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2026年2月11日水曜日

Dana Villa "Hannah Arendt: A Very Short Introduction" [ハンナ・アーレント:非常に短い入門]

Hannah Arendt (Amazon.co.jp)

目次: 1. 暗黒時代の生活 2. 全体主義の本質と起源 3. 政治的自由と政治的領域と活動的生活 4. 革命と憲法と「社会の問題」 5. 判断と思考と意志

ハンナ・アーレント(1906-1975)という名を知っているのは政治学か社会学を勉強した人間くらいだろうか。この本は良い本だと思うが、英文は読みにくい。それでもArendtの元の英文よりはマシだと思うが。思想の紹介の仕方自体が何か弁証法的だ。

些細なきっかけでアイヒマン裁判の話を思い出してアーレントの考え方を再確認したくなった(第五章)。しかし、正直言うと、時代がかっている気がした。どうも第二次世界大戦前後の思想家というのは、歴史上の人物というには近すぎるし、その割に今の時代の思考の枠組みというか土台にかなりズレがある。例えば、アイヒマンの件については、今時は、個人の倫理観に絶望する時代は通過して、制度の問題に焦点があるんじゃないかな。某国が国内の某民族に対してナチスと大して変わらないことをしていることについて問題になっても、倫理観に訴えても何も起こらないのが実態としてある。

何でもない普通の人、しかも別に洗脳されたというほど思想に染まっていない、単なる無思想な人間が民族浄化に加担する。解決策として哲学が有効だろうか。そんな感じになっているのも、アーレントの寄与があってのことかもしれないが。

Oxford Univ Pr
 ‎2023/4/26
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0198806981

2026年1月11日日曜日

Samuel Helfont "The Iraq Wars: A Very Short Introduction" [イラク戦争:非常に短い入門]

 The Iraq Wars: A Very Short Introduction (Amazon.co.jp)

目次:1. 序:アメリカとイラクとイランイラク戦争 2. 湾岸危機1990-91 3. 制裁と査察と紛争1991-2000 4. イラク侵攻2003 5. 抵抗と内戦と反乱と鎮圧 6. ISISとアメリカのイラクへの帰還 7. 結論

微妙に同時代史と言えるような時代を取り扱っているが、微妙に知っているような気になってしまっている案件で、こういう本で一旦整理するのは良い。意外と誤解や「その後判明した真実」などもあった。サダム・フセインは実際に大量破壊兵器を持っていたが、あまりに露骨にウソをついたり査察を拒否した上にこっそり廃棄していたから、廃棄した証拠も出せず、大量破壊兵器を差し出すこともできなかった云々。しかしどのみち残虐な圧制だったから排除して良かったんだろう…と思うと、それまで潜んでいたセクトが内戦を始めてまた無辜の市民が云々。

基本的に戦争の話である上に、国家と民族と部族と宗教が入り組んでいてうんざりする。それでもかなり単純化していくれているはずだが…。しかしこれも現実だから仕方がない。最近は米軍がベネズエラの大統領を誘拐して、あれもまあとんでもない独裁者でベネズエラ国民歓喜というところだが、大統領のみを除去してどうなるんだろうか。そんな作戦になるのもイラクでの泥沼の教訓を活かしているのだろう。いくら極悪非道な政府でも、その国の統治方法を知っているのはそいつらだけなのだ。

というようなことで、イラク戦争は一応たいていの文書記録も出ているところなので、この辺りを学習すれば現在進行中の話の理解も深まるということである。トランプ大統領がベネズエラ国民の自由と民主主義のために戦うわけがない。アメリカにとってどうでも良ければソマリアみたいにさっさと撤収してしまうに決まっている。そのうちウクライナからも撤収するが、イラクやベネズエラは放置しているとアメリカに実害がある。台湾がどっちなのか明白だが、トランプ大統領がどう考えるか分からない。一度イラク戦争を見直すのも良いかもしれない。

Oxford Univ Pr (2025/10/15)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0197753637

2025年4月16日水曜日

Philip Dwyer "Violence: A Very Short Introduction" [暴力:非常に短い入門]

Violence (Amazon.c.jp)

Amazonのレビューに一つ酷評がついているが、全く同感だ。これまで大量にVSIシリーズを読んできたが、VSIに限らず、このブログの中でも屈指のダメ本だろう。

内容は、例によって最初に定義みたいな話はあるが、結局曖昧なまま進む。あとは特に近代以降の、社会問題化したような古今東西の暴力(戦争~残虐刑~DVを含む)を断罪陳列しているだけ。定義について曖昧にしたまま、著者の倫理観的に許されない暴力の事例が並べられているだけだ。

