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2025年7月2日水曜日

Terry Pratchett "Equal Rites" [平等の儀式]

Equal Rites (Amazon.co.jp)

ユーモアファンタジーDiscworldシリーズの第三巻。1987年刊。「魔導士エスカリナ」ということで翻訳も出ているが絶版の模様。売れたのかな…。

主人公はwizardの素質のある少女Eskarinaとその保護者Granny (witch)。この世界ではwizardになるためにはUnseen Universityに入学する必要があるが、これまで女子の入学は想定されていない。それでこのタイトルになる。

前二巻もそうだったが、ちゃんと設計された小説というよりは、適当に書いている感じだ。色々細かい設定がされていくので、「これは後で重要になるのか」と思っても結局何にもならない。主人公のきょうだいとかその他、後で何も出てこない。伏線的な感じのものはだいたい回収されない。正直言って、前半部分はかなり退屈なところが多かった。Eskが鳥になって飛んでいるところ長かった…。しかし、児童文学と理解すればそんなものかもしれない。

あと、何を想像していいのか分からないサイケデリックとしか言いようのない描写も多い。最後まで読むと、感想としては「まあいい話だったかのかな」という感じになる。ストーリーというよりは場所と世界の描写なのかもしれない。作中で一度"Gormenghast"に言及されているが、実際そんな感じ。そういうことでは、また"Gormenghast"も読みたくなってきた。

HarperCollins (2024/10/8)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0063385542

2025年3月12日水曜日

Natalie Labriola "Tarot: Timeless Secrets of the Ancient Mirror" [タロット:古代の鏡の永遠の秘密]

Tarot (Amazon.co.jp)

わたしにとってTarotは流行らないゲームだが、これはゲームではなく、占いで重視されるMajor Arcana 22枚の解説が主。フランス語圏と違って英語圏ではライダーウェイト版という権威があり、カードがわりと統一されている。

どのみちそんなに歴史のあるものでもないし、本質的にゲームカードなので、いくらでも想像は膨らむし適当なことも無限に言えるが、こういうのも社会情勢とか文化が反映される。そういうことではイルミナティカードのほうが面白い気もする。

たまに易経とか読むこともあるが、占いという作業も面白いのかもしれない。将来の展望や行動を考える時に、机の上に客観的なデータだけでなく、全くランダムなタロットや筮竹があったら考察が捗るのだろうか。全くあり得ない話でもない気がしてきた。というか、気が付いていないだけで、我々の思考は実は常にそんなものなのかもしれない。我々の思考は、体調や天候や場所や最近の出来事や、要するに多数の偶然に影響されているわけで、それにタロットを追加しても結果に大差はなく、むしろ考えやすいまであり得る。というか、それ以外に思考の方法があるのだろうか。

Wooden Books (2024/6/1)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1907155505

2025年3月5日水曜日

Arthur Conan Doyle "The Case-Book of Sherlock Holmes" [シャーロック・ホームズの事件簿]

The Case-Book of Sherlock Holmes (Amazon.co.jp)

ここまでシャーロック・ホームズの作品を基本的には発表順に読んできたが、正典と呼ばれるのはこれが最後。発表年では最初の作品から最後の作品までの間はほぼ40年間ある。このブログによれば、わたしが"A Study in Scarlet"を読んでからここまでだいたい8年と少し。

ホームズは基本的に馬車と電報のイメージだが、最後のほうは自動車とか電話とか言っているし、わたしの記憶にある限り、alibiという単語が出てきたのはこの作品集の一度切りだ。推理小説という形式も普通になってきたんだろう。40年の間に随分時代が進んだらしい。一方、わたしの8年間は大した進歩がないような気がする。やっていることが何も変わっていないからな…。

だいたい全部面白かった。一つだけ選ぶなら"The Hound of the Baskervilles"かもしれない。わたしの読書の中でフィクションが占める割合は大きくないが、常に何かしらは読んでいる。こういう安心して読んでいられる小説は良い。また何か探そう。

