2016年4月25日月曜日

Stephen Blundell "Magnetism: A Very Short Introduction" [磁気:非常に短い入門]

目次:1.神秘的な魅力? 2.磁石としての地球 3.電流と力への道 4.統一 5.磁気と相対論 6.量子磁気 7.スピン 8.磁力図書館 9.地球上と宇宙の磁気 10.奇妙な磁気

VSIのフォーマット通りで、前半は磁気の歴史が語られる。初期の磁石の文化史みたいなところから電磁気学の一般的な歴史を通って相対論と量子力学の説明になる(古典物理学の範囲では磁石の存在すら説明できない)。教科書的とは言え、なかなか充実している。後半は工学的な応用の話や地磁気の話など盛りだくさん。ちょっと高校生では読むのはしんどいかと思うが、理系の大学生なら大丈夫だろうし、マクスウェル方程式を理解しているくらいなら問題ない。一応巻末にマクスウェル方程式は出ている。結構意外な話も多かった。

A variety topics of magnetism. From basics to sophisticated modern physics.

Oxford Univ Pr (2012/7/5)
英語
ISBN-13: 978-0199601202

2016年4月11日月曜日

Jason Martineau "The Elements of Music: Melody, Rhythm, & Harmony" (Wooden Books)[音楽の要素:旋律、表紙、和音]

近頃音の勉強を始めているので、久々のWooden Booksだが、これは微妙なところだ。書いてあることはいわゆる「楽典」に近いようなことだが、ある程度音楽の素養がないとついていけないところがある。「楽典」はたいていそうだが、この本も、手元にバーチャルにでも鍵盤がないと読みにくいだろう。専門家の評価は高いようだが、誰にでもお勧めと言うわけにはいかない。Wooden Booksはそういうものだが、真面目に勉強するための本ではない。

You should place a keyboard (at least virtually) before you while reading this book, I guess.

Walker & Co (2008/10/28)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0802716828

2016年4月10日日曜日

Christopher Hall "Materials: A Very Short Introduction" [材料:非常に短い入門]

目次:1.金・砂・糸 2.微細な検査 3.強固だがツルツル 4.電気の青 5.材料を作る事と物を作る事 6.砂のそんな量

この本はものすごく面白いのだが説明が難しい。目次でも伝わらないと思うが、とにかく、VSIにありがちな「これから専門分野を学ぶ学生のためのガイダンス」みたいな本ではない。要は様々な「材料」または「素材」という物について物理的・科学的・工学的・歴史的・経済的・資源的・環境的なあらゆる面から色々記述している。従って、単一の学問分野に限定されていない。これだけの広い知識を一人で扱う著者はスゴい。ちょっと難しい部分もあるかもしれないが、基本的には高校生でも読めるのではないかと思う。人に言いたくなるまめちしきが満載で、どういう人にお勧めというわけでもないが、強いて言えば資源を扱う商社マンとかか。もちろん、わたしみたいな単なる好奇心の強い一般人でも退屈はしない。タイトルが一般的過ぎるのであまり期待していなかったが、予想外のヒットだった。

The title may appear too simple, but it contains a lot of trivia and is never boring. The author describes so many materials from so many aspects. He is incredibly polymathy.

Oxford Univ Pr (2014/12)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0199672677

2016年3月31日木曜日

Barbara Bregstein "Easy Spanish Step-By-Step" [簡単スペイン語一歩ずつ]

目次:1.名詞・冠詞・形容詞 2.Estar, Ser主語代名詞 3.Hay、疑問詞、日、月 4.数、日付、時間 5.規則動詞 6.不規則動詞 7.Irと未来 8.形容詞と副詞 9.否定と前置詞 10.間接目的語 11.直接目的語 12.再帰動詞 13.接続法現在 14.点過去 15.線過去

スペイン語の独習用入門書。独検二級を取った後、週に三・四回程度、朝に二十分ほどずつ、半年くらいかかって終わった。真面目にやる人なら、一か月もかからないかもしれない。

外国語を始める時にどういう形態が良いかは人それぞれで優劣も不明だが、わたしのようにNHKフォーマット(スキット+語句文法解説)が苦手で、古典語のような文法+練習問題でやりたいムキにはこういう本が向いている。要所ごとにReadingが入ってくるが、基本的には文法事項と単語+ひたすら練習問題という形態だ。非常に良心的な本で、やっぱりこういう学習書は英語圏のほうが圧倒的に優れている。音声はないが、スペイン語はもともと発音が簡単だから、入門段階でさえ、ほとんど問題にならないだろう。

