目次:1.火の要素 2.火の深い歴史 3.火と人類 4.火を封じ消すこと 5.新しい技術と火政策 6.火と気候変動
例によって酷いタイトルだが、この本は基本的には森林や草原の自然火災と生態系との関係について語っている。なので、この"Fire"は「火災」と訳すべきなのかもしれないが、こんなタイトルを付けたために多少都市火災とか戦争における火とかも適当に触れられているくらい。日本語版を出す時はよくよくタイトルを考えたほうが良いと思うが、翻訳する価値があるというのは、こういう話を日本語の本でもその他の情報でもほとんど聞いたことがない。多分、環境運動家でもほとんど知らないのではないか。
なんでも自然火災は陸生植物が出現して以来普通のことらしく、それは古い地層の研究からも明らかだし、今でも人工衛星でそこら中の自然発火の森林火災・草原火災が普通にモニターされている。例えばアフリカのサバンナは以前は人類が森林破壊をしてサバンナになったと信じられていたが、実際には人類が出現するはるか前からサバンナで、森林になる前に定期的に火災でサバンナに戻されていた。そして生物も生態系も定期的に火事がある前提で進化してきており、環境保護のために消してはいけない山火事も多い。
とは言え、著者が詳しいらしいイギリスやアメリカ、オーストラリアなどでは、住宅をどんどん森の近くに建てる傾向があり、火災に対する対策も必要だ。この本を読んでいる間にもカリフォルニアで大火事があったが、日本ではもうドーナッツ化現象とかいう時代ではないが、アメリカは相変わらず郊外志向らしい。イギリスの場合は泥炭火災とかもあるらしく、対策も論じられている。
でその対策の一つとして昔ながらの伝統的な野焼きや焼き畑が結構推奨されていて、実際読んでいると有効というかそれしかないようにに思えるが、非科学的な環境保護運動家とかがヒステリックに反対するのだろう。大体そんなことだが、こういう話はあんまり聞いたことがなかった。
A book on the fire hazards and the ecology.
ISBN-13 : 978-0198830030
Oxford Univ Pr (2020/9/1)
言語: : 英語
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