SeaWolf Press (2023/1/1)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 979-8886000832

2025年2月26日水曜日

Octavia Wynne "Poetic Meter and Form" [詩の律と形式]

 Poetic Meter and Form (Amazon.co.jp)

英語の詩における形式、特に律(リズム)の解説。韻のほうはほとんど話されていない。俳句みたいな英語以外の話もあるが、この本には英語しか出てこないので、英語以外の律については辞典でしかない。

と言うと、マニアックな文学研究者しか読まないような感じになるが、わたしとしては、これは英語学習の基本だと思っている。わたしはかなり子供の段階で勉強したし、一瞬だけ行ったことのあるBerlitzでも多少扱っていた。別に内容を覚えてはいないが、詩に興味が無くても、ナチュラルに聞こえる英語を話すためにはリズムの話は避けられない。現代でもrapとかを理解するためには必須項目のように思われる。

というのも、本書でも軽く触れているが、英語は日本語やフランス語と違って強勢で話す。大げさに言うと"Canada"という単語を日本語もフランス語も「カ-ナ-ダ」と発音するが、アメリカ人は"Cand"くらいにしか発音しない。こんなことなんでカナダ人のフランス語はフランス人でも聞き取れないとかアメリカ人がスペイン語の語尾を真面目に発音しないので意味不明という話になるが、それはともかく、英語を日本語みたいに平ぺったく発音していると英語っぽく聞こえないという事実がある。この事態を矯正するためにもこういう勉強はしたほうが良い。

根本的な理由として日本語が高低アクセントで英語が強弱アクセントなせいだが、別に日本語教室では音の高低なんて教えていない。マニアックな日本語教室で橋と端と箸とかやっているかもしれないが、アナウンサーレベルでもどうでもよくなっているだろう。わたしはやたらこういうのが気になるので「次は根津。The next station is nedzu.」の根津とnedzuのアクセントが違う(低高と高低)とか文句を言っているが、誰も気にしていない。中国語は音の高低で意味が違ってしまうが、日本語では高低は大して問題にならない。

アクセントには違いがないが、日本語のアクセントがわりとどうでもいいのに対し、英語でアクセントを間違えると本当に通じない。英語でアクセントを間違えるのは日本語で母音の長短を間違える以上の重罪の気がする。日本語の英語学習書でもリズムに着目している本は多くあるんだろうけど、そういうことでは詩が一番の気がする。

Bloomsbury Pub Plc USA (2016/2/16)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1632864444

2025年2月25日火曜日

Adina Arvatu, Andrew Aberdein, Merrily Harpur "Rhetoric: The Art of Persuasion" [修辞:説得の技術]

 Rhetoric (Amazon.co.jp)

いわゆる修辞学ということで、こういうのやたら好きな人もいるが、実際にはこのWooden Booksの薄い本で網羅されているような気もする。修辞学は論理学と文法学とと並び称されるLiberal Artsの一部門だが、わたしとしては、そんなに価値があるのか不思議に思っている。一度調査したほうがいいかもしれない。それはともかく、欧米ではこんなのはわりと基礎的な教養としてみんな学習していて、彼らがやたら弁論とかが得意なのはそういうこともあるんだろう。

Bloomsbury Pub Plc USA (2016/2/23)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1632864437

Amy Jones "Narrative: Telling the Story" [物語:話を伝える]

 Narrative (Amazon.co.jp)

簡単にいうと小説の書き方の幾つかの側面の解説。「誰を語り手にするか」のほか、時制や、プロットを複数進行させるとか、手紙などの劇中劇みたいな方法とか。この著者のWooden Booksの本を読んだら、一通りフィクションを書くための方法論が揃うのかもしれない。映像でも同じことだと思うが。個人的にはフィクションについては読むだけだし、読書量の中でフィクションの占める割合は小さく、あんまり裏側のことを知りたいとも思っていないんだが…。あまりこういうのを知り過ぎるとシニカルな読み方になってしまう。しかし、わたしが小説を読まないと言っても、普通の人よりは圧倒的に大量に読んでいることに変わりはなく、どのみち裏読みみたいなことは避けられない。それか、いつか自分がフィクションを書く日が来るか…。

