う。この本でもこの二つは頻繁に引用される。
その程度の予備知識で読んでいるので、この本が良く書けているのかどうか判定する資格はないが、面白くて一気に読んでしまった。というか、特に戦争の過酷さについては見てきたように書いてくれるので、いささか疑念すら覚えたくらいだが、それだけ実体験に基づく手記が多く残っているということらしい。
一つ意外感があったのは、イギリスの本だからというわけでもないだろうが、ナポレオンの業績に対して冷静だ。一般にフランス革命を肯定的に評価する流れで、ナポレオンの侵略戦争も日本では異常に肯定的に描写されることが多い気がするが、フランス以外の国にとっては基本的にはヒトラーと同列の侵略者でしかない。とにかく死人の数が尋常ではない。The First World Warも死人が多過ぎて呆れたが、それに匹敵する。特にナポレオンの作戦は基本的に数的優位で一気に敵を粉砕するというもので、最初から人命を著しく軽視している。後期には連合軍も学習して、激突を避けるようになり、特に後背地の大きいスペインとロシアでフランス軍は壊滅する。海上では一貫してイギリスには勝てなかった。
トータルの感想としては、結局ヨーロッパ人ってこういう人たちなのね、というような・・・。ヨーロッパが世界を支配したのは、単に暴力の組織的な使用法に長けていたからであると誰か言っていたが、まったくその通りなんだろう。
One of Europa's "systematic uses of violence". Well written as if the author had experienced it himself. Appalling.
Broadway
978-0767903820
ふと思い出したが、相当昔に読んだ本。何で読んだのか忘れたが、当時、アメリカ英語とイギリス英語の違いに興味があったし、日本でも相当読まれたらしい。イギリス人から見たアメリカ人ということで、まあ大体ステレオタイプが踏襲されていたような気がするが、面白かった記憶はある。
An account on American society. Stereotypical still amusing.
Chronicle Books (2013/4/23)
ISBN-13: 978-1452118697
人によるのかも知れないけど、わたしとしては前作より遥かに面白くない。最大の理由として、スターウォーズを詳しく知らないと理解できないポイントが増えている。
There are more jokes which cannot be understood without certain knowledge than the previous work.
本屋で訳書を見つけて懐かしく思った。「脱常識の社会学」ということで、かなり昔から翻訳があった気がする。
基本的には社会学の入門書で、タイトルの通り、素人にとっては意外な社会学的洞察に満ちている。こういう本で「面白いなあ」と思ってもらえれば、社会学が常識を批判する最強のツールの一つであることが理解してもらえるというものである。まあ、実際の研究は、もっと地味なものではあるが。とっかかりとしては良いと思うが、問題はその先なのです・・・。
A nice introduction.
データ解析の現場の事例集。Excel表の処理とかテキストマイニングとか統計データ処理など。業界でいうところの「データのクリーニング」みたいな話が多い。教科書的な統計理論とかデータベース理論の解説はない。むしろ、そういう理論をいくら究めても、現場はそんな綺麗事で済まないという点がテーマになっている。単純な話が、Excel表がRDBみたいに入力されていることはまずないわけだし、統計データが教科書通りに完璧に用意されていることもありえないわけだし等々。こういう現実のデータに如何に立ち向かうのかが、個別事例によって語られる。データ解析を仕事にしている人なら誰でも経験していることばかりだ。データのクリーニングなんか、ハッカー的な意味でカッコいい仕事でもないので、あまり公に語られることもなかったのだが、その意味では画期的な書籍と言えよう。もっとも、問題は個々の事例によって区々なので、体系的な対策はない。それらしい一般論を構築しようとしている章もあるが、現実はそんなに甘くない。仕事でデータ解析をしている人は読んで損はないだろう。と言っても、個人的には、特に参考になる技術とかはなかったが・・・。
それはそれとして、この本は、とある割と最近のTogetterに紹介されている。要は、「Excelを罫線ワープロとして使う事務屋は無能」と言っているだけで、こういうことを言う自称理系のナルシストに限って仕事ができないのを、わたしは良く知っている。ただの計算屋で、少しでもイレギュラーなデータが入っていたら、何もできなくなる人種である。どっちにしろ、この連中は実際にはこの本を読んでいないのだろう。読んでいたら、この本が連中とは全く逆の意図で書かれていることが分かるはずだからだ。そういう意味でも、できるだけ広く読んでもらいたい本だ。
A collection of cases of data cleaning. This book does not provide a general solution, though some chapters try to do so. Data cleaning is not a cool business. I guess that is why this kind of book has never written until now.
20世紀の新聞抜粋による編年史。と言っても、まずは、The Onionのファンであることが前提だ。そしてファンであれば、この本がどういうものか想像がつくというものである。似た企画で"Our Dumb World"は地図帳で、これも面白かった。レビューした気がしていたが、忘れていたようだ。
If you are a "The Onion" fun, this book is a must-buy.
これは日本語タイトル「入門機械学習」のほうが適切で、実際に取り上げられるのは、スパムフィルタとか初歩的な統計的事象ばかりで、全体的に何もかも初心者向きである。多少コードが書ければ、"hacker"でなくても問題ないし、統計について全く無知でも問題ない。色々なデータを統計パッケージ"R"に食わせて遊ぼうというような程度。かなりの部分がRの解説のために割かれている。
個人的な意見としては、こういうことをやるのなら、まず対象となる事象について相当程度知っていないといけない。もっとも、機械学習の最大の魅力は、人間の専門家には思いつかないような発見をする点にあるので、変に知識がないほうが良いという考え方もありえるが、それにしても、確率統計理論の知識は必須だし、普通はこの時点である程度"R"に習熟しているはずだ。この本はその辺りの条件をすっ飛ばして、何も知らないまま、とりあえずデータを弄っている。眉をひそめるまで行かなくても、これで、この先何があるのかという疑問を持ってしまう。しかし、機械学習の概要を知るのには良いのかもしれない。
Maybe a good introduction for beginners.