なんか会話の勉強でもしようと思って読んだが…。確かに101の会話が収録されているのだが、すべての会話が全部つながって一つの物語になっており、会話集というより、これ一冊が映画の台本みたいな感じで読める。著者は最近流行りの「だいたい分かればいいから辞書なんか引かないでどんどん読め」というスタンスの人で、対象読者としてはA2で十分と言っている。少し難しい単語には全部英訳がついているので、確かにA2でほぼ筋は終えるかもしれないが、普通に接続法も出るので、完全にスキなく理解するためにはB1は必要だ。
(だいたいどの言語でも接続法は上級扱いだが、実際には些細な日常会話でも接続法は避けられないのが通例で。)
で、これが会話の勉強になるかというと…。この本の最大の問題は話が面白過ぎるという点にある。各会話の冒頭に地の文として説明があり、その後に会話が続き、この時点で映画台本だが、内容が警察の腐敗を扱っており、アメリカのテレビシリーズ「24」のように状況が二転三転し、バカバカしいとは思いながら、読ませるのは間違いない。少なくとも語学学習書と称するもので、こんなに内容が大人向きで面白いものは見たことがない。その結果、話は確かに面白かったが、特に有益なフレーズとかが記憶に残ることもなく、しかしextensiveとか多読とかいうのはこういうことなのだろう。冷静に読み直せば有益な文も回収できるのかもしれないが、わざわざ読み直す気にもならない。そもそもわたしはTCFでだいたいB2レベルをクリアしており、実際この本はわたしには易し過ぎるのだが、まあ、それでも面白かった。
Le pire problème avec ce livre est que l'histoire est trop intéressante. Je ne souviens aucune phrase utile, parce que je me suis concentre sur le contenu.
Independently published (2020/3/11)
言語:フランス語
ISBN-13 : 979-8613055326