例えば、警察官が犯罪者を取り押さえたりするような場合や、子供同士のケンカなどは取り上げられもしない。植民地支配は暴力だが、それに対する反乱は暴力ではないらしい。死刑は暴力だが懲役は暴力ではないらしい。そういう定義ならそれで全く構わないが、それならその点ははっきりさせるべきだろう。

この本はVSIでたまにある「断罪系」なんだけど、本当にそれ以外に内容がほとんどない。こういう話なら、

・暴力の生物学的起原
・暴力の心理学的メカニズム
・国家による合法的暴力の独占の変遷
・暴力のコントロール方法
・暴力を制圧するための暴力
・…

など、色々な興味深い論点があるはずだが、ほぼ問題にされていない。せめて聞いたことのない事例が多く紹介されていれば世界史の勉強になったり、人によっては猟奇的ホラー的興味の対象になるかもしれないが、ほぼ聞いたことのある話だ。

まだまだ文句は言えるし、実際に書きもしたが、長くなるので消した。著者について少し調べたら、歴史の専門家で、生物学・心理学・社会学・哲学みたいな要素はない。歴史の特定の分野では権威なんだろう。

Oxford Univ Pr (2022/6/24)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0198831730

2025年3月12日水曜日

Natalie Labriola "Tarot: Timeless Secrets of the Ancient Mirror" [タロット:古代の鏡の永遠の秘密]

Tarot (Amazon.co.jp)

わたしにとってTarotは流行らないゲームだが、これはゲームではなく、占いで重視されるMajor Arcana 22枚の解説が主。フランス語圏と違って英語圏ではライダーウェイト版という権威があり、カードがわりと統一されている。

どのみちそんなに歴史のあるものでもないし、本質的にゲームカードなので、いくらでも想像は膨らむし適当なことも無限に言えるが、こういうのも社会情勢とか文化が反映される。そういうことではイルミナティカードのほうが面白い気もする。

たまに易経とか読むこともあるが、占いという作業も面白いのかもしれない。将来の展望や行動を考える時に、机の上に客観的なデータだけでなく、全くランダムなタロットや筮竹があったら考察が捗るのだろうか。全くあり得ない話でもない気がしてきた。というか、気が付いていないだけで、我々の思考は実は常にそんなものなのかもしれない。我々の思考は、体調や天候や場所や最近の出来事や、要するに多数の偶然に影響されているわけで、それにタロットを追加しても結果に大差はなく、むしろ考えやすいまであり得る。というか、それ以外に思考の方法があるのだろうか。

Wooden Books (2024/6/1)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1907155505

2025年3月3日月曜日

Christian Jacq, Institut Ramsès "Le Petit Champollion illustré - Les hiéroglyphes à la portée de tous" [図解小シャンポリオン-みんなのヒエログリフ]

ヒエログリフの入門書。図解というのは、まあそもそもヒエログリフが図解ということかもしれない。入門と言っても、実際には文字集・単語集みたいな感じで、筆者のエッセイのようなものが綴られている。どこまでがエジプト学的に確定している事実で、どこからが筆者の感想なのか分かりにくい。面白いから売れているようだが。例えば中国語でいえば、漢字と熟語についての成り立ちを面白く解説しているようなもの、と言えばほぼ正確にこの本の実態を表しているだろう。文法とかそんな話はほとんどない。発音も結局は古代ギリシア語からの推測でしかなく、あまり真剣に考えても仕方がない。そもそもセム語とかその辺りの言語は母音を書かない。

ということで古代エジプト語を真剣に勉強するというような本ではない。一応練習問題とかもついていたりするが、気楽な読み物と考えるべきだろう。しかし、時々真剣に興味深い話もある。ちょっと記録しておこう。

ヒエログリフは基本的に象形文字を組み合わせて意味を表すが、音写もできるし、併用することもできる。フランス人に対してこの事態を説明するのは面倒だが、漢字と同じことなので我々には何の問題もない。で、アルファベット的にヒエログリフを並べた時にAに相当するのが𓄿だが、そもそもヒエログリフに母音を書く習慣はなく、これは実際には「子音のA」である。

