例によってタイトルが短すぎて意味が分からないが、著者は歴史学者で、主題は特に西洋史上の「魔女狩り」である。もちろん魔女自体は特にアフリカなんか今でもいるし、魔女=悪でもないので実際の考察の範囲はもっと広い。特に何か理論が提示されるわけでもなく、ランダムなエピソードと考察みたいな感じだが、基本的に話が上手く、非常に面白い。「魔女狩り」のイメージは人によって違うと思うが、時代と状況によって色々な様相があるようだ。たとえば、単なる異教の儀式がwitchcraftと呼ばれいるだけのこともあるし、純粋に政治上・党派上の理由で敵対者を魔女狩りしている場合もあるし、本当に人を呪い殺そうとした人が魔女狩りされている場合もある。まあ人を呪い殺そうとする人は別に現代日本にも普通にいるわけで、昔はもっといただろうし、見つかったら裁かれていた。わたしが一番興味を惹かれるのは集団ヒステリーというか、中央の権力が弱まった時の社会心理学的メカニズムだが、特に理論は提示されないものの、そういう例もことかかない。というか、わたしとしては、魔女狩りにかこつけた変なポストモダンなヨーロッパ近代論とかを読まされるより、これくらいの冷静なよもやま話のほうが学ぶことが多い気がする。これは翻訳したら売れると思う。
Miscellaneous talks about witchcraft or witch-hunting. It does not a unified grand theory, but fascinating. Honestly, I hate those profound theories like "to understand witchcraft is to understand modern Europe". I love Gaskill's candid way of presenting historical facts and brief overview of wide range of thinking.
Oxford Univ Pr (T) (2010/5/20)
ISBN-13: 978-0199236954
0 件のコメント:
コメントを投稿