Oxford Univ Pr(2013/3/14)
ISBN-13: 978-0199590964
タイトルの通りフランス革命以降ナポレオン戦争の色々側面を概観した本。戦争そのものはもちろん、各国に与えた影響が、経済や軍事文化・徴兵制やナショナリズムの勃興などの諸側面から解説される。わたしはこの辺りのことはクラウゼヴィッツ「戦争論」とトルストイ「戦争と平和」程度のことしか知らない。どちらもとても面白いし、長さにビビらず読んで退屈しないと思う。この本でもこの二つは頻繁に引用される。
その程度の予備知識で読んでいるので、この本が良く書けているのかどうか判定する資格はないが、面白くて一気に読んでしまった。というか、特に戦争の過酷さについては見てきたように書いてくれるので、いささか疑念すら覚えたくらいだが、それだけ実体験に基づく手記が多く残っているということらしい。
一つ意外感があったのは、イギリスの本だからというわけでもないだろうが、ナポレオンの業績に対して冷静だ。一般にフランス革命を肯定的に評価する流れで、ナポレオンの侵略戦争も日本では異常に肯定的に描写されることが多い気がするが、フランス以外の国にとっては基本的にはヒトラーと同列の侵略者でしかない。とにかく死人の数が尋常ではない。The First World Warも死人が多過ぎて呆れたが、それに匹敵する。特にナポレオンの作戦は基本的に数的優位で一気に敵を粉砕するというもので、最初から人命を著しく軽視している。後期には連合軍も学習して、激突を避けるようになり、特に後背地の大きいスペインとロシアでフランス軍は壊滅する。海上では一貫してイギリスには勝てなかった。
トータルの感想としては、結局ヨーロッパ人ってこういう人たちなのね、というような・・・。ヨーロッパが世界を支配したのは、単に暴力の組織的な使用法に長けていたからであると誰か言っていたが、まったくその通りなんだろう。
One of Europa's "systematic uses of violence". Well written as if the author had experienced it himself. Appalling.
0 件のコメント:
コメントを投稿