Wooden Books (2022/11/1)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1907155475

2025年2月21日金曜日

Amy Jones "Literary Devices" [文学技法]

 Literary Devices (Amazon.co.jp)

比喩とか誇張法とか擬人化とか、その類の利いた風な言葉遣いの図鑑みたいな感じ。たとえばカルチャーセンターとかでやっているような小説教室とか、そういうところではこういうことも教えているんだろうな…という感じ。わたしはあまりこういう創作の裏側みたいな話には醒めてしまって興味がないが、例として挙げられる文章はそれなりに面白く、読み込んでしまう。修辞学は意外にやたら好きな人もいるし、試しに読んでみるにはいい本かもしれない。

Wooden Books (2023/9/15)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1952178146

2025年2月20日木曜日

John Michell "Euphonics: A Poet's Dictionary of Sounds" [音調学:詩人の音の辞書]

Euphonics (Amazon.co.jp)

まずeuphonicsという言葉が存在しないようだ。英語の音素一つ一つについて解説と詩がついている。Aの項目を訳してみる。

A

a daring aviator aloft in the atmosphere

ある日本の賢者がなぜ人が建物から落ちる時に"Aaaaaa!"と叫ぶのかを説明している。それは上に行きたいという自然な欲求からであり、"Aaaa!"という音は心身共に上昇の特徴を持つ。

Aにはalacrity, active, happy, alert, agile, attentive aware, awakeな少年少女の意味がある。該当する鳥はlarkであり、次のように語りかけられるだろう:

Audacious avian arise!

Ascend aloft to azure skies!

Alert to your angelic strain

Our aspiration soar again.

こんな調子で続く。どうでもいいけど、さっきhappyという単語が混ざっていたが、それくらい英語ではhの音は存在感がない。この点はHの項目を見ればさらに明らかになるが…というような話に興味があれば面白い本だ。昔、英詩をやたら好き好んでいた時期があり、タッチタイプも英詩を打って覚えた個人的な過去もある。なんか懐かしい気がした。

Wooden Books (2006/2/15)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1904263432

2025年1月28日火曜日

Arthur Conan Doyle "His Last Bow" [最後の挨拶]

 His Last Bow (Amazon.co.jp)

ホームズの短編集としては三冊目。なんか粗い話が多かった気がする。第一次世界大戦前後で時代のせいだろう。だいたいジョジョの奇妙な冒険でいうところの第一部くらいという感じ。自動車とか言い始めているし。明確に言えるのは、ホームズとしては最初に読む一冊ではない。

CreateSpace Independent Publishing Platform (2014/9/30)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1502571120

2025年1月22日水曜日

Linda Johnson-Bell "North European Paganism" [北欧の異教]

 North European Paganism (Amazon.co.jp)

今の地域で言えば主にデンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・バルト三国くらいのキリスト教以前の宗教についてのエッセイという感じ。資料というよりは読み物。と言っても、ヨーロッパ、特に西欧は基本的にキリスト教のせいで古代の宗教はすべて滅亡しているし、あまりはっきりしたことも分からないのかもしれない。

こういうことだから、後でナショナリズムの時代になった時に、民族神話みたいなのをでっちあげる段になって苦労する。ローマ・ギリシアの伝統を引き継げる地域はいいが、イギリスとかフランスはケルトに訴えるしかないし、ドイツは北欧寄りになる。

で、その北欧だが、それにしても今、本気で北欧の神々が信仰されているフシもなく、この本も実際にはファンタジーの材料という感じ。日本人はまあまあ本気で神社にお参りしていると思うが、そういう感じではない。そもそもpaganismというのが元々侮蔑語で、異教というより邪教と翻訳するほうが正しいのかもしれない。

