2013年6月13日木曜日

James Kakalios "The Physics of Superheroes"

アメコミを物理学(ちょっと化学)的に考察したもの。よくある話のような気もするが、この手の本としては、少なくともアメコミ圏では最も人気のある標準的な基本書である。日本でありがちな、フィクションの科学的欠点を論って笑い物にするようなものではなく、あくまで一般人への物理学の普及が狙いだ。レベル的には縦書きポピュラーサイエンス程度で、微分を避けており、日本人なら中学生程度でも問題ない。分野的には力学・熱力学・電磁気学・現代物理などで、満遍なく各分野を網羅。著者はミネソタ大の物理学の教授であり、内容にも特にケチを付ける要素もない。ただし、アメコミに関する教養は極めて深い。別にアメコミについて全く知らなくても読めるが、アメコミ史についてムダに詳しくなる。印象としては、物理学の解説とアメコミの解説が半々くらいだったような。

しかし、この本が日本語訳されていないのは少し意外ではある。近頃はアメコミも随分日本語訳が普及してきたので、これも日本語訳すれば、結構売れると思う。というのも、物理学入門という意味もあるが、アメコミ入門としてもなかなか秀逸であり、特にアメコミ史の解説は得難いのではないか。わたしとしては、もちろんスパイダーマンとかスーパーマンとかはもちろん知っていたが、アトムとかアントマンとか、知らないほうが多かった。

A good reading, though for me it is too elementary in physics. I learned a good deal about American heroes. Now we have had many American comics translated into Japanese, this book would sell well too in Japan if translated.

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