この本の注意事項として、早いうちに接続法現在が出てくる。動詞の形としては直説法現在の後に接続法現在を学ぶのは非常に合理的で、さして難しくもないのだが、多分、普通の学習課程では過去形や未来形を先に学ぶことが多いだろう。この点は、何か別テキストと並行してやる人は引っかかるかもしれない。ただ、この後、"Advanced"に進むわけで、どのみち、スペイン語文法を全部把握する気なら勉強する順番は問題にならないだろう。

McGraw-Hill Education (2005/12/21)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0071463386

2016年3月24日木曜日

Annie Heminway "Practice Makes Perfect French Problem Solver" [フランス語の問題を解決]

目次:1.名詞:性と複数化 2.アクサンと有音のhと大文字化 3.形容詞と副詞 4.便利な代名詞 5.過去に関わる時制 6.未来時制と条件法と接続法・Could, Should, would・Whatever, whoever, wherever, whenever 7.動詞転移 8.間違いやすい動詞 9.不定詞・使役・現在分詞・ジェロンディフ 10.動詞と前置詞

意味の分かりにくいタイトルだが、フランス語教師である筆者が、生徒が間違いを犯しやすい文法項目を選んで特に訓練する文法問題集。難易度は一応"Intermediate"ということになっていて、だいたい仏検二級程度だと思う。従ってわたしには易し過ぎる…はずだが、実際には結構ボロボロだったりする。

フランス語もB2レベルになると、あまり文法を練習することも少なくなり、ダラダラしていると文法を忘れてしまう。というわけでダラダラと数か月やっていたが、まあまあいい感じというか、結構危機感を煽られた。この本は、趣旨からして体系的ではないが、間違いやすい点は英語話者も日本語話者も大して変わらないのではないかと思う。その意味では冠詞が項目にないのは特徴ではある。わりと解説が饒舌で、とっつきやすいようにだとは思うが、面倒くさい面もあった。まあ、仏検二級程度の人にはちょうどいい独学復習教材ではある。Practice Makes Perfectシリーズの常で、とても良心的な作品だ。

As with always the case with "Practice Makes Perfect" series, this exercise book was very effective for me.

McGraw-Hill Education (2013/5/20)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0071791175

2016年3月21日月曜日

Nathalie Rouillé, Isabelle Raimbault "Dekita ! Apprendre ou Réviser les Bases de la Grammaire Japonaise Avec Exercices Corrigés" [できた! 解答付きで日本語文法の基礎を学び復習する]

フランス人向けの日本語問題集で、フランス人の評判は良いようだ。レベルはA2-B1とある。漢字はすべてカナが振ってある。もちろんわたしは日本人なので問題にならないし誤記を指摘できるくらいだが、それにしても日本語は難しい。普段あまり意識しないが、日本語とフランス語では文法体系が違いすぎる。改めてちょっと日本語文法を学ぼうかと思う。

Comme je suis japonais, je ne peux pas évaluer ce livre d'exercice. Bien sûr que c'est très facile pour moi, je suis choqué par le fait que la grammaire japonaise soit si compliquée... J'ai infiniment de respect pour tous les étrangers qui apprennent le japonais. Pendent ce temps, je voudrais apprendre la grammaire japonaise moi-même.

Ellipses Marketing (19 février 2013)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2729877217

2016年3月18日金曜日

Mike Goldsmith "Sound: A Very Short Introduction" [音:非常に短い入門]

目次:1.過去の音 2.音の性質 3.調和の音 4.音を聴くこと 5.電子的な音 6.超音波と超低周波 7.水中と地中の音 8.場違いの音

目次だけでは領域の広さが伝わらないかも知れない。音波の物理的な記述・和音と音楽の理論・人間の聴覚の仕組み・マイクやスピーカーなどの電子工学・色々な生き物の聴覚・潜水艦や非破壊検査や医学での超音波と低周波の応用・地震予知・騒音対策などなど。予備知識は何も必要なく、非常に読みやすいが、注記では数式は避けていない。色々な分野で人に語りたくなる豆知識が満載されている。音に関心のある人、たとえば音楽をやっているとか騒音対策に興味があるというような人は読む価値がある。とにかく広い分野に渡っているので、一つ一つはあまり深く解説はされないが、それでも知らないことばかりだった。何らかの形で音を仕事にしている人は、この本程度の知識はあって良いのかもしれない。