出版社 ‏ : ‎ Wooden Books (2023/9/15)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1907155468

Danu Forest "Nature Spirits: Wyrd Lore and Wild Fey Magic" [精霊:運命の伝承と自然の妖精魔法]

Nature Spirits (Amazon.co.jp)

日本で言えば妖怪図鑑みたいなもの。題材はギリシア~ケルト~北欧まで広いが、ほぼすべて欧州圏。妖怪というと未だに水木しげるのイメージが付きすぎていると思うが、日本に限らず、何でも謎の妖怪/妖精/精霊のせいにする文化はあるらしい。この本については、英語圏では中学生くらいが対象かと思うけど、この類の話を知っていないと、特に児童文学とかスッと読んでいけないこともあるだろう。基礎教養として読む本だ。

Wooden Books (2008/10/20)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1904263821

2025年1月14日火曜日

Amy Jones "Character: Arcs and Archetypes" [キャラクター:物語と元型]

Character (Amazon.co.jp)

フィクションの中のキャラクターの分類学みたいな話。どっちかというと、物語を作ろうという志向のある人向けに書いてある感じ。実際、小説家とか脚本家みたいな人はこんなことを考えているんだろうなとも思う。個人的に思うのは、フィクションというか話を作ろうなどと考える人は、本当に子どもの頃からそんなことをしている印象がある。そんな子供に向いている本ではある。わたしには縁のない世界かもしれない。わたしは相当な読書量があるが、フィクションの占める割合はかなり小さい。そして創作の才能は皆無だ。

出版社 ‏ : ‎ Wooden Books (2023/10/15)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1907155512

2024年11月23日土曜日

Arthur Conan Doyle "The Valley of Fear" [恐怖の谷]

The Valley of Fear (Amazon.co.jp)

ホームズの四つの長編のうち最後のものだが、これなあ…。まあ退屈はしないし一気に読んだが、人気のないほうの作品だろう。ネタバレは避けるが、犯罪の背景が巨大なのはたまにあることで、前半がホームズの推理パート、後半は別の主人公が活躍する。さらにEpilogueがある。

前半部分についてはそもそも事件自体が粗い。後半については、少なくともわたしには最初からネタがだいたい分かったし(前半を踏まえたら分かりそうなものだ)、全く意外性がない。特に主人公が勝ち誇るクダリなんか読んでいられないところがある。ずっと一体何を読まされているんだとずっと思っていたが、意表をつかれたという感想の人も多いようなので、人それぞれかもしれない。

しかし、その点を別にしても、特に後半、愉快な話ではないし、推理小説というよりはそれこそdime novelみたいに思える。最後も後味がよくない。こんなEpilogueを書く必要があったかね。ずっとホームズを発表順に読んでいるが、気を取り直して後二冊。

Flame Tree Collectable Classics(2023/6/27)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1804175606

2024年11月3日日曜日

Jeff Kinney "Diary of a Wimpy Kid #19: Hot Mess" [軟弱な子供の日記#19:大混乱]

Diary of a Wimpy Kid #19 (Amazon.co.jp)
グレッグのダメ日記19(Amazon.co.jp)

一応ユーモア児童書扱いでポプラ社は翻訳を続けるようだ。世界的には売れている本だが、日本でも売れているのだろうか。一応各巻独立に読めるが、順に読むに越したことはない。この19巻は祖母の指令で母の姉妹たち及びその子供とかとビーチに泊りがけで行く話。この巻は低調だったような気もするけど、わたしの個人的な問題かもしれない。わたしは親族と言う概念があまり良く分からない。親族がいる人にはリアリティがあるのかもしれない。あと、だいたいオチが読めていたのもしんどかったか…。今回も犯罪すれすれという話もある上に、わたしから見ればグロ過ぎるように思える話もあるが、やはり個人的な問題かもしれない。