我々は「子音のI(Y)」や「子音のU(W)」は知っているが、「子音のA」は知らない。本書にもそれ以上説明がないが、ヘブライ語のℵと同じで声門閉鎖音を表す。ドイツ語は単語の先頭の母音が無意識に必ずこの音になっており、したがって"Es ist ein...."みたいな文があったとしても単語がくっついて発音されることはない。アメリカ人でもappleて発音してみ、と言えば最初のappleの前に無意識に𓄿が入ることが多いようだ。というか、日本人でも「𓄿えっ!」と驚く時に入る人のほうが多いような気がする。しかしこれらの例では𓄿が入っても入らなくても言葉の意味は変わらないし、誰も気が付かないくらいかもしれないが、セム語では意味が変わってしまうのだろう。

読んでいるとこんなことも色々考える。あと、これはこの本がフランス語だから筆者も何にも思っていないのかもしれないが、日本語の「知っている」英語の"know"の一語に対し、フランス語には"connaître/savoir"の区別があり、スペイン語には"conocer/saber"の区別があり、ラテン語には"cognōscere/sapere"の区別がある。で、古代エジプト語にも当たり前のようにこの区別があるが、確かにこの二つは人間の脳の動作として全く別物の気がしてきた。

そんなことを考えていると、そういえばスペイン語のestar/serの区別はなんだとか、元のラテン語がどうとか、もはやヒエログリフとは関係のない話だが、どんどん余計な調べものをしていたので読み終わるのに時間がかかった。本質的にはヒエログリフの組み立てからイスラーム以前のエジプト人の思考を問うていく感じがハイデガーみたいだ。結果的には退屈しない本であった。

Robert Laffont (25 août 2022)
Langue ‏ : ‎ Français
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-2221263877

2024年12月5日木曜日

Daron Acemoglu, James A. Robinson "Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty" [国家はなぜ衰退するのか:権力と繁栄と貧困の起源]

Why Nations Fail (Amazon.co.jp)
国家はなぜ衰退するのか(上)(Amazon.co.jp)
国家はなぜ衰退するのか(下)(Amazon.co.jp)

原著2012年刊の時点で注目していた本だが、気になりながらずっと放置しているうちに2024年ノーベル経済学賞受賞ということで、読むしかなくなった。

ずっと放置していた最大の理由は書名が大風呂敷過ぎるように感じたからだが、実は書名の質問に対する答えは比較的単純なものだ。わたしがまとめると、要するに1私有財産権が守られないほどの無政府状態になるか2ごく一部の政治エリート層が富を独占して残りの国民から搾取するから。このどちらでも、技術革新が起こらないので国家が衰退する。

1の状態は論外として、2の状態では、例えば貴族と奴隷みたいな社会だと、好き放題収奪される奴隷の側では技術革新を起こす理由がないし、外国から新技術を取り入れる理由もない。エリート層は自分たちの地位を守るために技術革新を阻止する。さらに2の状態ではクーデターの魅力が大きい。その結果、革命は起こるが、単に支配者が入れ替わるだけで少数が多数を抑圧搾取する構造は何も変わらない。

実例が大量に挙げられ、ほとんど世界史のおさらいみたいになる。本書が分厚く見えるのはそのせいで、書いている理論が難しいからではない。例えば韓国と北朝鮮のとんでもない格差の原因は、北朝鮮では一部エリートが政治権力を独占していて私有財産権が認められていないからだとか。面白いけど、高校生程度の世界史の知識は必要かもしれない。

などと言っているうちに、つい先日、韓国の大統領が突然夜中に非常戒厳を発令していて何のこっちゃみたいな話になっている。そもそも軍隊も警察も真剣に従わない。しかし、同じ話が中南米とかアフリカとかで発生しても、そんなに驚かない。この違いは民度がどうとかいう話ではなく…という話はこの本を読んだ人と語る話だ。最近ダボス会議でのアルゼンチンの大統領の演説もだいたいこの本の路線に乗ったものだっただろうか。

面白くてわりと一気に読んだ本だった。あまり大風呂敷系のタイトルは読まないけど、この著者については読んでいってもいいかもしれない。

Crown Currency (2013/9/17)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0307719225

2024年11月14日木曜日

Jean Servier "Les Berbères" [ベルベル人]

Les Berbères (Amazon.co.jp)

ベルベル人と言われても何のことか分からない人も多いと思われるが、フランス語やフランス文化を学ぶ人は「マグリブ」という謎の地名と共に必ず聞く話である。大雑把にはマグリブとはアフリカ北部の地中海沿岸地域で、ベルベル人は主にその辺りに住んでいる民族ということになるだろうか。ただ漠然とした印象では、当人たちがあまり民族という概念を尊んでいる感じがないし、あのあたりの通例で部族という概念のほうが強いのだろう。だいたいがイスラム教徒で、ベルベル諸語と言われるような言葉が話されていたりする。…というくらい。

