目次:1.位相幾何学とは何か 2.曲面を作ること 3.連続的に考える 4.平面と他の空間 5.位相幾何学の香 6.結び目か結び目でないか
最初のうちは地下鉄だのメビウスの輪だのオイラー数だのトーラスだのよくある話をしているが、連続性の概念からわりと急にε-δ論法や中間値の定理が完全展開され、何で解析学と思っていると距離空間から位相空間とか多様体とか群とかいう話になる。あまりこの方面の話は読んだことがないので、数学の色んな分野をどんどん横断していくように思ったけど、後から思うと自然な展開なので、数学科なら普通の教程なのかもしれない。最後のほうはポワンカレとかペンローズとか言っているが、コアな議論としては四次元を超える話はしていない。理論上は高校生でもわかる話だが、そんなにさらさら読めるようなものでもなく、実際には大学レベルだろうか。
現実に工学なんかで位相幾何学が必要になるのは、わたしのレベルでは異常事態だが、昔から興味のあるところではあった。ただ、この本を読んで思うのは、一応大学レベルで解析やら幾何やらをやってからでないと、意義が分かりにくいかもしれない。高校生レベルで結び目だのどうだのだけ説明しても詰まらないだろう。何でもポワンカレは数学を統一しようとした最後の数学者らしい。VSIの数学書としては、その意味で難しい部類かもしれない。良い本だった。
An excellent introduction.
Oxford Univ Pr (2020/2/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198832683
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