それはそれとして本の内容と別の話だが、この本は入手に手間取った。まずAmazon.co.jpに予約していたのが発売前から勝手にキャンセルされる。何度問い合わせてもまともな返事が来ない。割が合わないから入荷するのを止めたのだろう。随分前に予約して円安が進行したせいもあるかもしれない。楽天ブックスは表示されている値段が安いだけで、実際には商品が確保されることはない。一か月くらい経ってから「確保できませんでした」とかいうメールが来るだけだ。どっちにしろ不誠実だ。丸善は在庫が出ない以前にタイトルがヒットしない。多分システムの問題で店頭で調査すればまた違うかもしれない。結局、紀伊国屋書店に店頭在庫があり、確保した上で買いに行った。

  • ヨドバシ.com…新刊和書なら一番割安で住んでいる場所によっては配送もスゴく速い。ただし、すぐに品切れになる上に洋書は不可。
  • Amazon.co.jp…わりと万能だが、そんなわけで最近紙の洋書の入手が悪くなっている。発注を受けてから他のサイトを調べるだけの出品者が多い。どうしてもならAmazon.comとかAmazon.fr。
  • 楽天Books…発注したことは何度もあるが、届いたことは一度もない。新刊和書ならいいのかもしれない。
  • 丸善ジュンク堂…個人的に近所にあるし、店頭在庫が多いが、そんなわけでWebで見えないことがある。高い感じはある。
  • 紀伊国屋書店…大手取次でない出版物や海外取り寄せで結構使っている。信頼できる。

Harry N. Abrams (2024/10/22)
言語 :英語
ISBN-13 : 978-1419766954

2024年10月21日月曜日

Arthur Conan Doyle "The Return of Sherlock Holmes" [シャーロック・ホームズの帰還]

The Return of Sherlock Holmes(Amazon.co.jp)

これも面白かった。内容は詳しく書く必要もない。死んだはずのホームズが復活してまた活躍する短編集。といっても一応また引退するような感じになっている。書き方がどんどん近代化していく感じはあるが、安心して読んでいられる。ホームズ作品を読む人は、まずホームズという人物像が好きなんだと思うが、わたしはあまりそういう感じではない。ただまあ、Baker Streetのアパートに貴人が訪れる図はカッコいいかなあと思い始めた。発表順に読んでいくと次は恐怖の谷。

Independently published (2022/7/20)
言語 : 英語 ISBN-13 :979-8841602958

2024年9月18日水曜日

Arthur Conan Doyle "The Hound of the Baskervilles" [バスカヴィル家の犬]

 The Hound of the Baskervilles (Amazon.co.jp) / バスカヴィル家の犬(Amazon.co.jp)

推理小説だしネタバレになっても詰まらないから内容は詳しく書かない。ここまでホームズをだいたい発表順に読んできて、わたしとしてはこれが一番面白いように思うが、一般的にはそこまでは人気はないようだ。最大の理由はホームズが出てこない部分が長すぎるということらしいが、一つには、舞台となる荒野/湿地帯/新石器時代の石造りの家々を思い浮かべにくいからだろう。この点については日本人だけでなく英国人にとってもあまり変わらないのかもしれない。ただし、わたしはここまで大量にWooden BooksでUKの新石器時代の遺跡と荒野を見てきたから、問題にならない。名作だった。

SeaWolf Press (2018/10/22)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1949460513

2024年8月7日水曜日

Jewels Rocka "Divination: Elements of Wisdom" [占い:知恵の要素]

Divnation (Amazon.co.jp)

色々な占いを集めた本。日本からは九星気学とかいうのがエントリーしている。わたしはカレンダーに六曜が書いてあるのもウザいと思っており、天気を占うのにネコの行動を観察するより天気図を用いるタイプだが、それはそれとして、こういう知識がないと読めない西洋の小説などもある。体の痒い所占いに至っては冗談たど思われるが、子供の頃に読んでいたら楽しかったかもしれない。

