2016年3月16日水曜日

Pénélope Bagieu "La Page blanche" [空白の頁]

どうもこの著者、一時期日本でも流行ったようで、「エロイーズ」という翻訳が出ている。多分、原書で読んでも翻訳で読んでもそんなに印象は変わらないのではないかと思う。

主人公、恐らく30絡みの女性だが、いきなり記憶喪失になっているところから話が始まる。ところが記憶喪失になったことを他人に知られたくない(何でか知らんが)ので、適当に調子を合わせつつ生活し、自分が何者かを探求していく。唯一頼れるのは同僚の一人の女性だが、記憶喪失前に特に仲良くしていたわけではないし、多分、主人公はちょっとバカにしていたくらいだろう。つまり、記憶喪失前の主人公は、さして好感の持てる人物でもなかったようだ。

読む前に知っておいたほうが良いと思うけど、基本的には何も起こらない。判明するのは、どうも記憶喪失前から単なるどこにでもいるメディアに踊らされる女だったらしいということくらい。謎で読者を引っ張るというよりは、自分の正体が不明と言う空気感を読ませるマンガだ。結局、正体は判明しないが、正体が判明したところで正体不明なのと何が違うのというような、非常に厳密に構成された話である。久しぶりに本格的なフランス文学を読んだ気がしなくもない。

En fin de compte, l'héroïne n'est pas identifiée. Mais, est-ce que cela ferait une différence?

Editeur : Le Livre de Poche (15 mai 2013)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2253167051

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