2012年8月20日月曜日

Joseph E. Stiglitz "The Price of Inequality"

世界の99%を貧困にする経済というわけで、こういう本が素早くまともな日本語訳で出ているのは素晴らしいことだ。カーネマンの訳を待ち望んでいる人が多いが、こっちのほうが緊急に決まっている。

実を言うと、この本に書いてあることは、少なくともわたしにとっては既に常識化しているようなことで、特に斬新な話はない。日本の常識とは依然として大きくかけ離れていると思うが・・・。わたしは議論を求める人に「この本を読んでからにしてくれ」と言うことは滅多にないのだが、この本は第一候補になりそうだ。特に経済学の知識がなくてもほとんど理解できるんではないかと思う。なぜなら、明白なことを明白に書いているだけだからだ。今回の不景気は金融機関が規制緩和されてムチャをしたせいであり、従って規制を元に戻せと言うだけのことに、何の難しいこともない。技術的には色々あるにしても、そこまでは踏み込まない。あくまで一般向けだ。そしてスティグリッツ先生の今後の活躍を祈る。日本にもこういうしっかりした経済学者がいればねえ・・・。

This book is very easy to read. Because it states obvious things obviously. Doesn't it? I seldom say, "Wait, first you read this book. After, we're talking about it." This book might be one of few such books.

2012年8月10日金曜日

Henry David Thoreau "Walden: Or, Life in the Woods"

要は森の中で一人で自給自足生活してみたということなのだが、サバイバル生活というわけではなく、普通に町と行き来しているし、他人との交流もある。畑を耕したり釣りをしたり薪を割ったりしているだけで、要は単なるキャンプ生活と考えたほうがいい。よく比較されるが、「方丈記」みたいな隠者生活のようなもので、生活の中で思いついたことを書いてみたというような。

とにかく自然の描写が多いが、北米の動植物に馴染みがないと、あまり意味が分からない。詩情を解する人ならまた違う感想もあるかも知れない。ポイントは文明批判みたいなことだが、田舎で孤独な生活を送っている独身男の上から目線の都市生活批判という構図にカチンと来る人にはお勧めできない。誰でも多少はこういう生活に憧れるところはあると思うけど、具体的に参考になるわけではない。基本的に、文学なんだと思う。

A classic. Unfortunately, I do not understand poesy. However, everybody sometimes would like to go into this sort of lifestyle.

2012年8月6日月曜日

Charles Eames, Ray Eames, Glen Fleck, I. Bernard Cohen, Robert Staples "A Computer Perspective"

計算機の歴史写真集だが、基本的には電子計算機以前の話。やたら著者表示が多いのは、著述するためというより、写真を探しまくったり著作権をクリアしたりするために、プロジェクトチームが必要だったせいだろう。写真がメインで、それぞれの解説は短いが、さらに詳しく調べたくなるような話が多い。計算機自身だけでなく、計算機が必要だった科学・工業・商業分野についての解説も多い。おそらく、写真自体が貴重で価値があるのだろう。

A photo book of mostly analog computers. I guess those photos are themselves precious. Brief explanations are fascinating. They point vast areas where computers were badly needed.

2012年8月2日木曜日

David Salsburg "The Lady Tasting Tea: How Statistics Revolutionized Science in the Twentieth Century"

統計学者列伝というか、特に後半の時代の浅い所は統計学界ゴシップ集というか・・・。わたしは一気に読んでしまったが、基本的にはある程度統計学を勉強した人にしか面白くない気がする。数式は全く出てこず、この本を統計学の素人が読んでも入門にもならない。特に奇人変人が多いわけでもないので、それ自体で読み物として面白いわけではない。個人的にはピアソン・フィッシャー・ネイマン・ベイズのそれぞれの哲学的対立に興味があったのだが、その内容に踏み込むほど深い話にもならない。確率の話も少々あったが、こちらもそれほどは踏み込まない。

A collection of gossips of famous statisticians. Recommended for those who have studied at least a little of statistics.