Wooden Books (2021/3/8)
言語: 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1904263845

2024年4月5日金曜日

D.P. Sullivan "Leys: Secret Spirit Paths in Ancient Britain" [レイ:古代イギリスの秘密の霊的道]

Leys (Amazon.co.jp)

色々な謎が解けた一冊。Leyというのは適当な翻訳語がない。面白くない言い方をしてしまうが、疑似科学/pseudoarchaeologyの一種で、各地に散在する古代遺跡に、やたら直線を当てはめる趣味を指す。比較的近距離の単一の遺跡内の直線の場合もあれば、イギリス全土に散らばる遺跡群に直線近似みたいなことをする場合もある。最初の提唱者はそこまででもなかったようだが、幽霊だとかUFOが目撃された的な話が乗っかってきて、かなり楽しい世界が積み上がっているようだ。

というわけで、これまでWooden Booksのイギリス遺跡シリーズで出会ってきた説得力のない謎の直線にはこういう背景があったようだ。わたしもまあまあ疑似科学は好きだが、日本ではあまり聞いたことがない。開発の余地があるように思われる。地形的に直線を引きにくいのだろうか。勉強になった。

Wooden Books (2005/10/25)
言語: 英語
ISBN-13 :978-1904263388

2024年3月22日金曜日

Philippa Lewis "Pantheon: Gods and Goddesses of the Greco-Roman World" [パンテオン:ギリシア・ローマ世界の神々]

Panthon (Amazon.co.jp)

有名なギリシア神話・ローマ神話の神々の紹介。似たような本はいくらでもあると思うが、白黒とはいえ歴史的な図版が多いのは素晴らしい。西洋美術を鑑賞する際には必須の知識である…。縁のない人にも楽しく読めるのではなかろうか。

ただし。わたしはこの件に関してはマニアックなので、その点からすると許せないことがいくつかある。まずラテン語も古代ギリシア語も日本語と同じく母音の長短を区別する言語だが、この本ではその区別が失われている。英語民は長短の区別ができないし、どうせ正しいラテン語表記も正しく読めないからどうでもいいのかもしれない。別に原典にも長音符はないからその点については大した問題ではないとしても、一応ギリシア語名と比定されるラテン語名が対で書いてあるが、ギリシア語側の音写がラテン語化していたりする。何を言っているのかわからないかもしれないが、要は古典語を勉強した人にはひっかかる点が多いということだ。もちろん、こういうのに引っかからない本というのもほとんどないのも事実だ。

A nice introduction, for those who do not care for the original Greek classical spellings.

Wooden Books (2023/9/15)
言語: 英語
ISBN-13 :978-1907155499

2024年3月11日月曜日

Antoine de Saint-Exupéry "Le Petit Prince" [小さな王子]

Le Petit Prince (Amazon.co.jp)

これはフランス語学習者はたいてい読むことになっているが、どうも読む気にならず放置していた。読んだことのない人でも、ヘビが象を呑み込んだ絵とか、そんなことは何となく聞いたことがあるのではなかろうか。表紙からして読む気にならない。しかしフランス語学習者として無視し続けるのもどうかと思う。しばらくフランス語の本も読んでいなかったので、この際、「子供は大人と違って純真」とかいう世界観とか、面白くない社会風刺とかは時代の制約ということで呑み込んで一応全部読んだ。

内容はたいていの人がだいたい知っているので、感想としては、予想通り感傷的過ぎて読んでいるのもしんどい。もちろんこれはわたしの趣味に過ぎず、一般的には名作ということになっているので、読んで損をするものではない。フランス語学習という観点では、こういう昔の小説は普通に単純過去で語られるが、B2くらいでも単純過去を習得していない人も多いだろう。ただ、それでもB2なら読めるかなと思う。B1ではちょっと無理ではなかろうか。

Independently published (2017/4/9)
言語: フランス語
ISBN-13: 978-1521030141