非常に短い本だが、面白すぎて読むのに時間がかかった。今まで200冊以上Oxford Very Short Introductionを読んできたが、実は「この件についてもっと研究したい」と思ったことはほとんどない。かなり面白くてもそれだけで満足してしまうのが常だが、この本を読んで真面目に音響工学をやる気になった。省みると、電気通信に詳しいせいで音について全く無知でもないし、何よりわたしは耳がかなり良く、音楽に全く興味がないにも関わらず音感は正確だ。一つ世界が開けた気がする。

Really fascinating. This book drives me into the world of sound engineering. One of the best books in VSI.

Oxford Univ Pr (2016/2/10)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198708445

2016年3月16日水曜日

Pénélope Bagieu "La Page blanche" [空白の頁]

どうもこの著者、一時期日本でも流行ったようで、「エロイーズ」という翻訳が出ている。多分、原書で読んでも翻訳で読んでもそんなに印象は変わらないのではないかと思う。

主人公、恐らく30絡みの女性だが、いきなり記憶喪失になっているところから話が始まる。ところが記憶喪失になったことを他人に知られたくない(何でか知らんが)ので、適当に調子を合わせつつ生活し、自分が何者かを探求していく。唯一頼れるのは同僚の一人の女性だが、記憶喪失前に特に仲良くしていたわけではないし、多分、主人公はちょっとバカにしていたくらいだろう。つまり、記憶喪失前の主人公は、さして好感の持てる人物でもなかったようだ。

読む前に知っておいたほうが良いと思うけど、基本的には何も起こらない。判明するのは、どうも記憶喪失前から単なるどこにでもいるメディアに踊らされる女だったらしいということくらい。謎で読者を引っ張るというよりは、自分の正体が不明と言う空気感を読ませるマンガだ。結局、正体は判明しないが、正体が判明したところで正体不明なのと何が違うのというような、非常に厳密に構成された話である。久しぶりに本格的なフランス文学を読んだ気がしなくもない。

En fin de compte, l'héroïne n'est pas identifiée. Mais, est-ce que cela ferait une différence?

Editeur : Le Livre de Poche (15 mai 2013)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2253167051

2016年3月2日水曜日

Pénélope Bagieu "Joséphine 3; Change De Camp" [ジョゼフィーヌ3:陣営変え]

前の巻でようやく誠実そうな男と付き合い始めた。前半は相変わらずだが、何分にもだらしない女で後半は妊娠してからの騒ぎ。といっても結婚するわけでもなさそうだ。わたしもそれほど詳しくないが、フランスはカトリックの国だから結婚が非常に重く、結婚ほどではないが民法上の準結婚みたいな制度が二、三あって、なんなら同性でもいい。カトリックという割には性的にだらしなさ過ぎる気もするが、とにかくそんな国なんだろう。ジョゼフィーヌのママは娘が結婚しないで妊娠したことに、やはりショックを受けているから、親はまた感じ方が違うのだろう。姉(普通に結婚して専業主婦)も世間体を気にしている。男たちの無関心との対照は笑いどころだ。あと、わたしはフランスでは労働者の権利が非常に強くて産休制度も充実していると教えられてきたが、ジョゼフィーヌは産休を取る時に上司に酷いことを言われている。…というような、教科書に書いてあるのとフランスの現実は違うということも分かるマンガというわけである。とにかく、このジョゼフィーヌ、軽薄でだらしなくて自分勝手で怒り過ぎだが、そんなのも含めてマンガになっているのは作者の力量だろう。醜い部分も含めて可愛く見えるのは相当洗練された感覚だと思う。

Oui, tout à fait fascinante.

