2016年3月18日金曜日

Mike Goldsmith "Sound: A Very Short Introduction" [音:非常に短い入門]

目次:1.過去の音 2.音の性質 3.調和の音 4.音を聴くこと 5.電子的な音 6.超音波と超低周波 7.水中と地中の音 8.場違いの音

目次だけでは領域の広さが伝わらないかも知れない。音波の物理的な記述・和音と音楽の理論・人間の聴覚の仕組み・マイクやスピーカーなどの電子工学・色々な生き物の聴覚・潜水艦や非破壊検査や医学での超音波と低周波の応用・地震予知・騒音対策などなど。予備知識は何も必要なく、非常に読みやすいが、注記では数式は避けていない。色々な分野で人に語りたくなる豆知識が満載されている。音に関心のある人、たとえば音楽をやっているとか騒音対策に興味があるというような人は読む価値がある。とにかく広い分野に渡っているので、一つ一つはあまり深く解説はされないが、それでも知らないことばかりだった。何らかの形で音を仕事にしている人は、この本程度の知識はあって良いのかもしれない。

非常に短い本だが、面白すぎて読むのに時間がかかった。今まで200冊以上Oxford Very Short Introductionを読んできたが、実は「この件についてもっと研究したい」と思ったことはほとんどない。かなり面白くてもそれだけで満足してしまうのが常だが、この本を読んで真面目に音響工学をやる気になった。省みると、電気通信に詳しいせいで音について全く無知でもないし、何よりわたしは耳がかなり良く、音楽に全く興味がないにも関わらず音感は正確だ。一つ世界が開けた気がする。

Really fascinating. This book drives me into the world of sound engineering. One of the best books in VSI.

Oxford Univ Pr (2016/2/10)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198708445

3 件のコメント:

  1. これ面白そうですねー。
    読んでみます。

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  2. カラスさんは大学では何を専攻されましたか?

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    1. 建前としては社会学ですが、実際には当時流行りの浮ついた現代思想とか、関係のない計算機科学の勉強ばかりしてた気がします。こういう本を読むと、もっとちゃんと物理とかやっておけば良かったと思いますね。

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