2012年10月25日木曜日

Dashiell Hammett "The Maltese Falcon"

これも古典的傑作。ハメットは当り外れがあるが、これと"The Glass Key"と"Red Harvest"は間違いない。そのうち村上春樹訳で「マルチーズ・ファルコン」とか翻訳されたら嫌だ。

No need for my opinion.

2012年10月23日火曜日

Raymond Chandler "The Little Sister"

ISBN-13: 978-0241954324

村上春樹訳を見かけたので懐かしくなった。もっとも、わたしはなぜか村上春樹が好きくないので訳本を読んだりはしないが。チャンドラーの作品はほとんど読んでいると思うが、一番印象に残っているのがこれ。世間での評判はイマイチらしいので、チャンドラーファンを増やすには"The Long Good-bye"とかを勧めたほうが良いのかも知れないが・・・。念の為にチャンドラーは一応推理小説の範疇に入っているが、推理して犯人が分かるわけではない。いわゆるwhodunnitではなく、都市型冒険小説というか、まあ要するにハードボイルド。

In my humble opinion, this is the best Marlowe.

John Whitington "PDF Explained"

ISBN-13: 978-1449310028

PDFに関しては、簡単な解説とか入門書がなく、これを手にとるしかないわけだが、決して分かりやすい本ではない。具体例にそって良心的に解説されてはいるが、どうも全体像が見えないというような。どのみちわたしは詳細に理解する必要がないので、この程度で間に合うわけだが、それにしても、分厚いマニュアルに少しずつでも浸透していったほうが速いかもしれない。人それぞれだと思うが・・・。

Well, if you need to get a notion of what a PDF file is, this book will suffice. However, This book does not show you a way to go further. Maybe getting a boring heavy manual and trying to get a grand picture out of that is a better idea.

2012年10月20日土曜日

Claudio Tuniz "Radioactivity: A Very Short Introduction"

放射線科学の概説書。もちろん、核兵器とか原発とか人体への悪影響の話もあるが、特にそういうテーマに重点があるわけではない。その部分に関しては、普通の日本人はこの本に書いてある程度の知識は既に備えているだろう。他に医療や農業や非破壊検査など、放射線の利用は多岐にわたり、ページ数を一番割いているのは、地質学の話であった。この辺りは、ほとんど放射線と関係のないようなことまで詳しく解説されており、ムダに人類史に詳しくなる。今から七万年前、人類は数千人だったとか・・・。もちろん、年代測定で一々放射線が活用されているということなのだが、何の解説なのか分からなくなる時もあった。個人的には、IAEAが水資源探査に随分資源を割いているのがイマイチ理解できていなかったが、ようやく合点が行った。

というわけで、フクシマがどうとか、核テロがどうとかいう話にのみ興味があるムキにはお薦めしない。もっとも、ベクレルとシーベルトの区別がつかないとか言う人は、この本くらいから放射線の基礎知識を勉強する手もある。放射線の応用範囲の広さもよく分かるし、扇情的な解説書より読むのが楽だ。

A brief overview of applications of radioactivity. A great part is dedicated to earth science. Bad effects on the human body and nuclear power plants are mentioned but not extensively, though if you do not understand the difference between Bq and Sv for example, you might want to study first this book. Applications include agriculture, medical uses, nondestructive inspection and water resource search.

Caesar "De Bello Gallico"

思い出し次いでに、古典ギリシア語の入門&標準に最適な名文がアナバシスだとすれば、古典ラテン語のそれに相当するのが「ガリア戦記」なのであった。岩波文庫の翻訳がわりと酷かった記憶がある。その後、アエネーイスとか読むことになっているが、その辺りで、西洋古典の道は諦めた。西洋古典を志す若者への忠告としては、一生働かなくていい身分でない限り、こんなのを主たる専攻にするべきではない。もっとも、西洋史学とか西洋文学とか西洋哲学の専攻で全然ラテン語が読めないというのも、真面目な人間とは思えないが・・・。趣味で学ぶ分には、一生退屈しない。いい加減な作家の歴史小説を読むよりずっと古代ローマ人に近づいた気になれる。ついでに、ラテン語はギリシア語よりずっと易しい。

We were supposed to read "De Bello Gallico" after having mastered grammatica Latina.