Le Livre de Poche (1 juin 2012)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2253131854

2016年2月26日金曜日

William Bynum "The History of Medicine: A Very Short Introduction" [医学史:非常に短い入門]

目次:1.臨床の医学 2.図書館の医学 3.病院の医学 4.共同体の医学 5.実験室の医学 6.現代世界の医学

どういうわけかわたしは医学史に詳しいが、多分、社会史とか一般科学史みたいな本をよく読んでいるから、そっちから知識が入っているのだろう。そういうわたしから見ても良い意味で標準的な歴史書かなと思う。"Very Short"と言いながら、なかなか盛りだくさんで壮大な印象が強い。ありがちな科学的な側面に話を絞っておらず、最近発達した社会史的な面もきっちり入っているのも高評価だ。話は基本的に西欧限定だが、これで東洋版を出してもあまり流行らないのだろうか。たとえば"Yoga: A Very Short Introduction"みたいな類の本を作ったら、(欧米の)大学生受けはすると思うんだがな。なんにしろ、医学史を学ぶんなら(そんな人は少ないと思うが)、これが最初の一冊かもしれない。

Very good as the first book for beginners.

Oxford Univ Pr (2008/8/24)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0199215430

2016年2月23日火曜日

Jacob K. Olupona "African Religions: A Very Short Introduction" [アフリカの宗教:非常に短い入門]

目次:1.世界観と宇宙論と創造神話 2.神々と祖先と精霊 3.神聖な権威:神聖王政と僧侶と占い師 4.儀式と祭りと儀礼 5.神聖な芸術と儀礼の実行 6.アフリカのキリスト教とイスラム教 7.今日のアフリカの宗教

もともと広大なアフリカをどの程度この本がカバーしているか疑問だが、とにかく、アフリカの宗教の概説。特段に複雑な教義体系が紹介されたりしないので、宗教というより各地の習俗という風に考えても良い。美術や音楽が宗教がらみ勝ちなのは世界中どこでも同じだ。人類学とか民俗好きの人は読んでいて楽しいだろう。わたしとしては、アフリカの宗教と言うと、サッカーの試合で魔術を使うとかそんな程度のイメージしかなく、別にこの本を読んでもそれほどイメージは変わらない。著者は最初から西欧のアフリカに対する偏見を糾弾しているが、正直なところ、哲学的な考察は薄い。

An overview of African folkways.

Oxford Univ Pr (2014/3/14)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0199790586

2016年2月22日月曜日

Richard Toye "Rhetoric: A Very Short Introduction" [修辞学:非常に短い入門]

目次:1.ギリシア人からグラッドストーンへ 2.修辞学の足場 3.修辞学へのアプローチ 4.現代世界の修辞学

「修辞学」と訳したものの、実際は「弁論術」と言うほうが適切。前半は古典時代からtrivium三学科の一つに数えられている「修辞学」の歴史だが、真ん中あたりでオースティンやら現代文学理論が入って来たところで様子が変わる。この辺り、わたしにはとても懐かしいところだった。特に後半は基本的に政治における弁論術の話。メディアの弁論術に与える影響も語られる。と言っても、基本的にはアメリカの大統領とかイギリス議会とか英米圏の話に限定されている。分析法なども概説があるけど、基本的にこれを読んでも弁論が得意になったりはしない。日本で言えば、政治学とか言語学とか社会学/記号論などで処理されるような話だ。

ただ、この本、VSIでは初めて見たけど、ところどころclassroom用のactivityが差し込まれている。VSIのこういう入門書は、たいてい開講前に読んでおくような本が多いが、この本は修辞学の一年目(半年?)くらいに授業で使う想定になっている。もしかすると著者のクラスを取ると弁論に長けるようになるのかもしれない。まあ、英米圏は元々小学校レベルから弁論を仕込まれているいるし、ここでは改めて歴史から振り返ってみて、後半は現代世界・マスコミの弁論術(論法)を分析してみようということだろう。特にマスコミの世論誘導などに興味があるムキは、こういう分析もあるということを知るだけでも価値があるかもしれない。

Pretty informative.

Oxford Univ Pr(2013/5/8)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0199651368

2016年2月14日日曜日

Pénélope Bagieu "Joséphine tome 2 : Même pas mal" [ジョゼフィーヌ2:まあ悪くない]

前作と基本的に同じ路線で30代独身女の日常をコミカルに描くというところだが、内容自体はえげつない。別の女が出てきたらどうしようと思いながら恋人の部屋を訪問したら子供が出て来たり、奥さんと別れてくれると妄想したり、若くて美しくて性格の良い人事部長が元彼と結婚して結婚式に呼ばれたりしている。もちろん、日本でもこんなマンガはあるだろうけど、もっとドロドロなレディコミみたいになるか、もっとアホみたいな「本当にあった話」みたいになるはずで、こんな爽やかにお洒落に描いている場合ではないと思う。根本的にある意味、彼の国では男女関係が高度に発達しているのだろう。

