目次:1.こだま 2.なぜそれは起こったのか 3.どのようにそれは起こったのか 4.それが終わらせたもの 5.それが始めたもの 6.それが立つところ
フランス革命の経緯自体は最小限描かれているが、基本的にはその歴史的意義と解釈の解説。ほとんど業界内部の事情みたいな感じにもなっているが、特に欧州人にとってはそれくらい感情負荷の高い出来事で、今でもBrexitがどうとかでフランス革命の評価が左右で分かれるくらいで、仕方のないところがある。
大雑把な流れとして啓蒙主義→フランス革命とテロ政治→独裁制と戦争(ナポレオンとかヒトラーとか)→共産主義革命→共産圏の崩壊みたいなことで、これが必然なのか偶然の出来事の流れなのかみたいな話もあるし、これと英語圏、特にアメリカ独立革命が何の関係があるのかも問題だ。たとえば日本では、明治時代にはフランス革命というと野蛮極まる愚民暴動みたいな扱いになっていたらしいが、これは英語圏の評価とだいたい一致していた。しかし、今の日本の教育ではどうもフランス革命というとやたら肯定的に教えられているような気がする。フランス語圏では、日本ほどでないにしろ肯定的な評価が多い気がするが、どう評価するにしてもフランス人はその上に生きていくしかないんで、なかなか冷静でいられない主題なんだろう。
この本はというと、そういうわけで、歴史業界、というかフランス革命史業界の中の個人的な対立とかまで踏み込んでいるようなことで、普通の人はここまで知りたいと思わないと思うが、これくらいモメる話だということは良くわかった。物語みたいにフランス革命を読んでいきたい人にはお勧めできないが、この本を読んでしまうと、よくあるフランス革命物語みたいなのを真に受けるのがバカバカしくなってくる。個人的には、だいたい革命とか内戦とかいうのは憂鬱だが、もうちょっとフランス史も勉強するかと思った。
I guess it is Well-balanced.
Oxford Univ Pr; 2版 (2020/2/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198840077
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