ロボット工学の入門書・・・というよりは、ロボットの生態学というか進化学というか、概念的な説明である。たとえば、ロボットには感覚器官と動作機構が必要だとか、学習できるべきだとか、自分でエネルギーを補給できるべきだとか、「不気味の谷」があるとか・・・。現存する様々なロボットの例示も多いし、未来のロボット、たとえばセックスロボットにまで言及されている。しかし、ロボット製作に必要な工学などについてはほとんど説明されていない。この点に期待しているムキにはお勧めできない。従って予備知識はほとんど必要なく、中学生でも読めると言うか、中学生が対象読者なのかもしれない。
この著者は一貫して動物とのアナロジーを考えており、キリスト教文明の強迫観念を感じる。生物を概念的に機能分解して、それぞれの機能と各種ロボットが実現している機能を説明することが多く、そんなことにあまり興味のない実用主義の日本人には、いまいち趣旨が分からないところかもしれない。これは個人の嗜好の問題かと思うが、翻訳してもいまいちの気がする。
A conceptual introduction to robotics. It explains how well robots mimic functions of animals. But not explains mechanics.
Oxford Univ Pr (2012/11/17)
ISBN-13: 978-0199695980
0 件のコメント:
コメントを投稿