Ξενοφών "Ανάβασις"

ギリシア語のことを聞かれて思い出した。わたしが古典ギリシア語で読んだ唯一の本であった。「アナバシス」は、おもに古代軍事に興味のある人が読んでいるようだが、実は、古典ギリシア語を一通り学んだ後、最初に読むべき本とされていた。クセノポンは、哲学者としては二流みたいなことになっているが、古典ギリシア語としては標準的な名文とされているのであった。ギリシア語は時代や方言があり、「イーリアス」用のギリシア語やら「新約聖書」用のギリシア語やら、いろいろあるわけだが、いずれの分野に興味があるにせよ、まずはアナバシスを読むことになっているのである。それからアンドロマケーを読んで、というような道が推奨されていて、実際、そういう風に進んだ遠い日の記憶・・・。ただ、今のわたしなら、現代ギリシア語から学ぶかもしれない。現代ギリシア人は「イーリアス」を普通に読めるらしい。どうも、現代日本人が「源氏物語」を読んだり、現代イギリス人がシェークスピアを読むより楽なようだ。それはそれとして、内容もまあまあ面白いが、なにせ古代の本なので、退屈な部分も多々あるのは仕方がない。

We were supposed to read Anabasis first after having mastered basic classical Greek grammar. So told and so did I. Only book that I have ever read in Greek.

2012年10月18日木曜日

F Scott Fitzgerald "The Great Gatsby"

退廃で思い出した。これも美しい英文で癒される。なぜか分からないが、わたしは、冒頭に語り手の父によって語られる教訓を強く記憶していて、今でもやたら人にも推奨する。そして主人公登場シーンは、語り手並みに驚いた。大したことでもないのだが、小説を読んでいてあれほど驚いたことは他にない気がする。どうでもいいが、SnoopyがGatsbyの真似をする一連のマンガがあって、この小説を読んでいないと意味が分からない。翻訳は全然知らないが、タイトルに関しては、「華麗なるギャッツビー」のほうが退廃感があって好きだ。

Another healing decadence.

Joyce James "Dubliners"

これは白鯨を読み終わった後に、同じような感じでダラダラ読もうと読み始めて、直ぐに読み終わってしまった。これは明白に記録が残っていて、十年前。美しいというのもあるが、わたしとしては退廃的という感触が強かった。美しい退廃は癒される。研究家的には色々「飯の種」的なものが含まれているらしいが、どうでもいい。

Beautiful decadence has healing properties.

Herman Melville "Moby-Dick: or, The Whale"

これを読んだのも随分昔で、なぜ今更かというと、Googleで出版107周年記念になっていたから。しかし、実際、わたしにとっては思い出もあり・・・。第一に、わたしが英文で読んだ本では、最長の部類に属する。読むのにかかった時間は間違いなく一番長い。五年か六年くらいかかった。第二に、実際面白かった。面白いのになかなか読み進まなかったのは、昔の小説にありがちな退屈な部分も相当あるからだ。鯨の解剖学だとか、船舶英語とか、調べないと意味が分からないが、分かっても別に面白くないというような・・・。日本語訳もちょくちょく見たが、結構誤訳があった記憶がある。文章が時代がかっているので、仕方がない。しかし、休み休みとは言え、それだけ長い間一冊の本に付き合っていると、読み終わる時に独特の感慨もあるもので、ちとこれは説明しがたい。特にエンディングがアレなんで・・・。まあ有名古典なので万人が読むべきだが、英語の難易度はかなり高いという点は覚悟が必要だ。

A classic tale of whale-killers. By the way, I hate whale.