で、正規のフランス語のコース教材みたいなを勉強していると、このマグリブとかベルベル人という概念がやたら出てくる。一応「先住民族」みたいな扱いもあり、「多様性を尊重する」とかいう流れの中で、公式な出版物ではかなり紙面面積を取る。本人たちがあまり民族性を主張していないのに、フランス政府が無理矢理一つの民族という枠にハメている感じは否めないが…。とにかく、今の価値観が「全人類を対等の権利を持つ民族集団に区分して各集団に平等にリソースを割り振る」ということになっているから仕方がない。

そういう背景があって、フランス文化の勉強をしているとあちこちで散発的にマグリブ文化の話を聞かされるが、結局ベルベル人というのが何なのかということになるとまとまった記述がない。あるとしたらこの本が第一と思われる。この本自体は教科書的というか公式的で読み物としてそんなに面白くないと思うが、散発的に聞いている話がまとまる感じはある。

QUE SAIS JE (1 mars 2017)
Langue ‏ : ‎ Français
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-2130792833

2024年5月7日火曜日

Hugh Newman "Goebekli Tepe and Karahan Tepe: The World's First Megaliths" [ギョベクリ・テペとカラハン・テペ:世界初の巨石遺跡]

Goebekli Tepe and Karahan Tepe (Amazon.co.jp)

遺跡シリーズだがこれは異色でトルコ。巨石にこだわっているようだ。やはり新石器時代という扱いだが、イギリスの遺跡より古い上に出土品が洗練されている気がする。まだ発掘途中らしいが、相当昔から人類はこんなことをしていたらしい。人類学などではよく言われることだが、根本的に労働力が余っていたんだろうか。

Wooden Books (2023/10/15)
言語 : 英語
ISBN-13: 978-1907155543

2024年4月18日木曜日

Hector McDonnell "Orkney: Megalithic Marvel of the Northern Isles" [オークニー:北部諸島の巨石遺跡]

Orkney (Amazon.co.jp)

オークニー諸島は歴史的政治的に色々ややこしいこともあったりするようだが、この本は基本的に新石器時代の墓に注力している。まあまあ有名な観光地らしいが、このシリーズにしては真面目な発掘調査報告書みたいな感じがある。ここに観光に行く時は、相当ヒマというか余裕があるというか、幸せな時だろうというような感じ。変な都会に行くよりいいかもなあ。

Wooden Books (2020/5/1)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1904263289

2024年4月12日金曜日

Mark Mills "Ancient English Cathedrals" [古代イギリスの大聖堂]

Ancient English Cathedrals (Amazon.co.jp)

イギリスの観光案内シリーズの一つ。アルファベット順に並んでいる。各聖堂の中のイラストと歴史など。一々色んな歴史があるものだ。イギリスの小説なんか読んでいると、教会でなくても古い邸宅に謎の地下室とか謎の歴史伝説が設定されているが、日本ではあったとしてもどうもドラマチックでない。あと、イラストで見る限りすべて広くて異常に天井が高いが、これで「瞑想に適している」は、わたしとしては無理がある。日本で言えばららぽくらいの商業施設の吹き抜けくらいの高さなんだろう。わたしも天井が高いのは好きだが、どう考えても空調が効かない。日本にも有名な建築家が建てた「光の教会」とかいう完全コンクリの教会が絶望的に寒くて有名だが、もしかすると教会というものは本質的にそうなのかもしれない。わたしは子供の頃は教会に通っていたこともあるし、今は週一くらいで寺に通っているが、天井が高いと言っても二階分くらいで、瞑想とかいうことなら、それくらいが妥当な気がする。建物の構造が瞑想の概念に影響しているかもしれない。

Wooden Books (2006/2/15)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1904263418

2024年4月10日水曜日

Howard Crowhurst "Carnac: And Other Megalithic Sites in Southern Brittany" [カルナックと南ブルターニュの他の巨石遺跡]

Carnac(Amazon.co.jp)

Wooden Booksはたいていイギリスの遺跡を扱うが、これはフランス領らしく珍しい。しかし、内容はシリーズの他の本と同じくやはり遺跡の発掘調査報告書と謎の直線群と想像。これだけ読んでくると、だいたい全部同じに見えてくる。差が分かるほど詳しいわけでもない。この本もわたしも。

