目次:1.ギリシア人からグラッドストーンへ 2.修辞学の足場 3.修辞学へのアプローチ 4.現代世界の修辞学
「修辞学」と訳したものの、実際は「弁論術」と言うほうが適切。前半は古典時代からtrivium三学科の一つに数えられている「修辞学」の歴史だが、真ん中あたりでオースティンやら現代文学理論が入って来たところで様子が変わる。この辺り、わたしにはとても懐かしいところだった。特に後半は基本的に政治における弁論術の話。メディアの弁論術に与える影響も語られる。と言っても、基本的にはアメリカの大統領とかイギリス議会とか英米圏の話に限定されている。分析法なども概説があるけど、基本的にこれを読んでも弁論が得意になったりはしない。日本で言えば、政治学とか言語学とか社会学/記号論などで処理されるような話だ。
ただ、この本、VSIでは初めて見たけど、ところどころclassroom用のactivityが差し込まれている。VSIのこういう入門書は、たいてい開講前に読んでおくような本が多いが、この本は修辞学の一年目(半年?)くらいに授業で使う想定になっている。もしかすると著者のクラスを取ると弁論に長けるようになるのかもしれない。まあ、英米圏は元々小学校レベルから弁論を仕込まれているいるし、ここでは改めて歴史から振り返ってみて、後半は現代世界・マスコミの弁論術(論法)を分析してみようということだろう。特にマスコミの世論誘導などに興味があるムキは、こういう分析もあるということを知るだけでも価値があるかもしれない。
Pretty informative.
Oxford Univ Pr(2013/5/8)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0199651368
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