あと、日本のこの類のマンガは、主人公が可愛げのある子で周りが性格悪いみたいな描き方が多い気がするが、このマンガは主人公がどうも軽薄で自分勝手で、周りの特に親友のRoseとCyrilが良い奴というようなのも素晴らしい。自分(=主人公)の性悪さを笑いにできるというのは、ギャグマンガ家としては、一段上の気がする。

Vraiment drôle!

Le Livre de Poche (2 mars 2011)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2253131700

2016年2月9日火曜日

H. G. Wells "The War of the Worlds" [宇宙戦争]

SFの古典中の古典、タコみたいな火星人が地球に襲来する名作。有名だし、読んで損はないところ。基本的には人類の反撃はほとんど無効で、語り手は単なる一般市民で、火星人から逃げ回っているだけだ。侵略者たちは熱線と毒ガスで躊躇なく人間を駆除していくが、人類の側は最高で戦艦による砲撃しかない。戦争というよりは一方的な虐殺である。そんなわけで、最初のうちはそれほど面白いと思わなかったが、主人公が間近で火星人を目撃してからはなかなかの展開だ。SFというよりは、怪奇小説と思ったほうが良いかもしれない。別にわたしはSFに詳しいわけでもないので、あまり解説はできないが、SFに興味がなくても面白い。

Classic and fascinating even for those who are not interested in sci-fi in general.

Penguin Classics (2005/5/4)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0141441030

2016年1月26日火曜日

Pénélope Bagieu "Joséphine" [ジョゼフィーヌ]

さっき発見したが、日本語訳が出ている。ジョゼフィーヌは三冊シリーズで、これは一冊目だが、日本語訳は多分、三冊まとめているんだろうと思う。見てないから知らんけど。

何でももともと個人ブログでやっていたらしい30代独身女の日常マンガ。一頁または見開き二頁のマンガで一応毎回落ちている。話は一応ゆっくり進んでおり、この巻については、男を見つけて付き合って最後は失恋して終わっている。ありがちな話ではあるが、日本でこういうマンガがあると、過剰に自虐的だったり過剰にリア充だったりするところ、これに関してはその点はニュートラルで好感が持てる。と言っても、今時の日本の基準からすると、かなり上流階級ではある。一昔前の「スイーツ」くらいの生活水準だろう。はっきり言えば、フランス語学校には、こんな独身女(正社員独身男無し金有り暇人)は山ほどいる。エステに通ったりジムに通ったり精神分析に通ったり出会い系サイトに登録したりピルの処方を頼んだり失恋して泣きわめいたり、とにかく忙しいことである。

なんか書いているうちにだんだん腹が立ってきたが、面白いのは確かで、わたしは店頭で見て絵に強く惹かれた。お洒落だし可愛い。ローズも可愛いしシリルは良い奴だ。残念ながらわたしはおっさんなので、トータルでは「どこの国も女はしょうがねえな」というような感想になってしまうが、30代女性が読むと大いに共感するのかもしれない。続編も既に注文済みである。フランス語も簡単だから勉強に良いかも知れない。フランス語学校に通う30代独身OLにはお勧めだ。参考までに裏表紙だけ翻訳しておいた。

「ジョゼフィーヌ、30代、独身、子どもなし、猫あり。ブロンドで小柄(少なくとも身長は)で、ある日スポーツを始めることになる。オフィスで一緒に働いている連中は、彼女の名前も知らないのに、彼女の強迫的な買い物衝動には気が付く。アパートの管理人にはイヤなことを言われ、両親はさして素晴らしくもなく、完璧な姉には説教をされるが、幸いなことにローズとシリルという親友がいて、いつも彼女の不幸に一緒に付き合ってくれる。夢は理想の男と二人で買い物をしたり官能的な一夜を共にしたりロマンティックな週末を過ごすことだが、それを別にすれば大体幸せ。それでも甘ったるい映画に涙し、エステティシャンの精神分析を受ける。」

Les femmes, comme d'habitude, comme partout.

Livre de Poche (2010/3/24)
言語: フランス語
ISBN-13: 978-2253085096