Wooden Books (2018/10/1)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1904263968

2024年4月9日火曜日

Gerald Ponting "Callanish and Other Megalithic Sites of the Outer Hebrides" [カラニシュとアウターヘブリディーズの巨石遺跡]

Callanish (Amazon.co.jp)

イギリスにありがちな謎のモノリス遺跡の一つ。ストーンヘンジにも劣らない迫力に思えるが、観光地として少し不便なんだろうか。まあ行ったところで風景自体は「ふうん」にしかならないと思われるが…。やはり新石器時代の遺跡でよくわからないことが多い。謎の伝説やどこまで本当かわからない天文学との関係とかleyとかはこのシリーズの定例だ。もちろん観光に行くなら先に読んでおいたほうが良い。

出版社 : Wooden Books (2000/1/1)
言語 :英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1904263081

2024年4月2日火曜日

Christina Martin "Sacred Springs" [聖なる泉]

Sacred Springs (Amazon.co.jp)

イギリスの各地にある泉の観光ガイドのようなもの。この泉という文化が日本と違い過ぎて、そこが勉強になる。多分日本の泉はほとんど温泉になってしまうし、そもそも水が豊富で井戸なんかどこでもある。イギリスではそんなことではないようだ。実際、西洋のおとぎ話にはやたら泉が出てくるし、インチキ西洋中世物語の類、例えばドラクエとかでも泉はやたら重要スポットみたいに扱われる。日本人にはない発想だ。ここに紹介されているような泉は一々いい感じの伝説などがついている。日本の温泉の弘法大師がどうたらみたいな話より少女趣味で良い。Dressing、つまりRPGのダンジョンの中にある泉みたいな敷石や枠や門などによる整備も日本で見たことがない。

関係ないけど、「ダンジョン」という現実には稀な構造がRPGの世界では普通なのにははっきりとした理由があり、世界初のコンピューターアドベンチャーゲームとされるADVENTに由来する。泉は少なくともダンジョンよりは現実にもよくあるようだ。

Wooden Books (2006/2/15)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1904263456

2024年3月31日日曜日

Evelyn Francis "Avebury" [エーヴベリー]

Avebury (Amazon.co.jp)

Wooden Booksの英国遺跡シリーズの一つ。世界最大の環状列石という話である。例によって基本的にイラストだが、ネットではいくらでも写真が出てくる。5000年前新石器時代。その頃にも日本にも人はいたし遺跡もあるが、どうも観光資源として弱いというのは、石と木の差なんだろう。やたら直線を引いて天文学を反映しているとか言うのも日本ではない話だ。そしてドルイドとかを無理やり復活させて今でもAveburyで謎の儀式をやっているとかいう…。

The world largest stone circle....

Wooden Books(2000/1/1)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1904263159

2024年3月29日金曜日

Hector McDonnell "St Patrick: His Life and Legend" [聖パトリキウス:その生涯と伝説]

St Patrick (Amazon.co.jp)

タイトル通りの内容。St Patrickはアイルランドにキリスト教を広めた聖人で、わたしとしてはSt Patrick's Dayとか言ってなんでも緑にする件でしか馴染みはない。それも実体験するのはせいぜいアイリッシュ・パブみたいな所に行った時くらい。知られていることが少ないので、多分、この本でもほぼ万全の知識なんだろう。しかしこういう本を読むと、ヨーロッパではキリスト教化=ローマ(ラテン語)化=文明化という定式が徹底的に染みついているのを実感する。それで元々のケルトだのドルイドだのへの郷愁が逆生成されているような。St Patrickの時代自体は、ローマが退却してアングロサクソンが繫栄し始める頃らしいが、イギリスでもキリスト教と文明は体感的にほぼ同義なんだろう。

出版社 : Wooden Books (2007/2/14)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1904263494

Gordon Strong "Stanton Drew: and Its Ancient Stone Circles" [スタントン・ドリュー:古代の環状列石]

Stanton Drew (Amazon.co.jp)

Stanton Drewというのは新石器時代の遺跡でまあまあの観光地らしく、ネットでいくらでも写真が出てくる。この本も基本的にガイドブックとして読まれるだろう。イギリスの遺跡はやたら巨石構造物が多く、だいたい天文現象との関係がどうこうと言われるが、どの程度信用していいのか不明。伝説や復元想像図も色々ある。

あまり関係ない話だが、日本でも毎年一万件近くの遺跡発掘があり、その数だけ○○教育委員会発行××遺跡発掘報告書(△△年)みたいなのが出る。大半は縄文遺跡だった。というのはわたしは昔仕事で無意味にそんなのばかり見ていた時期があった。たいては柱の跡とか排水溝の跡とか囲炉裏の跡とかそんなのばっかりで、測量データばかりで、どうも盛り上がらない。その点イギリスは巨石そのものでも石の跡でも適当に線を引いて石の配置と暦がどうとか、環状列石は輪になって踊っていた人たちが石化したものだとか、消費者用コンテンツが多い。

Wooden Books (2008/3/20)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1904263739

2024年3月26日火曜日

Gerald Ponting "Ancient Earthworks of Wessex" [ウェセックスの古代土塁]

Ancient Earthworks of Wessex (Amazon.co.jp)

これも日本であまり聞かない文化だし、Wooden Booksじゃないと意図的には出会わない話だが。日本で言えば縄文遺跡くらいの気分だろうか。たまに日本でも弥生時代の環濠集落みたいな話はあるが、もしかすると、この本みたいな体裁で紹介したら面白いのかもしれない。基本はイラスト。多くは国立公園的なものになっているようだ。もちろん環状列石や迷路もあり。特に考古学に興味のない日本人でもイギリスの観光地を行きつくしたら、もうこういうことになるのかもしれない。

A small beautiful guidebook.

Wooden Books (2019/5/1)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1904263975

2024年3月19日火曜日

Hugh Newman "Stone Circles" [環状列石]

Stone Circles (Amazon.co.jp)

主にイギリス各地にある石器時代の環状列石の案内。わたしとしてはStonehengeくらいしか知らないし、謎の世界だと思っていたが、最後になってOshoroって何と思って調べたら、どうも日本にも色々あるらしい。今のところわたしの中に観光という文化がほとんどないので聞いたこともなかったが、これからどんどん旅行をしていくことになるとすると、一つのテーマになるかもしれないが、実際には何もないところにただ石が並んでいるだけで謎すぎる。まあ作成当時からそういう謎観光スポットだったのかもしれない…。

A tourist guide, possibly also for Neolithic people.

Bloomsbury Pub Plc USA (2018/10/9)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1635573046

2024年3月13日水曜日

Andrew Preston "American Foreign Relations: A Very Short Introduction" [アメリカの対外関係:非常に短い入門]

American Foreign Relations (Amazon.co.jp)

目次:1. 最初の原則 2. 拡張主義 3. グローバルなアメリカ 4. アメリカの世紀? 5. 超大国 6. 超超大国とその不満

建国前後からのアメリカの対外関係の通史。わたしが読んだ限りでは標準的と言える記述で、時々復習のためにこういう本も読まないとというところ。もうこれまでこの類の知識もVSI等で随分積んできたので、知識を得るというよりは、語り方に注意が向く。わたしとしては特にひっかかるところもなかった。別にこの本を読んだからと言って、これからのアメリカの外交政策が読めるようになるわけではないと思うが、基礎教養というところ。

A standard overview.

Oxford Univ Pr (2019/5/1)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-0199899395

2024年3月7日木曜日

John Southcliffe Martineau "Mazes and Labyrinths In Great Britain" [イギリスの迷路と迷宮]

Mazes and Labyrinths In Great Britain (Amazon.co.jp)

日本に迷路文化がなさすぎて斬新だが、西洋では先史時代から普通に迷路という文化があり、イギリスにもかなり大量に遺跡もあるらしい。この本は迷路図式しか載っておらず、現地の実際の風景などはググるしかないが、この本に出会うまでそんな文化の存在自体知らなかった。ミノタウロスの迷宮の話は孤立した伝説ではないらしい。民間信仰や宇宙論も反映されているそうだ。

だいたいそんな古代からあるような文化は、たいていは日本にも遅くても室町時代くらいまでには伝わっている気がするが、聞いたことがない。石造りの迷路はともかく、芝生や生垣なら日本でも作りそうなものだが、どうも日本受けしないのかもしれない。調べると迷路の研究書も結構あるようだが、わたしはそんな世界は知らなかったし、普通の日本人は知らないのではないだろうか。と言っても別に実物を体験したいともそんなに思わないが、迷路文化圏に行く用事があれば行ってみるか…。

Wooden Books (2005/2/15)
言語 : 英語
ISBN-13: 978-1904263333